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第9話 続く予想外 エステェ視点(1)
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「申し訳ないと、思っている……。けれど俺の目にはもう、彼女しか映らなくなってしまったんだよ……」
今から2週間前に開かれたパーティーで、フェフィリア伯爵家のオフェリーに一目惚れをしてしまったこと。オフェリーも瞬く間にアドン様を想うようになり、8度目の逢瀬で相思相愛になったこと。
そして――。私との関係を持ったまま関係を持つのは、大問題だと理解していたこと。しかしながら『早くしないとオフェリーが誰かのもとに行ってしまう』という思いが、そうさせてしまったこと。
唖然となっていると、沈痛な面持ちでそんな説明が行われた。
「エステェ。君は長所に溢れた素敵な女性で、魅力がないわけじゃない。俺の運命の人がオフェリー・フェフィリアだった、ということなんだよ」
「……………………」
「だから今回の件は、全面的に俺に非がある。あるん、だけど……。少々ややこしいことになってしまっていてね……。そんなダメ男に、力を貸していただきたいんだよ……」
おじ様は私の能力などを高く評価していて、商会に必要不可欠と言っている――秘密裏に結んでいる私達の婚約は、絶対に白紙にさせないと言っている。そこで私自身も婚約を解消したいと思っていると、主張して欲しいそう。
「君もそう思っているのなら、話は変わってくるからね。『幼馴染の婚約者を奪い取るような形となってしまったことを、実をずっと後悔していた』『メリッサに申し訳ないから身を引こうと決めた』。このように父上に説明をして、解消を手伝ってほしいんだよ」
「……………………」
「裏切った相手にこんなことを頼むのは、虫が良すぎると理解している。でも、それでも。俺は、オフェリーと人生を歩みたいんだ」
「……………………」
「浮気のお詫び、協力のお礼は、後日ちゃんと行う。事情が事情だけに父上の協力は得られないから、本格的に行うのは家督を継承してからになってしまうけれど……。君であり卿が遊んで暮らせるレベルの支援をするつもりで、誓約書だってちゃんと用意するからお願いだ……! 俺に協力してください……!!」
ガーデンテーブルに額がつくくらい深々と頭を下げ、懇願の声を絞り出すアドン様。私はそんな姿を――
((まさか、こんなことになるだなんて……。アドン様、貴方様はなんて素敵な御方なの
……っ!))
盛大に頬を緩ませ、心の中では万雷の拍手を贈りながら見つめていた。
だってあちらも解消のシナリオを用意していて、私はそれに従うだけで全てが上手くいってしまうんだものっ。その条件ならお父様も納得してくれて、アドン様に関する問題もお父様に関する問題も、勝手に解決してくれるんだものっ!
断る理由が、ない。
なので私は――いけないいけない。つい緩んでいた頬を戻し、同じく神妙な面持ちを作って――
今から2週間前に開かれたパーティーで、フェフィリア伯爵家のオフェリーに一目惚れをしてしまったこと。オフェリーも瞬く間にアドン様を想うようになり、8度目の逢瀬で相思相愛になったこと。
そして――。私との関係を持ったまま関係を持つのは、大問題だと理解していたこと。しかしながら『早くしないとオフェリーが誰かのもとに行ってしまう』という思いが、そうさせてしまったこと。
唖然となっていると、沈痛な面持ちでそんな説明が行われた。
「エステェ。君は長所に溢れた素敵な女性で、魅力がないわけじゃない。俺の運命の人がオフェリー・フェフィリアだった、ということなんだよ」
「……………………」
「だから今回の件は、全面的に俺に非がある。あるん、だけど……。少々ややこしいことになってしまっていてね……。そんなダメ男に、力を貸していただきたいんだよ……」
おじ様は私の能力などを高く評価していて、商会に必要不可欠と言っている――秘密裏に結んでいる私達の婚約は、絶対に白紙にさせないと言っている。そこで私自身も婚約を解消したいと思っていると、主張して欲しいそう。
「君もそう思っているのなら、話は変わってくるからね。『幼馴染の婚約者を奪い取るような形となってしまったことを、実をずっと後悔していた』『メリッサに申し訳ないから身を引こうと決めた』。このように父上に説明をして、解消を手伝ってほしいんだよ」
「……………………」
「裏切った相手にこんなことを頼むのは、虫が良すぎると理解している。でも、それでも。俺は、オフェリーと人生を歩みたいんだ」
「……………………」
「浮気のお詫び、協力のお礼は、後日ちゃんと行う。事情が事情だけに父上の協力は得られないから、本格的に行うのは家督を継承してからになってしまうけれど……。君であり卿が遊んで暮らせるレベルの支援をするつもりで、誓約書だってちゃんと用意するからお願いだ……! 俺に協力してください……!!」
ガーデンテーブルに額がつくくらい深々と頭を下げ、懇願の声を絞り出すアドン様。私はそんな姿を――
((まさか、こんなことになるだなんて……。アドン様、貴方様はなんて素敵な御方なの
……っ!))
盛大に頬を緩ませ、心の中では万雷の拍手を贈りながら見つめていた。
だってあちらも解消のシナリオを用意していて、私はそれに従うだけで全てが上手くいってしまうんだものっ。その条件ならお父様も納得してくれて、アドン様に関する問題もお父様に関する問題も、勝手に解決してくれるんだものっ!
断る理由が、ない。
なので私は――いけないいけない。つい緩んでいた頬を戻し、同じく神妙な面持ちを作って――
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