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第8話 信じられない ジョゼット視点(3)
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「アリシア様に転んでいただき、顔を打って気絶してもらいましょう」
今のあの方は、わたくしだった頃と同じ。でしたらわたしが戻った際にあったことをすれば、元に戻ります。
「他にも方法があるのかもしれませんが、探している間に取り返しがつかなくなってしまう可能性がありますし、そもそもそれ以外には方法がない可能性もあります。乱暴な行動は取りたくないですが、仕方がありません」
「今のアリシア様は異様に急いでいて、のんびりしている時間はないと思います。わたくしも賛成でございます」
「あの日のジョゼット様は、後ろから掻きつかれて転び顔面を強打して意識を失う。事故が起きた場所と日時は再現が難しいですが、さすがにそれらは無関係でしょうし。念のために、その二つを除いた行動をしておいた方がいいですね」
もしかすると、掻きつき方にも何か意味があったのかもしれません。確実に1回で治せるように、再現できる部分は出来る限りやっておくべきですよね。
「二つを除いた……。実行するのはわたくし、になるのですよね……?」
「はい。出来る限りあの夜と一緒にしたいですし、わたし達でしたら警戒されて上手く倒せないと思います」
わたしは今のアリシア様の怨敵ですし、ベルナール様はあまり御縁のない異性。背中を向けてくれません。
「承知いたしました。……あの、ジョゼット様」
「なんでしょう?」
「掻きついた時は動揺してしまっており、記憶があやふやな部分がありまして。間違いがないか、お身体を使って確認をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです」
あの時は『わたくし』のせいで、精神が酷く不安定になっていました。そうなるのも無理はありません。
「後ろを向きますね。モニカ様、いつでもどうぞ」
「は、はい。まず……このように、後ろから掻きましたよね?」
「ええ、そちらで間違いはありません」
「それから……。実際にやると危険ですし、手で致します。ジョゼット様のお身体は、このくらいの勢いで倒れましたよね?」
「そうですね。このくらいで倒れて、この部分から倒れ込みました」
右手を上下に振って速度を確かめ合い、人差し指を額に当てました。
「わたしとアリシア様は、身長にも体重にもあまり差はないように思います。先ほどの位置に掻きつきあの速さで倒せたら、同じように顔を打ち付けるはずです」
「…………覚え、ました」
「再び差し出口をお許しください。念のために、気を失ってから目覚めるまでも同じ流れにしておいた方がいいと感じまして――」
などなど。その後もきっちりと細かな確認や練習を行い、無事に全ての作業が終わりました。
「モニカ様、頼りにさせていただきます」「ヴァサロット様、よろしくお願い致します」
「ジョゼット様、ルルトス様。お任せください」
計画の進み具合などをチェックするため、明日の夕方ラズエルア伯爵邸で会う予定となっていました。ですので決行は明日となり、わたし達は握手を交わして決起したのでした。
今のあの方は、わたくしだった頃と同じ。でしたらわたしが戻った際にあったことをすれば、元に戻ります。
「他にも方法があるのかもしれませんが、探している間に取り返しがつかなくなってしまう可能性がありますし、そもそもそれ以外には方法がない可能性もあります。乱暴な行動は取りたくないですが、仕方がありません」
「今のアリシア様は異様に急いでいて、のんびりしている時間はないと思います。わたくしも賛成でございます」
「あの日のジョゼット様は、後ろから掻きつかれて転び顔面を強打して意識を失う。事故が起きた場所と日時は再現が難しいですが、さすがにそれらは無関係でしょうし。念のために、その二つを除いた行動をしておいた方がいいですね」
もしかすると、掻きつき方にも何か意味があったのかもしれません。確実に1回で治せるように、再現できる部分は出来る限りやっておくべきですよね。
「二つを除いた……。実行するのはわたくし、になるのですよね……?」
「はい。出来る限りあの夜と一緒にしたいですし、わたし達でしたら警戒されて上手く倒せないと思います」
わたしは今のアリシア様の怨敵ですし、ベルナール様はあまり御縁のない異性。背中を向けてくれません。
「承知いたしました。……あの、ジョゼット様」
「なんでしょう?」
「掻きついた時は動揺してしまっており、記憶があやふやな部分がありまして。間違いがないか、お身体を使って確認をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです」
あの時は『わたくし』のせいで、精神が酷く不安定になっていました。そうなるのも無理はありません。
「後ろを向きますね。モニカ様、いつでもどうぞ」
「は、はい。まず……このように、後ろから掻きましたよね?」
「ええ、そちらで間違いはありません」
「それから……。実際にやると危険ですし、手で致します。ジョゼット様のお身体は、このくらいの勢いで倒れましたよね?」
「そうですね。このくらいで倒れて、この部分から倒れ込みました」
右手を上下に振って速度を確かめ合い、人差し指を額に当てました。
「わたしとアリシア様は、身長にも体重にもあまり差はないように思います。先ほどの位置に掻きつきあの速さで倒せたら、同じように顔を打ち付けるはずです」
「…………覚え、ました」
「再び差し出口をお許しください。念のために、気を失ってから目覚めるまでも同じ流れにしておいた方がいいと感じまして――」
などなど。その後もきっちりと細かな確認や練習を行い、無事に全ての作業が終わりました。
「モニカ様、頼りにさせていただきます」「ヴァサロット様、よろしくお願い致します」
「ジョゼット様、ルルトス様。お任せください」
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