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第8話 信じられない ジョゼット視点(1)
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「………………」
「………………」
すぐ反応をすべきなのに、10秒ほど経ってもわたしもベルナール様もリアクションを取れずにいます。
アリシア様が……。あのアリシア様が、わたしを……。
「お二人のお気持ちは、よく分かります……。わたくしもそうでしたから……」
「………………信じられません、よね……。モニカ様の表情と声音で、紛れもない事実なのだと理解していても……。信じられない自分がいます……」
「わたくしも何度も、さっきのは夢だった? と自身を疑いました。だって、あまりにも滅茶苦茶……。アリシア様がされるような行動ではないのですから……」
悪い心を持った人間が居たら『許せない』ではなく『可哀想』と感じ、どうにかしてその人の心を和らげ悪行に走らないようにしようとする。あの方はそういった人でして、その上虫さえも傷付けられない御方。仮にご自身が攻撃されていたとしても、反撃ではなく防御と説得を選ばれるような方なんです。
そんなアリシア様が、攻撃――それも、捏造を用いてだなんて……。悪い夢を見たとしか、思えませんよね。
「差し出口であり暴言をお許しください。ラズエルア様が長年所謂猫を被っていた、という可能性は……?」
「ルルトス様、そちらはあり得ません」
「そうですね。わたしも同意見です」
首を突っ込めば面倒ごとになると理解した上で、とある侯爵令嬢に理不尽な嫌がらせをされていたモニカ様を守り助けた。その際にアリシア様にも沢山火の粉が飛んできたようなのですが、それを我慢し続けて説得を続け、なんとその侯爵令嬢は自身の行いを反省するに至った。
わたしは『わたくし』だった頃にその情報を得ており、モニカ様と共に首を左右に動かしました。
「アリシア様は悪意を持って攻撃されても、一切反撃されなかった。ですよね?」
「はいっ。お怪我を負ってもなお、迷わず説得をされ続けました」
「その件以外でもアリシア様はそれこそ聖女然とした行動しか取られてはおらず、嫌な言い方になってしまいますが、猫を被るメリットよりデメリットの方が圧倒的に多い選択をされてきているのですよ」
偽りの姿を見せ続けていたは、絶対にありえない。そういった理由で、わたし達はそう主張しています。
「では間違いなく、聖女のような方だった。そんなラズエルア様が、正反対な言動を見せるようになった……。なにが、あったのでしょうね……」
「その前に、二人きりでお会いした時は――1か月前はアリシア様らしい発言があり、その時は確かにわたくしが知っているアリシア様でした。その日から今日までの間に、何かがあったのだと思われます……」
モニカ様は特に身近で接されていて、そんな方が仰るのなら間違いありませんね。
そんな短期間で、豹変するだなんて……。何があったらそうなって――
「「あ!」」
――わたしとベルナール様の声が、重なりました。
もしかして、アリシア様は――
「………………」
すぐ反応をすべきなのに、10秒ほど経ってもわたしもベルナール様もリアクションを取れずにいます。
アリシア様が……。あのアリシア様が、わたしを……。
「お二人のお気持ちは、よく分かります……。わたくしもそうでしたから……」
「………………信じられません、よね……。モニカ様の表情と声音で、紛れもない事実なのだと理解していても……。信じられない自分がいます……」
「わたくしも何度も、さっきのは夢だった? と自身を疑いました。だって、あまりにも滅茶苦茶……。アリシア様がされるような行動ではないのですから……」
悪い心を持った人間が居たら『許せない』ではなく『可哀想』と感じ、どうにかしてその人の心を和らげ悪行に走らないようにしようとする。あの方はそういった人でして、その上虫さえも傷付けられない御方。仮にご自身が攻撃されていたとしても、反撃ではなく防御と説得を選ばれるような方なんです。
そんなアリシア様が、攻撃――それも、捏造を用いてだなんて……。悪い夢を見たとしか、思えませんよね。
「差し出口であり暴言をお許しください。ラズエルア様が長年所謂猫を被っていた、という可能性は……?」
「ルルトス様、そちらはあり得ません」
「そうですね。わたしも同意見です」
首を突っ込めば面倒ごとになると理解した上で、とある侯爵令嬢に理不尽な嫌がらせをされていたモニカ様を守り助けた。その際にアリシア様にも沢山火の粉が飛んできたようなのですが、それを我慢し続けて説得を続け、なんとその侯爵令嬢は自身の行いを反省するに至った。
わたしは『わたくし』だった頃にその情報を得ており、モニカ様と共に首を左右に動かしました。
「アリシア様は悪意を持って攻撃されても、一切反撃されなかった。ですよね?」
「はいっ。お怪我を負ってもなお、迷わず説得をされ続けました」
「その件以外でもアリシア様はそれこそ聖女然とした行動しか取られてはおらず、嫌な言い方になってしまいますが、猫を被るメリットよりデメリットの方が圧倒的に多い選択をされてきているのですよ」
偽りの姿を見せ続けていたは、絶対にありえない。そういった理由で、わたし達はそう主張しています。
「では間違いなく、聖女のような方だった。そんなラズエルア様が、正反対な言動を見せるようになった……。なにが、あったのでしょうね……」
「その前に、二人きりでお会いした時は――1か月前はアリシア様らしい発言があり、その時は確かにわたくしが知っているアリシア様でした。その日から今日までの間に、何かがあったのだと思われます……」
モニカ様は特に身近で接されていて、そんな方が仰るのなら間違いありませんね。
そんな短期間で、豹変するだなんて……。何があったらそうなって――
「「あ!」」
――わたしとベルナール様の声が、重なりました。
もしかして、アリシア様は――
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