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第1話 そんなわたしの声が……!?(1)
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「……………………。嫌な夢、見ちゃった……」
中学生最後の夏休みの、一日目。目を覚ますと涙が出ていて、わたしはため息をつきながらハンカチで両目を拭いた。
『佐倉(さくら)ちゃんの声って、変だよね』
『美月(みつき)ちゃんの声って、わたし達と全然違うよね~。高すぎてちょっと気持ち悪い』
『た、高い……。じゃ、じゃあ……。声をすごく低くしてみたら、変じゃなくなる……? ど、どう、かな……?』
『『『『『ぷっ。なにその声!』』』』』
『もっとおかしくなってるよ。ちょっとじゃなくて、すっごく気持ち悪い』
『だったら……。これ、とか……。これ、はどう……? 気持ち悪く、なくなった?』
『『『『『ぶぷっ!』』』』』
『やめてっ、笑いすぎて死んじゃうからっ。ホントやめてっ! お願いっ!』
『もっとおかしくなってるからっ!』
『すっごくを超えて、めちゃくちゃ気持ち悪い。その声、どっから出てるんだろうね?』
『ね~』
『………………。……………………』
一年間ずっと隠してきたけどある日お父さんとお母さんが『おかしい』って気付いて、学校に話しにいってくれた。実は転校する時に『前の学校と違って人数が多いから、美月の声を気にかけてやってください』ってコッソリ学校にお願いしてくれていて、それなのに先生も一緒になっていたから、強く怒ってくれて。
そのおかげで、それから声に関することは直接言われなくなった。
でも……。
あんな風に笑われたってことは、今でもみんな心の中では思っていて……。わたしが声を出したら、影で笑われちゃう……。
だから、怖い。あの時のことが今でも怖くって、トラウマ、っていうのになっちゃってて……。今でもよく、あの時の夢を見てしまうのです……。
「…………どうして、こんな声なのかな……」
みんなと同じような声だったら、あんなことなかったのに。今も楽しく、みんなみたいに教室や外で楽しくお喋りできるのに。
わたしは、ベッドで大きなため息をついて――すぐに、首をブンブン右と左に振る。
「落ち込んじゃダメっ。今日はずっと楽しみにしてた日なんだから、元気でいないと勿体(もったい)ないよね!」
今日はお父さんがお休みを取ってくれていて、3人で1泊2日の旅行に行くの。行き先はずっと行ってみたかったテーマパークで、どんよりしてたらしっかり楽しめなくなっちゃう。
「………………んっ、もう大丈夫っ。夢のことは忘れて、楽しい一日にしよっ!」
もう一回首をブンブン振って気分を切り替えてベッドから降りて、ゴソゴソゴソ。パジャマを脱いでお洋服に着替えて1階に降りて、
「お父さん、お母さん、おはようございます~っ!」
「うん。美月、おはよう」
「美月、おはよう」
ふたりに朝のご挨拶をして、みんな一緒にご飯を食べて、それから1時間くらいした頃かな。出発の準備が整って、出掛けられるようになりました!
「あなた~っ、ごめんなさいっ。こっちの荷物も追加で持っていくようにし――あら? 美月、パパは?」
「車で、カーナビの準備をするって言ってたよ。その荷物を持っていけばいいんだよね? わたしが持っていくよ」
「え。かなり中に入っているけど大丈夫? 持てる?」
「大丈夫だよっ。持ってくね」
田舎で暮らしてた頃に重い物を運んでいたから、今でも全然平気。わたしはボストンバッグを持って玄関に向かい、扉を開けて――
「あっ、お父さんっ! お母さんがね、これもお願いって言ってい」
――玄関前のポーチにお父さんがいたから呼んで、わたしは急いで声を出すのをやめる。
なぜなら……。お父さんの前には、知らない人達が――男の人と女の人と、わたしと同い年くらいの男の子がいたから。
「ぁ……。あのね、美月。隣の家に越してこられて、わざわざご挨拶に来てくださったんだよ」
「驚かせてごめんね。初めまして。田宮良太(たみやりょうすけ)と申します」
「ちょうどお父様のお姿が見えて、ご挨拶させてもらっていたんですよ。わたしは、涼香(すずか)と申します。これからよろしくお願いしますね」
眼鏡をかけた優しそうな人と、ほんわかしたソバージュの人――隣の人さんのお父さんとお母さんは丁寧にご挨拶をしてくれて、
((ごめんなさい))
と心の中で謝りながら、無言でお辞儀をしていた――時でした。
((えっ!?))
――おもわずわたしは、心の中で大きな声を出してしまいました。
なんでかって言うと…………。
「突然ごめんなさいっ。僕のイラストを使って、VTuberになってくれませんかっ?」
急に男の子くんがわたしの前に来て、そんなお願いをされたからです。
中学生最後の夏休みの、一日目。目を覚ますと涙が出ていて、わたしはため息をつきながらハンカチで両目を拭いた。
『佐倉(さくら)ちゃんの声って、変だよね』
『美月(みつき)ちゃんの声って、わたし達と全然違うよね~。高すぎてちょっと気持ち悪い』
『た、高い……。じゃ、じゃあ……。声をすごく低くしてみたら、変じゃなくなる……? ど、どう、かな……?』
『『『『『ぷっ。なにその声!』』』』』
『もっとおかしくなってるよ。ちょっとじゃなくて、すっごく気持ち悪い』
『だったら……。これ、とか……。これ、はどう……? 気持ち悪く、なくなった?』
『『『『『ぶぷっ!』』』』』
『やめてっ、笑いすぎて死んじゃうからっ。ホントやめてっ! お願いっ!』
『もっとおかしくなってるからっ!』
『すっごくを超えて、めちゃくちゃ気持ち悪い。その声、どっから出てるんだろうね?』
『ね~』
『………………。……………………』
一年間ずっと隠してきたけどある日お父さんとお母さんが『おかしい』って気付いて、学校に話しにいってくれた。実は転校する時に『前の学校と違って人数が多いから、美月の声を気にかけてやってください』ってコッソリ学校にお願いしてくれていて、それなのに先生も一緒になっていたから、強く怒ってくれて。
そのおかげで、それから声に関することは直接言われなくなった。
でも……。
あんな風に笑われたってことは、今でもみんな心の中では思っていて……。わたしが声を出したら、影で笑われちゃう……。
だから、怖い。あの時のことが今でも怖くって、トラウマ、っていうのになっちゃってて……。今でもよく、あの時の夢を見てしまうのです……。
「…………どうして、こんな声なのかな……」
みんなと同じような声だったら、あんなことなかったのに。今も楽しく、みんなみたいに教室や外で楽しくお喋りできるのに。
わたしは、ベッドで大きなため息をついて――すぐに、首をブンブン右と左に振る。
「落ち込んじゃダメっ。今日はずっと楽しみにしてた日なんだから、元気でいないと勿体(もったい)ないよね!」
今日はお父さんがお休みを取ってくれていて、3人で1泊2日の旅行に行くの。行き先はずっと行ってみたかったテーマパークで、どんよりしてたらしっかり楽しめなくなっちゃう。
「………………んっ、もう大丈夫っ。夢のことは忘れて、楽しい一日にしよっ!」
もう一回首をブンブン振って気分を切り替えてベッドから降りて、ゴソゴソゴソ。パジャマを脱いでお洋服に着替えて1階に降りて、
「お父さん、お母さん、おはようございます~っ!」
「うん。美月、おはよう」
「美月、おはよう」
ふたりに朝のご挨拶をして、みんな一緒にご飯を食べて、それから1時間くらいした頃かな。出発の準備が整って、出掛けられるようになりました!
「あなた~っ、ごめんなさいっ。こっちの荷物も追加で持っていくようにし――あら? 美月、パパは?」
「車で、カーナビの準備をするって言ってたよ。その荷物を持っていけばいいんだよね? わたしが持っていくよ」
「え。かなり中に入っているけど大丈夫? 持てる?」
「大丈夫だよっ。持ってくね」
田舎で暮らしてた頃に重い物を運んでいたから、今でも全然平気。わたしはボストンバッグを持って玄関に向かい、扉を開けて――
「あっ、お父さんっ! お母さんがね、これもお願いって言ってい」
――玄関前のポーチにお父さんがいたから呼んで、わたしは急いで声を出すのをやめる。
なぜなら……。お父さんの前には、知らない人達が――男の人と女の人と、わたしと同い年くらいの男の子がいたから。
「ぁ……。あのね、美月。隣の家に越してこられて、わざわざご挨拶に来てくださったんだよ」
「驚かせてごめんね。初めまして。田宮良太(たみやりょうすけ)と申します」
「ちょうどお父様のお姿が見えて、ご挨拶させてもらっていたんですよ。わたしは、涼香(すずか)と申します。これからよろしくお願いしますね」
眼鏡をかけた優しそうな人と、ほんわかしたソバージュの人――隣の人さんのお父さんとお母さんは丁寧にご挨拶をしてくれて、
((ごめんなさい))
と心の中で謝りながら、無言でお辞儀をしていた――時でした。
((えっ!?))
――おもわずわたしは、心の中で大きな声を出してしまいました。
なんでかって言うと…………。
「突然ごめんなさいっ。僕のイラストを使って、VTuberになってくれませんかっ?」
急に男の子くんがわたしの前に来て、そんなお願いをされたからです。
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