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第11話 裁きの刻 俯瞰視点(2)
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「ミア―ネットじゃない!? ミア―ネットじゃなくなってる!?」
隣にいるピエールに微笑みかけ、その場を去ろうとしていた時でした。血の海の中で倒れているのは、別人になっていると――ピエールになっていると、気が付きました。
「ミア―ネットを刺したのに!? どうなってるの!? あの人は隣にいるのにっ!? どうなってるの!? ねっ、ねえあなた――ひい!?」
激しく動揺している人は、ようやくもう一つの変化に気付きました。
いつの間にか自分の隣では、ミア―ネットが立っていたのです。
「た、たしかに、そこにいた……!! おまえを、さした、のに……!? どう、なって……!?」
「………………くくク。よかっタねえ? 大嫌いな加害者ヲ殺せて」
ぐにゃり。ニコニコと笑っていたミア―ネットの姿が突如歪み、歪みが戻ると――シャンタルも良く知っている、例の真紅のマネキンとなったのでした。
「な、なに!? なんなのこれ!? 人形が喋って――っ! ちがう……。知っている……。コレを知ってる……!!」
たまらず後ずさっていると頭の中に電気が流れたよな感覚が走り、思い出しました。先ほどまで起きていた、赤に満ちた異常な世界での出来事を。
「嬉シいねえ? 楽しイねえ? 憎いんでル男を殺せテ」
「……ゆ、ゆるして……。しにたく、ない……」
顔面蒼白。まるで血液を抜かれてしまったかのように真っ白になり、極寒の中にいるかの如く激しく震え始めました。
「しにたく、ない……。いや……。いや……。おね、がい……。たす、けて……」
「助ケて? 助けルと思ウ?」
「お、おねがい……。なんでもいうことを、きくから……。おねがい……。たすけて……。なんでも、するからぁああ……!」
「そウなんだ。なんデもするんだ。じゃア、死んデ」
「っっ!! それ以外で!! それ以外で!! それ以外にしてえ!!」
「ダめ。なんデもって言った。キまり」
ケタケタケタと不気味に喉を鳴らし、マネキンはシャンタルの手にあるナイフを指差しました。
「はイはイはイ、ハじマりハじマり。もウ一度刺そウよ。さあ刺ソう」
「む、むり……。いや……。いやなのぉ……! おねがいだから――ひぎぃ!?」
突然両手が独りでに動き出し、自分の腹部へとナイフを突きつけてしまいました。
「そコ、刺しタとこ。同ジところニいこう。同ジ回数、ヤろう」
「やめぇえ!! やめてええ!! やめええええええ!! やめええええ!! とまってえええええええええええ!!」
「止メない。止まらナい。……ジブンダケシヌオソレルナンテユルサナイ。クルシミ、アジワエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
「ゆるしてえええ!! ゆるしてええええええええ!! ゆるしてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ――ぎあああああああああ!!」
さっき自分がピエールにしたことが、過去に罪なきものに行ったことが、自分の手で自分に返ってくる。
シャンタルは自身を行いを嫌と言う程に実感し、なぜか簡単には意識を手放せませんでした。彼女はなんとその後1時間ももがき苦しみ、意識を失ったのでした。
隣にいるピエールに微笑みかけ、その場を去ろうとしていた時でした。血の海の中で倒れているのは、別人になっていると――ピエールになっていると、気が付きました。
「ミア―ネットを刺したのに!? どうなってるの!? あの人は隣にいるのにっ!? どうなってるの!? ねっ、ねえあなた――ひい!?」
激しく動揺している人は、ようやくもう一つの変化に気付きました。
いつの間にか自分の隣では、ミア―ネットが立っていたのです。
「た、たしかに、そこにいた……!! おまえを、さした、のに……!? どう、なって……!?」
「………………くくク。よかっタねえ? 大嫌いな加害者ヲ殺せて」
ぐにゃり。ニコニコと笑っていたミア―ネットの姿が突如歪み、歪みが戻ると――シャンタルも良く知っている、例の真紅のマネキンとなったのでした。
「な、なに!? なんなのこれ!? 人形が喋って――っ! ちがう……。知っている……。コレを知ってる……!!」
たまらず後ずさっていると頭の中に電気が流れたよな感覚が走り、思い出しました。先ほどまで起きていた、赤に満ちた異常な世界での出来事を。
「嬉シいねえ? 楽しイねえ? 憎いんでル男を殺せテ」
「……ゆ、ゆるして……。しにたく、ない……」
顔面蒼白。まるで血液を抜かれてしまったかのように真っ白になり、極寒の中にいるかの如く激しく震え始めました。
「しにたく、ない……。いや……。いや……。おね、がい……。たす、けて……」
「助ケて? 助けルと思ウ?」
「お、おねがい……。なんでもいうことを、きくから……。おねがい……。たすけて……。なんでも、するからぁああ……!」
「そウなんだ。なんデもするんだ。じゃア、死んデ」
「っっ!! それ以外で!! それ以外で!! それ以外にしてえ!!」
「ダめ。なんデもって言った。キまり」
ケタケタケタと不気味に喉を鳴らし、マネキンはシャンタルの手にあるナイフを指差しました。
「はイはイはイ、ハじマりハじマり。もウ一度刺そウよ。さあ刺ソう」
「む、むり……。いや……。いやなのぉ……! おねがいだから――ひぎぃ!?」
突然両手が独りでに動き出し、自分の腹部へとナイフを突きつけてしまいました。
「そコ、刺しタとこ。同ジところニいこう。同ジ回数、ヤろう」
「やめぇえ!! やめてええ!! やめええええええ!! やめええええ!! とまってえええええええええええ!!」
「止メない。止まらナい。……ジブンダケシヌオソレルナンテユルサナイ。クルシミ、アジワエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
「ゆるしてえええ!! ゆるしてええええええええ!! ゆるしてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ――ぎあああああああああ!!」
さっき自分がピエールにしたことが、過去に罪なきものに行ったことが、自分の手で自分に返ってくる。
シャンタルは自身を行いを嫌と言う程に実感し、なぜか簡単には意識を手放せませんでした。彼女はなんとその後1時間ももがき苦しみ、意識を失ったのでした。
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