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エピローグ
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7月14日。今日は17年の人生で、すごく悔しい日になりそうです。
だって、なぜなら。向かいにいるユリオス先輩のことを、異性として好きになっていると気付いてしまったから。
『エステル、もう安心だよ。二日間お疲れ様』
『最初に話したように、俺はこの件を使ってどうこうしようとは思わない。先輩のお節介と思っててよ』
『エステルは家族全員が追放になって、色々と大変だよね? どうせ家にいるのは姉派の使用人だけだから、落ち着くまではウチで過ごしなよ』
あの後も先輩は他意なしで接してくれて、色んな形で支えてくれた。
好きって言ってるのに、正々堂々で。頻繁にからかうのに、決して越えてはいけない一線は越えてこない。
……そんなの、反則……。
ただでさえ――お城に乗り込んだ時、あたしのために本気で怒ってくれたこと。最初に助けてた時、優しくて温かい言葉をかけてくれたこと。
2つもドキンとしちゃう出来事があったのに、こんなのが続くんだもん。
好きにならないはずが、ない。
だから……。その……。
興味なしと散々主張しておいて言うのは、恥ずかしいけど……。好意を向けてくれている人に対して、ウソを吐くのは失礼だから。
想いを伝えます。
「………………先輩。ユリオス先輩」
あの日のように二人でトランプをしていたあたしは、手を止めて前を見つめました。
「ん? なにかな?」
「…………先輩は最初、メンドクサイ人でした。初対面なのに距離が近いし色々とイジッてきて、本当に厄介な人でした」
目を瞑って当時を振り返り、瞼を上げる。
「でもそれにはちゃんと理由があって、なのに、困ってる時はそんなの無関係で助けてくれる。自分がしたくてやってるから気にしないでって、言ってくれる。だからそういう部分に惹かれてきて、今ではこれになってます」
手元にあったトランプをテーブルに置き、スートを指でなぞる。
このカードにあるのは勿論、ハート。LOVE、です。
「ユリオス先輩。あたしはどうやら、アナタが好きになったみたいです。……先輩が今も想ってくれてるのであれば、恋人になってくれませんか……?」
「………………エステル。俺はね、心変わりはしない人間なんだよ」
先輩も、トランプを1枚テーブルに置いて――。Jのハートを――ハートマークを間近で見つめ続けている絵柄があるカードを、出しました。
「今も昔も、世界で一番君が好きだ。喜んでお受けするよ」
「…………先輩らしい、返事の仕方ですね。そんな返事がすごく嬉しく感じるなんて、ホント悔しいです」
「ふふ。その反応も、エステルらしいよ」
ぷくっと頬を膨らませていると先輩の目が細まり、あたし達は暫く間見つめ合います。そしてお互いが、示し合わせたかのように動いて――キス。言葉の後は身体を使って、気持ちを確かめ合いました。
「……こんな日が来るなんて夢にも思っていなくって、もっと欲しくなるとも思ってませんでした。先輩……っ」
「うん、俺も同じ気持ち。こんな日が来てくれるとは思っていなくて、エステル。これからもずっと愛しているよ」
あたし達はもう一度口づけを交わし、こうしてあたし達は先輩と後輩から『恋人』になりました。
そして、それから1年後――。
やがてあたし達は、恋人から『夫婦』になって。二人で、更に幸せな毎日を過ごしてゆくことなったのでした。
だって、なぜなら。向かいにいるユリオス先輩のことを、異性として好きになっていると気付いてしまったから。
『エステル、もう安心だよ。二日間お疲れ様』
『最初に話したように、俺はこの件を使ってどうこうしようとは思わない。先輩のお節介と思っててよ』
『エステルは家族全員が追放になって、色々と大変だよね? どうせ家にいるのは姉派の使用人だけだから、落ち着くまではウチで過ごしなよ』
あの後も先輩は他意なしで接してくれて、色んな形で支えてくれた。
好きって言ってるのに、正々堂々で。頻繁にからかうのに、決して越えてはいけない一線は越えてこない。
……そんなの、反則……。
ただでさえ――お城に乗り込んだ時、あたしのために本気で怒ってくれたこと。最初に助けてた時、優しくて温かい言葉をかけてくれたこと。
2つもドキンとしちゃう出来事があったのに、こんなのが続くんだもん。
好きにならないはずが、ない。
だから……。その……。
興味なしと散々主張しておいて言うのは、恥ずかしいけど……。好意を向けてくれている人に対して、ウソを吐くのは失礼だから。
想いを伝えます。
「………………先輩。ユリオス先輩」
あの日のように二人でトランプをしていたあたしは、手を止めて前を見つめました。
「ん? なにかな?」
「…………先輩は最初、メンドクサイ人でした。初対面なのに距離が近いし色々とイジッてきて、本当に厄介な人でした」
目を瞑って当時を振り返り、瞼を上げる。
「でもそれにはちゃんと理由があって、なのに、困ってる時はそんなの無関係で助けてくれる。自分がしたくてやってるから気にしないでって、言ってくれる。だからそういう部分に惹かれてきて、今ではこれになってます」
手元にあったトランプをテーブルに置き、スートを指でなぞる。
このカードにあるのは勿論、ハート。LOVE、です。
「ユリオス先輩。あたしはどうやら、アナタが好きになったみたいです。……先輩が今も想ってくれてるのであれば、恋人になってくれませんか……?」
「………………エステル。俺はね、心変わりはしない人間なんだよ」
先輩も、トランプを1枚テーブルに置いて――。Jのハートを――ハートマークを間近で見つめ続けている絵柄があるカードを、出しました。
「今も昔も、世界で一番君が好きだ。喜んでお受けするよ」
「…………先輩らしい、返事の仕方ですね。そんな返事がすごく嬉しく感じるなんて、ホント悔しいです」
「ふふ。その反応も、エステルらしいよ」
ぷくっと頬を膨らませていると先輩の目が細まり、あたし達は暫く間見つめ合います。そしてお互いが、示し合わせたかのように動いて――キス。言葉の後は身体を使って、気持ちを確かめ合いました。
「……こんな日が来るなんて夢にも思っていなくって、もっと欲しくなるとも思ってませんでした。先輩……っ」
「うん、俺も同じ気持ち。こんな日が来てくれるとは思っていなくて、エステル。これからもずっと愛しているよ」
あたし達はもう一度口づけを交わし、こうしてあたし達は先輩と後輩から『恋人』になりました。
そして、それから1年後――。
やがてあたし達は、恋人から『夫婦』になって。二人で、更に幸せな毎日を過ごしてゆくことなったのでした。
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