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第5話 当日 エミーリラ視点(6)
「あ、あらまあルーカッソ様、ごきげんよう。話は唐突に生まれるもの。お気になさらないでくださいまし」
「有難きお言葉。早速ではございますが、お伝えをさせていただきます」
丁寧な一礼をくださったルーカッソ様は、私――ではなく、その隣にいるミファレアへと向き直られた。
「まずは、妹から、でしょうか?」
「はい。……ミファレア様、準備は全て完了いたしました。騒ぎが落ち着くまでは、我がガレイアル家の屋敷で滞在していただくようになっております」
は?
準備? 完了? しかもなに?
「あとは僕に任せておいて」
どういうこと?
なにを、任せるの?
「る、ルーカッソ様。一体なにを――」
「皆様も、ご安心くださいませ。貴方がたが不安視されている問題は、ミファレア様に降りかかることはございません」
「……ルーカッソ様、痛み入ります」
「「「「「痛み入ります」」」」」
「み、ミファレア? あ、貴女達まで……。な、なんなんですの……?」
わけが分からない。
ルーカッソ様もミファレアも、この者達も……。何を言っているの……?
「る、ルーカッソ様? さっきから、いったいなにを……?」
「そちらは、お屋敷に戻られたら瞭然となります。のちほどご確認ください」
お屋敷に?
ますます、わけがわからなくなった。
なんでお屋敷に戻ると、この会話の意味が分かるの……?
「エミーリラ様は、至急リールゾンド邸へと戻られた方がよろしいでしょう。お父上お母上もきっと、貴方様をお待ちでしょう」
「お父様とお母様……!? ど、どういうこと、ですの……!?」
「そちらも同じく、お屋敷に戻られたら瞭然となります。この場での回答は控えさせていただきます」
「お、教えてくださいまし! 気になって仕方がありません!」
「申し訳ございません。この場ではお教えできません」
もう2回食い下がってみたものの、返事は同じ。どうやっても、この場で答えるつもりはないらしい……。
「………………しょ、承知しましたわ。ただし、申し訳ありませんがミファレアの外出を認めるわけにはいきません。いくら婚約者といえど、お父様――当主の許可なしに、他家のお屋敷へは向かわせられませんから」
嫌な予感がする。ここでミファレアを手放してはいけない。
当主の名を出しておけば、さしもの婚約者でも手を出せな――
「同じく申し訳ありませんが、貴方様や卿の許可をいただく必要はありません。貴方様の御意思に左右されることはなく、ミファレア様に同意をいただけましたら可能となります」
――なんですって!?
関係ない!?
「ど、どうなって……」
「そちらも、言及はできかねません。ミファレア様が応じてくださるのであれば、他のお声は関係ないのですよ」
「ルーカッソ様。わたくしは、貴方様と共に行(ゆ)きたいと思っております」
「それはよかった。ということですので、失礼致します」
「まっ、待って! まちなさ――」
「参りましょう、ミファレア様」
ルーカッソ様は、もう反応すらしなくなってしまった。彼はミファレアの手をそっと掴んで馬車を導き、二人を乗せた車は私を置いて走り去ってしまったのだった。
「………………ほんとうに…………な、なんなの……? なんなのよ……!?」
「有難きお言葉。早速ではございますが、お伝えをさせていただきます」
丁寧な一礼をくださったルーカッソ様は、私――ではなく、その隣にいるミファレアへと向き直られた。
「まずは、妹から、でしょうか?」
「はい。……ミファレア様、準備は全て完了いたしました。騒ぎが落ち着くまでは、我がガレイアル家の屋敷で滞在していただくようになっております」
は?
準備? 完了? しかもなに?
「あとは僕に任せておいて」
どういうこと?
なにを、任せるの?
「る、ルーカッソ様。一体なにを――」
「皆様も、ご安心くださいませ。貴方がたが不安視されている問題は、ミファレア様に降りかかることはございません」
「……ルーカッソ様、痛み入ります」
「「「「「痛み入ります」」」」」
「み、ミファレア? あ、貴女達まで……。な、なんなんですの……?」
わけが分からない。
ルーカッソ様もミファレアも、この者達も……。何を言っているの……?
「る、ルーカッソ様? さっきから、いったいなにを……?」
「そちらは、お屋敷に戻られたら瞭然となります。のちほどご確認ください」
お屋敷に?
ますます、わけがわからなくなった。
なんでお屋敷に戻ると、この会話の意味が分かるの……?
「エミーリラ様は、至急リールゾンド邸へと戻られた方がよろしいでしょう。お父上お母上もきっと、貴方様をお待ちでしょう」
「お父様とお母様……!? ど、どういうこと、ですの……!?」
「そちらも同じく、お屋敷に戻られたら瞭然となります。この場での回答は控えさせていただきます」
「お、教えてくださいまし! 気になって仕方がありません!」
「申し訳ございません。この場ではお教えできません」
もう2回食い下がってみたものの、返事は同じ。どうやっても、この場で答えるつもりはないらしい……。
「………………しょ、承知しましたわ。ただし、申し訳ありませんがミファレアの外出を認めるわけにはいきません。いくら婚約者といえど、お父様――当主の許可なしに、他家のお屋敷へは向かわせられませんから」
嫌な予感がする。ここでミファレアを手放してはいけない。
当主の名を出しておけば、さしもの婚約者でも手を出せな――
「同じく申し訳ありませんが、貴方様や卿の許可をいただく必要はありません。貴方様の御意思に左右されることはなく、ミファレア様に同意をいただけましたら可能となります」
――なんですって!?
関係ない!?
「ど、どうなって……」
「そちらも、言及はできかねません。ミファレア様が応じてくださるのであれば、他のお声は関係ないのですよ」
「ルーカッソ様。わたくしは、貴方様と共に行(ゆ)きたいと思っております」
「それはよかった。ということですので、失礼致します」
「まっ、待って! まちなさ――」
「参りましょう、ミファレア様」
ルーカッソ様は、もう反応すらしなくなってしまった。彼はミファレアの手をそっと掴んで馬車を導き、二人を乗せた車は私を置いて走り去ってしまったのだった。
「………………ほんとうに…………な、なんなの……? なんなのよ……!?」
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