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第14話 選択肢 ジョゼット視点(2)
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「ベルナール様……。どうして、そちらに……」
「ジョゼット様の御提案により、到着後は別ルートで移動をしていたのです」
アリシア様が乗っていた馬車を見て、同じ道を追いかけた場合は『追いついた時には像の近くにいる』――わたし達が捕まえる前に水晶を壊されてしまうと感じました。そこで遠回りにはなってしまいますが像の後ろ側に出られる道を進んでいただき、アリシア様に気付かれないようにして像の前に立てるようにしていたのです。
「……やっと、分かったわ……。アンタが声をかけていたのは、稼ぎだったのね……!」
「そちらもありますが……。説得も兼ねておりました」
同じ世界から来た方、できることなら幸せな第二の人生を歩んで欲しかった。全て未遂である今ならやり直せると思い、そのお話をさせていただこうとしていたのですが――。
あの時のアリシア様の瞳と声は、あまりにも恐ろしく凶悪だった。
わたしが想像していたより遥かに邪な――自己中心的かつ攻撃的な心をお持ちで、説得できるような方ではないと痛感しました。
「自分が幸せになるためなら、他者をどんな目に遭わせてもいい。自分だけが苦しい思いをするくらいなら、全員巻き込む。貴方は、自由でいてはいけない方です」
「はっ、何を言ってるのよ。この世界にいるのは、全員作られた人間。あたしと違ってちゃんとした人間じゃないんだから、どうでもいいでしょ。なに? アンタはパソコンでデータを削除する時、いちいち泣いてたの?」
「……アリシア様……」
「偽善、綺麗ごと、ほんと不愉快っ!! アンタは尻軽と罵っていた同僚とは違うタイプのムカつく女だわ!! それにそもそもねえっ、あたしは本来幸せを手に入れるべき人間なのよっ! 受け取るはずの幸せがお前のせいで手から滑り落ちちゃったんだからっ、取り戻すためなら何をしてもいいのよ!! 元凶が分かったような口を利くなっ!! 幸せを横取りしてきた泥棒は黙っていろっ!!」
「では、僕が引き継がせていただきましょうか」
ジョゼット様は、泥棒ではありませんがね――。ベルナール様はわたしに向けて首を振ってくださり、アリシア様へと向き直りました。
「そうですね。自分が得るはずのものを得られなくなってしまう、それは辛いことです」
「! ベルナールさま――」
「でもそれは、『アリシア・ラズエルア様』が得るはずだったもの。それを仰るのなら、貴方様はラズエルア様のもとにくる幸せを横取りしてきた泥棒。黙っていないといけない存在ではないのでしょうかね?」
「違う! 違う!!」
喜びが宿ったお顔が一変し、再び激しい怒りが表れました。
「あたしは気付いたらアリシアになっていたんだもの!! 全然違う!! あたしは奪おうとして奪ったんじゃないから関係ないわ!!」
「だとしたら、ジョゼット様もそうなりますよね? ジョゼット様は気が付いたら、本来のジョゼット様が取る行動を取っていなかっただけなのですから」
「違う!! 一緒にしないで!! 違う!! あたしは違う!! あたしとこの女は違うのっ!! あたしは被害者でっ、こいつは加害者なの!!」
理路整然とした反論ができなくなったら、ひたすら大きな声で怒る。
わたしがかつて務めていた小学校にも、そういう子がいました。アリシア様の中の方は大人なようですが、身体だけ成長して大人になってしまったのでしょうね……。
「……ベルナール様」
「そうですね、会話はここまでにしましょう。アリシア様、すでにほ――」
「お前はバグに塗れた、ベルナール様の姿をした偽物。だったら遠慮なんてしないわよっっ!!」
突然のことでした。アリシア様は、懐に手を突っ込んで――
「ジョゼット様の御提案により、到着後は別ルートで移動をしていたのです」
アリシア様が乗っていた馬車を見て、同じ道を追いかけた場合は『追いついた時には像の近くにいる』――わたし達が捕まえる前に水晶を壊されてしまうと感じました。そこで遠回りにはなってしまいますが像の後ろ側に出られる道を進んでいただき、アリシア様に気付かれないようにして像の前に立てるようにしていたのです。
「……やっと、分かったわ……。アンタが声をかけていたのは、稼ぎだったのね……!」
「そちらもありますが……。説得も兼ねておりました」
同じ世界から来た方、できることなら幸せな第二の人生を歩んで欲しかった。全て未遂である今ならやり直せると思い、そのお話をさせていただこうとしていたのですが――。
あの時のアリシア様の瞳と声は、あまりにも恐ろしく凶悪だった。
わたしが想像していたより遥かに邪な――自己中心的かつ攻撃的な心をお持ちで、説得できるような方ではないと痛感しました。
「自分が幸せになるためなら、他者をどんな目に遭わせてもいい。自分だけが苦しい思いをするくらいなら、全員巻き込む。貴方は、自由でいてはいけない方です」
「はっ、何を言ってるのよ。この世界にいるのは、全員作られた人間。あたしと違ってちゃんとした人間じゃないんだから、どうでもいいでしょ。なに? アンタはパソコンでデータを削除する時、いちいち泣いてたの?」
「……アリシア様……」
「偽善、綺麗ごと、ほんと不愉快っ!! アンタは尻軽と罵っていた同僚とは違うタイプのムカつく女だわ!! それにそもそもねえっ、あたしは本来幸せを手に入れるべき人間なのよっ! 受け取るはずの幸せがお前のせいで手から滑り落ちちゃったんだからっ、取り戻すためなら何をしてもいいのよ!! 元凶が分かったような口を利くなっ!! 幸せを横取りしてきた泥棒は黙っていろっ!!」
「では、僕が引き継がせていただきましょうか」
ジョゼット様は、泥棒ではありませんがね――。ベルナール様はわたしに向けて首を振ってくださり、アリシア様へと向き直りました。
「そうですね。自分が得るはずのものを得られなくなってしまう、それは辛いことです」
「! ベルナールさま――」
「でもそれは、『アリシア・ラズエルア様』が得るはずだったもの。それを仰るのなら、貴方様はラズエルア様のもとにくる幸せを横取りしてきた泥棒。黙っていないといけない存在ではないのでしょうかね?」
「違う! 違う!!」
喜びが宿ったお顔が一変し、再び激しい怒りが表れました。
「あたしは気付いたらアリシアになっていたんだもの!! 全然違う!! あたしは奪おうとして奪ったんじゃないから関係ないわ!!」
「だとしたら、ジョゼット様もそうなりますよね? ジョゼット様は気が付いたら、本来のジョゼット様が取る行動を取っていなかっただけなのですから」
「違う!! 一緒にしないで!! 違う!! あたしは違う!! あたしとこの女は違うのっ!! あたしは被害者でっ、こいつは加害者なの!!」
理路整然とした反論ができなくなったら、ひたすら大きな声で怒る。
わたしがかつて務めていた小学校にも、そういう子がいました。アリシア様の中の方は大人なようですが、身体だけ成長して大人になってしまったのでしょうね……。
「……ベルナール様」
「そうですね、会話はここまでにしましょう。アリシア様、すでにほ――」
「お前はバグに塗れた、ベルナール様の姿をした偽物。だったら遠慮なんてしないわよっっ!!」
突然のことでした。アリシア様は、懐に手を突っ込んで――
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