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第8話 だから リシャール視点(1)
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「なんてこと……!! せっかく産んであげたのに……! この恩知らずめが!!」
「その身体があるのはっ、我々のおかげなのだぞ!! それをこんな……!! 恩知らずめっ!!」
説明を終えると、返ってきたのはこんな怒声だった。
この状況でこんな反応ができるだなんて。さすがだな。
「別に、貴方がたに産んでくださいと頼んではいませんよ。それにコレと恩、どこにどんな関係があるというのでしょうか?」
「わたくし達のおかげで貴族として生まれてきて貴族の甘い汁を吸えたでしょうが!! なのに、よくも……!!」
「恩を仇で返しおって!! 許さんからな……!!」
「そんな人間には必ず罰があたる!! 見ていなさいっ!!」
「この判断を後悔する日がくる……!! 必ずな……!!」
世の中に『絶対』はないというけれど、これだけは自信を持って言える。この行動を後悔する日は、絶対に来ない。
むしろあの時行動しなかったら、一生涯後悔し続けていた。
「そうですか。楽しみにしていますね」
「っ!!!! この……!!」
「こいつめ……!! ………………………………!! ふふふ」
恐らく、言い返す言葉を考えていたのだろう。三十秒ほど歯ぎしりをしていた父は、ニヤリとした。
「リシャール。お前は早々に後悔することになりそうだぞ?」
「そうなのですか? 思い当たる節がなく、理由を教えてください」
「いいだろう。お前が後悔する理由、それは…………商会の舵取りだ」
自分達は自他ともに認める優秀な経営者で、ロルマンド商会は自分達で成り立っているも同然。当主代行はまだしも、商会頭および副商会の代わりはできん!!
それが、理由らしい。
「そうねあなた、そうだったわ。商会の盛り上がりは、わたくし達あってのもの。わたくし達がいなくなれば、失ってしまうものが沢山ある」
「そしてソレは、致命傷になりかねん。必死になるも急激に傾き、商会も『家』もボロボロになるだろうなぁ。後世まで、汚名が語り継がれることになるだろうなぁ……!」
「父上母上、残念ながらそうはなりませんよ。すでに、手を打ってありますから」
父と母の手腕に関しては紛れもない事実で、2人がいなくなったら大きなダメージを受けてしまう。それは周知の事実ゆえに、空いた穴を埋める準備をしてある。
『……なるほど。僕は君を気に入っていましてね、君とならやってもいいと思っているのですよ。ええ、ええ。そういうことなら乗りますとも。手を組みましょう』
協力者のひとりである、父と母を敵視していたウチの商会のライバル。今回の件を活かして彼の懐に入り込み、騒動の解決後に業務提携をする約束をした。
――お互い睨み合って競い合うのではなく、手を取り合った上で競い合う――。
厄介な性格の持ち主とは仲良くしていた方が賢明だし、長い目で見ると共闘できる存在が居た方が安定して利益を出していける。
だから商会から2人がいなくなっても、悪影響はほどないのだ。
しかも、それだけではなくて――
「その身体があるのはっ、我々のおかげなのだぞ!! それをこんな……!! 恩知らずめっ!!」
説明を終えると、返ってきたのはこんな怒声だった。
この状況でこんな反応ができるだなんて。さすがだな。
「別に、貴方がたに産んでくださいと頼んではいませんよ。それにコレと恩、どこにどんな関係があるというのでしょうか?」
「わたくし達のおかげで貴族として生まれてきて貴族の甘い汁を吸えたでしょうが!! なのに、よくも……!!」
「恩を仇で返しおって!! 許さんからな……!!」
「そんな人間には必ず罰があたる!! 見ていなさいっ!!」
「この判断を後悔する日がくる……!! 必ずな……!!」
世の中に『絶対』はないというけれど、これだけは自信を持って言える。この行動を後悔する日は、絶対に来ない。
むしろあの時行動しなかったら、一生涯後悔し続けていた。
「そうですか。楽しみにしていますね」
「っ!!!! この……!!」
「こいつめ……!! ………………………………!! ふふふ」
恐らく、言い返す言葉を考えていたのだろう。三十秒ほど歯ぎしりをしていた父は、ニヤリとした。
「リシャール。お前は早々に後悔することになりそうだぞ?」
「そうなのですか? 思い当たる節がなく、理由を教えてください」
「いいだろう。お前が後悔する理由、それは…………商会の舵取りだ」
自分達は自他ともに認める優秀な経営者で、ロルマンド商会は自分達で成り立っているも同然。当主代行はまだしも、商会頭および副商会の代わりはできん!!
それが、理由らしい。
「そうねあなた、そうだったわ。商会の盛り上がりは、わたくし達あってのもの。わたくし達がいなくなれば、失ってしまうものが沢山ある」
「そしてソレは、致命傷になりかねん。必死になるも急激に傾き、商会も『家』もボロボロになるだろうなぁ。後世まで、汚名が語り継がれることになるだろうなぁ……!」
「父上母上、残念ながらそうはなりませんよ。すでに、手を打ってありますから」
父と母の手腕に関しては紛れもない事実で、2人がいなくなったら大きなダメージを受けてしまう。それは周知の事実ゆえに、空いた穴を埋める準備をしてある。
『……なるほど。僕は君を気に入っていましてね、君とならやってもいいと思っているのですよ。ええ、ええ。そういうことなら乗りますとも。手を組みましょう』
協力者のひとりである、父と母を敵視していたウチの商会のライバル。今回の件を活かして彼の懐に入り込み、騒動の解決後に業務提携をする約束をした。
――お互い睨み合って競い合うのではなく、手を取り合った上で競い合う――。
厄介な性格の持ち主とは仲良くしていた方が賢明だし、長い目で見ると共闘できる存在が居た方が安定して利益を出していける。
だから商会から2人がいなくなっても、悪影響はほどないのだ。
しかも、それだけではなくて――
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