わたくしのものを私物化するお姉様が、社交界で大変なことになってしまったそうです

柚木ゆず

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第1話 ミス 俯瞰視点

((この場で3番目の輝きを放てる、そんなつもりだったのでしょう? 残念でしたね。3番目の輝きを放つ美女は、ここにいるんですのよ))

 招待されたパーティー会場ではエミーリラが、ランドワール子爵令嬢ミライを横目で見つつほくそ笑んでいました。
 ミライ・ランドワールは同年齢、同性、家の爵位が同じということもあり、エミーリラがライバル視――を、一方的にしている存在。本人を観察して上回れていると確信し、勝利の笑みを浮かべていたのです。

((主催リーン様格上令嬢タエアエス様を超えることなく、ミライを超える。完璧。私を良い具合に引き立てるコレがあって、よかったですわ))

 エミーリラ曰く『輝き』は、容姿+装飾品で決まる。
 とある予定外が発生して一時は焦ったものの、無事に目的をいい塩梅で達成できた。ソレに一役買ったネックレスに軽く振れ、満足げに口元を緩め――ていたエミーリラでしたが、その僅か5分。表情が、180度変わってしまう羽目になりました。

「あら? そのネックレス……」
「タエアエス様? どうかなさいましたか?」
「…………そちらは……。レーラック伯爵令嬢アリス様がミファレア様に贈ったもの、ですよね?」

「ち、違いますわ。とんでもない。こちらはとある方に、私がいただいたものでございます」
「…………いえ、間違いありませんわ。こちらは、アリス様がミファレア様にプレゼントしたものです」
「い、妹のものでは、ありませんよ? ど、どうしてそう思われるのですか……?」
「アリス様がプレゼントされた際、その場にわたくしはおりました。そちらはアリス様がデザインされたもので、この世に二つとないことを知っているのですよ」


『……今のお言葉、聞きましたか?』
『え、ええ……』
『まるで、夢を見ているようですわ……』
『わたくしも、でございます。信じられませんわ……』

 この国『ロザッテ』では特に――他の国よりも更に、贈り物を送り主に無断で他人に貸したり譲ったりするという行為は最悪のマナーとされていました。
 礼節を重んじるミファレア・リールゾンドがわざわざ、送り主を裏切り泥を塗るような真似をするはずがない。参加者にはそういった共通の認識があり、全員が――

 姉が妹の所持品を取っていた。

 そう、認識していたのです。

『リールゾンド家の姉妹と言えば、有名な仲良しだったのに……』
『まさか、そちらは見せかけ……?』
『表向きのものだった……?』
『妹想いの姉は、まやかし……』

 そのため会場の至るところでそんな言葉が聞こえてくるようになり、そんな声や雰囲気に耐えられなくなってしまいました。

「う、うわぁあああああああああああああああ!!」
  
 エミーリラは両手で耳を塞ぎ、逃げるように会場を飛び出したのでした。


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