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第1話 あれ? ジョゼット視点(2)
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「…………………………わかり、ません……」
アリシア様への陥れの画策も、モニカ様の脅迫やその後の殺害も、脅迫のための情報取集も、そもそもそんな逆恨みのような真似も、わたしはしません。
でも、確かにやっています。
やるはずがないのに行っていて、ものすごい勢いで混乱がやって来ました。
「ジョゼット、さま……?」
「ちょ、ちょっとお時間をいただきますね」((……………………記憶などには、何も問題はありませんね……))
わたしの名前は、ジョゼット・ハルトーラオ。ハルトーラオ伯爵家の長女で、年齢は17歳。
家族構成はお父様、お母様、妹、弟で、5人家族。
婚約をしたのは15の秋で、お相手はルルトス伯爵家の嫡男・ベルナール様17歳。
わたしの好物は白身魚のムニエルで、嫌いな食べ物はカマンベールチーズ。好きな色はイエローで、趣味は読書とお茶。
などなど。個人情報に加えこれまでの出来事もすべて、しっかりと覚えています。
((…………ここは、紛れもない現実なんですよね……))
夢を見ているような感覚があると気付き、頬っぺたを抓って手の甲を引っ張ってみました。そのどちらもちゃんと痛みがあって――そもそも顔があちこち痛くって、間違いなく現実世界にいました。
((…………別の人格が芽生えて、別人格があれこれやっていた……? そんなはずも、ありませんよね))
そういったお話は、これまで聞いたことがありません。今まで世界中で一度も起きていないことが起きるとは、思えません。
((だとしたら……。わたしは――わたし? ………………。気のせい、みたいですね))
違和感を覚えたような気がして原因を探ってみましたが、特におかしな点はありませんでした。
((…………やっぱり何もかも、わたしがわたしの意思でやっていたみたいですね))
信じられませんが、全て行った記憶があるのです。信じるしか、ありません。
「………………お待たせいたしました。モニカ様」
「はっ、はい!」
「この度は申し訳ございませんでした」
ゆっくり立ち上がり、両手を前で揃えて頭を下げました。
「脅迫、強制、わたしは身勝手な理由で貴方様に恐怖を与えてしまいました。心より反省しておりまして、先ほどの発言はすべて撤回させていただきます」
「……………………」
「言わずもがな、この愚行は言葉だけで許されるものではございません。わたしにできることならば、誠心誠意なんでもさせていただきます。何なりと仰ってくださいませ」
「……………………い、いえ……。そ、そんな……。わたくしは、もう充分満足しております」
モニカ様は何度も何度も目を瞬かせ、3度左右に振ったあと1回縦に首を振られました。
「それに、お怪我をさせてしまいましたし……。そ、その。お顔は、傷まれますか……?」
「衝撃が強かっただけで、不幸中の幸い怪我はしていないようです。お気遣い痛み入ります」
「…………。そ、そうなのですね。安心いたしました」
「先ほども申し上げましたが、転倒は自業自得です。お気になさらないでくださいね」
そちらを改めてお伝えし、そのあとで同じく改めてお詫びに言及。今回も不要だと仰られたので、『思い付いたら遠慮なく仰ってください』とお伝えしておきました。
「わたしのせいで、ドレスが汚れてしまいましたね。ニーナ様にお願いをして、なんとかしていただきましょう」
「そ、そこまで、していただいても……」
「もちろん、わたしにはその責任がありますよ。モニカ様、もう少しだけお時間をいただきますね」
ここに来た時とは、正反対。わたし達は二人一緒に、パーティーが開かれている建物を目指したのでした。
〇〇
((ニーナ様のおかげで、無事パーティーを終えることができましたね。……まさか、人様を傷付けるような真似をしていただなんて。これからは毎日寝る前に、一日の言動をチェックしなくてはいけませんね))
アリシア様への陥れの画策も、モニカ様の脅迫やその後の殺害も、脅迫のための情報取集も、そもそもそんな逆恨みのような真似も、わたしはしません。
でも、確かにやっています。
やるはずがないのに行っていて、ものすごい勢いで混乱がやって来ました。
「ジョゼット、さま……?」
「ちょ、ちょっとお時間をいただきますね」((……………………記憶などには、何も問題はありませんね……))
わたしの名前は、ジョゼット・ハルトーラオ。ハルトーラオ伯爵家の長女で、年齢は17歳。
家族構成はお父様、お母様、妹、弟で、5人家族。
婚約をしたのは15の秋で、お相手はルルトス伯爵家の嫡男・ベルナール様17歳。
わたしの好物は白身魚のムニエルで、嫌いな食べ物はカマンベールチーズ。好きな色はイエローで、趣味は読書とお茶。
などなど。個人情報に加えこれまでの出来事もすべて、しっかりと覚えています。
((…………ここは、紛れもない現実なんですよね……))
夢を見ているような感覚があると気付き、頬っぺたを抓って手の甲を引っ張ってみました。そのどちらもちゃんと痛みがあって――そもそも顔があちこち痛くって、間違いなく現実世界にいました。
((…………別の人格が芽生えて、別人格があれこれやっていた……? そんなはずも、ありませんよね))
そういったお話は、これまで聞いたことがありません。今まで世界中で一度も起きていないことが起きるとは、思えません。
((だとしたら……。わたしは――わたし? ………………。気のせい、みたいですね))
違和感を覚えたような気がして原因を探ってみましたが、特におかしな点はありませんでした。
((…………やっぱり何もかも、わたしがわたしの意思でやっていたみたいですね))
信じられませんが、全て行った記憶があるのです。信じるしか、ありません。
「………………お待たせいたしました。モニカ様」
「はっ、はい!」
「この度は申し訳ございませんでした」
ゆっくり立ち上がり、両手を前で揃えて頭を下げました。
「脅迫、強制、わたしは身勝手な理由で貴方様に恐怖を与えてしまいました。心より反省しておりまして、先ほどの発言はすべて撤回させていただきます」
「……………………」
「言わずもがな、この愚行は言葉だけで許されるものではございません。わたしにできることならば、誠心誠意なんでもさせていただきます。何なりと仰ってくださいませ」
「……………………い、いえ……。そ、そんな……。わたくしは、もう充分満足しております」
モニカ様は何度も何度も目を瞬かせ、3度左右に振ったあと1回縦に首を振られました。
「それに、お怪我をさせてしまいましたし……。そ、その。お顔は、傷まれますか……?」
「衝撃が強かっただけで、不幸中の幸い怪我はしていないようです。お気遣い痛み入ります」
「…………。そ、そうなのですね。安心いたしました」
「先ほども申し上げましたが、転倒は自業自得です。お気になさらないでくださいね」
そちらを改めてお伝えし、そのあとで同じく改めてお詫びに言及。今回も不要だと仰られたので、『思い付いたら遠慮なく仰ってください』とお伝えしておきました。
「わたしのせいで、ドレスが汚れてしまいましたね。ニーナ様にお願いをして、なんとかしていただきましょう」
「そ、そこまで、していただいても……」
「もちろん、わたしにはその責任がありますよ。モニカ様、もう少しだけお時間をいただきますね」
ここに来た時とは、正反対。わたし達は二人一緒に、パーティーが開かれている建物を目指したのでした。
〇〇
((ニーナ様のおかげで、無事パーティーを終えることができましたね。……まさか、人様を傷付けるような真似をしていただなんて。これからは毎日寝る前に、一日の言動をチェックしなくてはいけませんね))
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