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番外編 エスポワール(2)
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3人が訪れたエスポワールが建っていた場所から、西に21キロほど離れた地点。そこにはかつて、エスポワールという名の喫茶店が存在していました。
落ち着いて過ごせる居心地の良い空間と、幅広いメニューを取り揃えたとびきり美味しい料理が自慢。
そんなエスポワールはいつも人で賑わっていて、2つの『売り』の影響なのでしょう。仲直りの場として使用するお客さんが、とても多かったそうです。
お店に入って来た時はギクシャク、お店を出る時はニッコリ。
エスポワールはそんな姿を毎日毎日、60年間眺め続けていて、そんな役目を持てていることがとても嬉しかった。ずっとずっと、そうあり続けたいと思っていたようです。
ですが――。
店長の死去と老朽化。
それらの理由によって、エスポワールは取り壊されてしまったのでした。
〇〇
「……………………これは、いったい……!?」
エスポワールが取り壊されてしまってから、33年後。とある街にある空き地の前で、月島昴という名の男性が目を瞬かせていました。
「ここは……。ひいお爺さんの家があった土地、ですよね……?」
土地の権利者である父親の海外赴任が決まり、代わりに管理をすることになる。そんな理由で昴は初めて跡地を訪れ、その際に信じられない光景を目にしていたのでした。
西洋の雰囲気漂うオレンジの三角屋根が目印の、建物。
取り壊されて空き地となっていたはずの場所に、かつて曾祖父が経営していたとされる――写真で見たことのあるカフェが、建っていたのです。
「……ここにはなにもなかったはずですし、そもそもカフェ・エスポワールは別の場所にあったはずです。どうしてここに……!?」
あり得ないことが起きているため戸惑い、しばらく呆然としたあと――。昴はとりあえず、建物に近づいてみることにしました。
「中に入れば、何か分かるかもしれませんね……。鍵が開いているなんてことは、さすがにない――っ!?」
鍵がかかっていない可能性を期待して、ドアを握った、その瞬間でした。昴の頭の中に――
落ち着いて過ごせる居心地の良い空間と、幅広いメニューを取り揃えたとびきり美味しい料理が自慢。
そんなエスポワールはいつも人で賑わっていて、2つの『売り』の影響なのでしょう。仲直りの場として使用するお客さんが、とても多かったそうです。
お店に入って来た時はギクシャク、お店を出る時はニッコリ。
エスポワールはそんな姿を毎日毎日、60年間眺め続けていて、そんな役目を持てていることがとても嬉しかった。ずっとずっと、そうあり続けたいと思っていたようです。
ですが――。
店長の死去と老朽化。
それらの理由によって、エスポワールは取り壊されてしまったのでした。
〇〇
「……………………これは、いったい……!?」
エスポワールが取り壊されてしまってから、33年後。とある街にある空き地の前で、月島昴という名の男性が目を瞬かせていました。
「ここは……。ひいお爺さんの家があった土地、ですよね……?」
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西洋の雰囲気漂うオレンジの三角屋根が目印の、建物。
取り壊されて空き地となっていたはずの場所に、かつて曾祖父が経営していたとされる――写真で見たことのあるカフェが、建っていたのです。
「……ここにはなにもなかったはずですし、そもそもカフェ・エスポワールは別の場所にあったはずです。どうしてここに……!?」
あり得ないことが起きているため戸惑い、しばらく呆然としたあと――。昴はとりあえず、建物に近づいてみることにしました。
「中に入れば、何か分かるかもしれませんね……。鍵が開いているなんてことは、さすがにない――っ!?」
鍵がかかっていない可能性を期待して、ドアを握った、その瞬間でした。昴の頭の中に――
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