18 / 28
第11話 裁きの刻 俯瞰視点(1)
しおりを挟む
「ミアーネットぉ。よくもちょっかいを出してくれたわねぇ?」
((………………え? ミア―ネット……?))
気が付くとピエールは、さっきまでとは別の場所――どこかしらの建物の中にいて、忌々しい女こと妻のシャンタルがナイフを持って立っていました。
「お前は一線を軽々と超えてしまった。お仕置きの時間よぉ」
「な、なにを言っているのだ――!? どうなっている!?」
たまらず声を出したらハープのような柔らかい声が出て、身体を見回すと女性のソレになっていた。
いつの間にかピエールは、ミア―ネットになっていたのです。
「まっ、待ってくれシャンタル!! 私だ!! 私はミア―ネットじゃないっ! 私はピエールだ!!」
「ふ、世界一へたくそな言い訳ね。ピエール? じゃあわたくしの隣にいるのは誰なのかしらね?」
「と、となり……? となり――だっ、誰だお前は!?」
視線を右へと動かしてみると、自分がいた。信じられない光景に目を見開きながら指をさすと、ピエールの姿をした男性はピエールだと名乗りました。
「私に決まっているだろう? ……お前の誘惑に負けて、最愛の人を傷付けてしまった……。そんな男だよ、私は……」
「違う!! ピエールは私だ!! そうかっ!! お前はミアーネットだな!? しゃっ、シャンタル!! ソレはミア―ネットだ!! 何かしらの方法で入れ替わってしまっているんだ!! 本物はこっちだ!!」
「……愚か者は、言い訳も愚かだな。シャンタル、そんな方法あると思うかい?」
「いいえ、ありはしないわ。ふふ、ちゃんと分かっているわよ、あなた。惑わされないから安心して頂戴」
ピエールの言っているように、本物のピエールはそちらではありませんでした。ですがシャンタルは隣にいる方のピエールに口づけを行い、ミア―ネットとなっているピエールへとゆっくりと近づき始めました。
「やめろ! やめるんだ!! 私はピエールなんだ!! 止まってくれ!!」
「まだ続けるのね。……ますます腹が立ってきたわ。さっさと殺しましょう」
呼びかけは逆効果。シャンタルの歩行速度が上がってしまい、瞬く間にピエールの目の前に到達してしまいました。
「さようなら、ミア―ネット。たっぷりと苦しんで、地獄に落ちるといいわ」
「頼むから話を聞いてくれ!! 入れ替わってしまっているんだ!! ミア―ネットはそっちなんだぁあああ!! シャンタル! シャンタル!! シャンタルぅぅぅぅぅ!! ミア―ネットはそっちなんだぁああああああああああああ――ぁ……。ぎ、ぎあああああああああああああ!!」
いくら訴えても、無駄。彼はかつて自身が引き起こした出来事を体験することとなり、
「ぁがあああああ!? あがぁあああ!? あがぁあああああああぁ、ぁ…………」
かつて自身が目にした真っ赤な水たまりの中でもがき苦しみ、たっぷりと地獄の苦しみを味わったあと意識を失ってしまったのでした。
「くふふふふふ、お掃除お仕舞。さ、あなた。帰って愛を育みましょ――……。ひぃ!?」
((………………え? ミア―ネット……?))
気が付くとピエールは、さっきまでとは別の場所――どこかしらの建物の中にいて、忌々しい女こと妻のシャンタルがナイフを持って立っていました。
「お前は一線を軽々と超えてしまった。お仕置きの時間よぉ」
「な、なにを言っているのだ――!? どうなっている!?」
たまらず声を出したらハープのような柔らかい声が出て、身体を見回すと女性のソレになっていた。
いつの間にかピエールは、ミア―ネットになっていたのです。
「まっ、待ってくれシャンタル!! 私だ!! 私はミア―ネットじゃないっ! 私はピエールだ!!」
「ふ、世界一へたくそな言い訳ね。ピエール? じゃあわたくしの隣にいるのは誰なのかしらね?」
「と、となり……? となり――だっ、誰だお前は!?」
視線を右へと動かしてみると、自分がいた。信じられない光景に目を見開きながら指をさすと、ピエールの姿をした男性はピエールだと名乗りました。
「私に決まっているだろう? ……お前の誘惑に負けて、最愛の人を傷付けてしまった……。そんな男だよ、私は……」
「違う!! ピエールは私だ!! そうかっ!! お前はミアーネットだな!? しゃっ、シャンタル!! ソレはミア―ネットだ!! 何かしらの方法で入れ替わってしまっているんだ!! 本物はこっちだ!!」
「……愚か者は、言い訳も愚かだな。シャンタル、そんな方法あると思うかい?」
「いいえ、ありはしないわ。ふふ、ちゃんと分かっているわよ、あなた。惑わされないから安心して頂戴」
ピエールの言っているように、本物のピエールはそちらではありませんでした。ですがシャンタルは隣にいる方のピエールに口づけを行い、ミア―ネットとなっているピエールへとゆっくりと近づき始めました。
「やめろ! やめるんだ!! 私はピエールなんだ!! 止まってくれ!!」
「まだ続けるのね。……ますます腹が立ってきたわ。さっさと殺しましょう」
呼びかけは逆効果。シャンタルの歩行速度が上がってしまい、瞬く間にピエールの目の前に到達してしまいました。
「さようなら、ミア―ネット。たっぷりと苦しんで、地獄に落ちるといいわ」
「頼むから話を聞いてくれ!! 入れ替わってしまっているんだ!! ミア―ネットはそっちなんだぁあああ!! シャンタル! シャンタル!! シャンタルぅぅぅぅぅ!! ミア―ネットはそっちなんだぁああああああああああああ――ぁ……。ぎ、ぎあああああああああああああ!!」
いくら訴えても、無駄。彼はかつて自身が引き起こした出来事を体験することとなり、
「ぁがあああああ!? あがぁあああ!? あがぁあああああああぁ、ぁ…………」
かつて自身が目にした真っ赤な水たまりの中でもがき苦しみ、たっぷりと地獄の苦しみを味わったあと意識を失ってしまったのでした。
「くふふふふふ、お掃除お仕舞。さ、あなた。帰って愛を育みましょ――……。ひぃ!?」
52
あなたにおすすめの小説
犬猿の仲だと思っていたのに、なぜか幼なじみの公爵令息が世話を焼いてくる
風見ゆうみ
恋愛
元伯爵令嬢だった私、ビアラ・ミゼライトにはホーリル・フェルナンディという子爵令息の婚約者がいる。とある事情で両親を亡くした私は、フェルナンディ子爵家から支援を受けて、貴族が多く通う学園ではあるけれど、成績次第では平民でも通える学園に通っていた。
ある日、ホーリルから呼び出された私は、彼から婚約を破棄し学費や寮費援助を打ち切ると告げられてしまう。
しかも、彼の新しいお相手は私の腐れ縁の相手、ディラン・ミーグス公爵令息の婚約者だった。
その場に居たミーグスと私は婚約破棄を了承する。でも、馬鹿な元婚約者たちが相手では、それだけで終わるはずもなかった――
※完結保証です。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。魔法も存在します。
※誤字脱字など見直して気をつけているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです
【完結】さっさと婚約破棄が皆のお望みです
井名可乃子
恋愛
年頃のセレーナに降って湧いた縁談を周囲は歓迎しなかった。引く手あまたの伯爵がなぜ見ず知らずの子爵令嬢に求婚の手紙を書いたのか。幼い頃から番犬のように傍を離れない年上の幼馴染アンドリューがこの結婚を認めるはずもなかった。
「婚約破棄されてこい」
セレーナは未来の夫を試す為に自らフラれにいくという、アンドリューの世にも馬鹿げた作戦を遂行することとなる。子爵家の一人娘なんだからと屁理屈を並べながら伯爵に敵意丸出しの幼馴染に、呆れながらも内心ほっとしたのがセレーナの本音だった。
伯爵家との婚約発表の日を迎えても二人の関係は変わらないはずだった。アンドリューに寄り添う知らない女性を見るまでは……。
犠牲になるのは、妹である私
木山楽斗
恋愛
男爵家の令嬢であるソフィーナは、父親から冷遇されていた。彼女は溺愛されている双子の姉の陰とみなされており、個人として認められていなかったのだ。
ソフィーナはある時、姉に代わって悪名高きボルガン公爵の元に嫁ぐことになった。
好色家として有名な彼は、離婚を繰り返しており隠し子もいる。そんな彼の元に嫁げば幸せなどないとわかっていつつも、彼女は家のために犠牲になると決めたのだった。
婚約者となってボルガン公爵家の屋敷に赴いたソフィーナだったが、彼女はそこでとある騒ぎに巻き込まれることになった。
ボルガン公爵の子供達は、彼の横暴な振る舞いに耐えかねて、公爵家の改革に取り掛かっていたのである。
結果として、ボルガン公爵はその力を失った。ソフィーナは彼に弄ばれることなく、彼の子供達と良好な関係を築くことに成功したのである。
さらにソフィーナの実家でも、同じように改革が起こっていた。彼女を冷遇する父親が、その力を失っていたのである。
好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
王子様の花嫁選抜
ひづき
恋愛
王妃の意向で花嫁の選抜会を開くことになった。
花嫁候補の一人に選ばれた他国の王女フェリシアは、王太子を見て一年前の邂逅を思い出す。
花嫁に選ばれたくないな、と、フェリシアは思った。
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる