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第13話 賑 賑?(9)
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「? 僕に何の用ですか?」
天地村では満月の日に特別なイベントが開かれる、澄み切った水が美しい月下湖。そこに居る帽子を被った少年に――犯人に対して「天地屋の者です」と声をかけると、彼は不思議そうに目をぱちぱちとさせた。
まるで、窃盗なんてしていないかのように。
((この目。あの時の子と同じ目をしている……))
かつてウチのレストランで、お土産コーナーで販売している特製の調味料を盗んだ人が居た。
その子が盗む様子は、偶々わたしが目撃していた。盗んでいて、その店の人間が確認しにきたのに、動揺ひとつなかったのだ。
((犯罪をしているって自覚がない? それとも、万引きに慣れて罪悪感を抱かなくなってる? いずれにせよ、恐ろしい))
さっきの大学生とは別のベクトルで危険。村のためだけじゃなく、他の店のためにもどうにかしないといけない。
「?? ??? 皆さん、僕を見てる? 僕がどうかしましたか?」
「単刀直入に言いますね? 天地屋で万引きをしましたよね?」
「僕が!? しっ、してませんよっ! してないです!」
「いいえ、しています。記念硬貨とボールペンをポケットに入れる場面を、ウチのスタッフのひとりが目撃しています」
一帯を網羅できる目全さんの目は、誤魔化せなかった。
車の中には記憶紙さんが出してくれたものがあるけれど、残念ながらアレを証拠にはできない。違うやり方で認めさせる。
「な、なにかの間違いです……っ! 天地屋さんにはいったけどっ、何も買わずに出てきましたもんっ! 盗んでなんていませんっ!」
「そうですか。でしたら――」
「盗んでいたらっ、盗んだものを持っているはずですよね!? 調べていいですよ! 隅々まで調べてみてください!」
少年はかけていたバッグを地面に置き、両手を広げた。
「………………」
「どうしたんですか店員のお姉さんっ! 僕が盗ってるんでしょうっ? 調べてみてくださいよっ!」
「じょ、嬢ちゃん……?」
「もちろん、調べさせていただきます。安倍さんお願いします」
こういった行為は、同性が行う方がいい。同じ男性である安倍さんにお願いして、バッグの中、ポケットの中、シャツとズボンの中まで調べた。
「あ、明彦。どうだった……?」
「どちらも見当たりませんでした」
「だから言ったでしょ!? 何もやってないのに万引き犯って決めつけるなんてひどいよ! 許せない!! 言い広めてやるからね!!」
少年の態度が一変。顔を真っ赤にして怒り出し、目を吊り上げながら安倍さんが取り出したスマホを指差したのだった。
「たまたま鳥の声を録音してたおかげで、さっきのやり取りは全部残ってるからね! 言い逃れできないよ!!」
「そう。そうなのね」
「な、なんだよ!! なんでそんなに落ち着いてるんだよ!!」
「なんでかって? 想定内だからよ」
自信満々に調べさせるから、おかしいと思った。
自ら隅々まで確認させたのは、盗んだものはとっくに手元を離れていたからだったのね。
「そこにあるバッグにもポケットの中にもないのは、『途中で誰かに渡した』か『途中で隠した』から。そうなんでしょう?」
驚影さんの証言によると、後者はほぼない。とはいえ、それは100ではない。
「はっ、はあ!?」
「元々そういう計画だったのか、捕まりそうな気配を感じたのか。直近で渡している、そうでしょう?」
「違うよっ!! 誤魔化そうとして適当なことを言ってるんでしょ!!」
「それこそ違う。そんなに否定をするのなら、これからそれを証明してあげるわ」
あの絶対的な証拠を使えない。少年は否認している上に、攻める隙もない。
そんな状況下でも、追い詰めることができる。なぜならば――
「? 嬢ちゃん?」
――この場には、心問答さんがいるのだから。
天地村では満月の日に特別なイベントが開かれる、澄み切った水が美しい月下湖。そこに居る帽子を被った少年に――犯人に対して「天地屋の者です」と声をかけると、彼は不思議そうに目をぱちぱちとさせた。
まるで、窃盗なんてしていないかのように。
((この目。あの時の子と同じ目をしている……))
かつてウチのレストランで、お土産コーナーで販売している特製の調味料を盗んだ人が居た。
その子が盗む様子は、偶々わたしが目撃していた。盗んでいて、その店の人間が確認しにきたのに、動揺ひとつなかったのだ。
((犯罪をしているって自覚がない? それとも、万引きに慣れて罪悪感を抱かなくなってる? いずれにせよ、恐ろしい))
さっきの大学生とは別のベクトルで危険。村のためだけじゃなく、他の店のためにもどうにかしないといけない。
「?? ??? 皆さん、僕を見てる? 僕がどうかしましたか?」
「単刀直入に言いますね? 天地屋で万引きをしましたよね?」
「僕が!? しっ、してませんよっ! してないです!」
「いいえ、しています。記念硬貨とボールペンをポケットに入れる場面を、ウチのスタッフのひとりが目撃しています」
一帯を網羅できる目全さんの目は、誤魔化せなかった。
車の中には記憶紙さんが出してくれたものがあるけれど、残念ながらアレを証拠にはできない。違うやり方で認めさせる。
「な、なにかの間違いです……っ! 天地屋さんにはいったけどっ、何も買わずに出てきましたもんっ! 盗んでなんていませんっ!」
「そうですか。でしたら――」
「盗んでいたらっ、盗んだものを持っているはずですよね!? 調べていいですよ! 隅々まで調べてみてください!」
少年はかけていたバッグを地面に置き、両手を広げた。
「………………」
「どうしたんですか店員のお姉さんっ! 僕が盗ってるんでしょうっ? 調べてみてくださいよっ!」
「じょ、嬢ちゃん……?」
「もちろん、調べさせていただきます。安倍さんお願いします」
こういった行為は、同性が行う方がいい。同じ男性である安倍さんにお願いして、バッグの中、ポケットの中、シャツとズボンの中まで調べた。
「あ、明彦。どうだった……?」
「どちらも見当たりませんでした」
「だから言ったでしょ!? 何もやってないのに万引き犯って決めつけるなんてひどいよ! 許せない!! 言い広めてやるからね!!」
少年の態度が一変。顔を真っ赤にして怒り出し、目を吊り上げながら安倍さんが取り出したスマホを指差したのだった。
「たまたま鳥の声を録音してたおかげで、さっきのやり取りは全部残ってるからね! 言い逃れできないよ!!」
「そう。そうなのね」
「な、なんだよ!! なんでそんなに落ち着いてるんだよ!!」
「なんでかって? 想定内だからよ」
自信満々に調べさせるから、おかしいと思った。
自ら隅々まで確認させたのは、盗んだものはとっくに手元を離れていたからだったのね。
「そこにあるバッグにもポケットの中にもないのは、『途中で誰かに渡した』か『途中で隠した』から。そうなんでしょう?」
驚影さんの証言によると、後者はほぼない。とはいえ、それは100ではない。
「はっ、はあ!?」
「元々そういう計画だったのか、捕まりそうな気配を感じたのか。直近で渡している、そうでしょう?」
「違うよっ!! 誤魔化そうとして適当なことを言ってるんでしょ!!」
「それこそ違う。そんなに否定をするのなら、これからそれを証明してあげるわ」
あの絶対的な証拠を使えない。少年は否認している上に、攻める隙もない。
そんな状況下でも、追い詰めることができる。なぜならば――
「? 嬢ちゃん?」
――この場には、心問答さんがいるのだから。
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