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第15話 激突(3)
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「水前寺さん……?」
「あんた……。なにを……?」
「あなたのお名前を教えてもらえますか?」
侵入者や男と呼ぶのは、アレだもんね。先に確認しておく。
「な、名前……? 神坂(かみさか)だ」
「そう、ですか。……神坂さん。わたしは、この目と耳で見て聞いたもの以外では判断しないタイプなんですよ」
過去の言動、周囲の評判、自分との関係性などなど。一切考慮しない。
たとえば親友が『いじめられた』と言っていても、納得できるものがない限りフラットに対応する。
「だから神坂さんの気持ちを理解できる部分があるし、理解できない部分もあるんですよ」
「………………」
「ですからこれから、貴方に見せたいものがあります。……お借りしますね」
胸の前で、パンと手を叩く。そうすると――
「こいつはっ! あのあやかしの!?」
――わたしと神坂さんの間に、5体の日本人形が現れた。
「貴方に不完全に斬られた影響で、操形さんは――貴方が最後に攻撃したあやかしは消滅しかけていて、救うためにこの身体に憑依させたんです。その影響、なんでしょうね。操形さんの記憶だけではなく、力も共有できるようになっているんですよ」
「…………そ、それが、なんなんだ……?」
「目の前に並んでいるのは、あの時の人形ですよね? 実はこれは基本形で、こんなバージョンの日本人形も出せるんですよ」
大きな針を持った人形。包丁を持った人形。大きなハサミを持った人形。弓矢を持った人間。小さな火縄銃を持った人間。
今度は、物騒な姿で登場した。
「操形さんは、捨てられた人形の怨念が集まって誕生したあやかし。当時存在した、かつての持ち主を――人間を傷付けられる道具を持った状態で出せるんですよ」
「……だ、だとしたら……」
「そうですね。操形さんにその気があれば、あんな風にやられはしなかった。上手く行けば一方的にハチの巣にできて、最悪でも相打ちには持ち込めていますね」
弓矢や火縄銃つきの人形を出して発射させたり、ハサミや包丁を構えて一気に突進させたり。これで一方的に倒せる。
神坂さんは襲撃の際、不意を突かれている。あの時にこの子達を出していたら、その隙にいくつもの傷を負わせられていた。
「あの時操形さんは、『…………ああもう。あの子に会う前の私なら、ねえ』と呟いていました。ご先祖様の安倍さんと出会い、『二度と人を傷付けない』と約束したから攻撃しなかったんですよ」
正当防衛であっても、人を傷付けてしまう。操形さんは反故になると感じ、守りにのみ使用した。
「自分が殺されてしまうかもしれない時でさえも、攻撃をしなかったんです。過去とは違う。少なくとも――『あやかしは悪いことをする』という認識は、決めつけだとは思いませんか?」
「………………」
「だからわたし達の言い分を、全面的に信じて欲しい。とは言いません」
だってわたし自身、ああいった性分なんだから。
「でも。それでも。信じてもいい部分も、あるんじゃないでしょうか?」
「………………」
「今すぐに、結論を出さなくてもいいと思うんですよ。まだ選ばない、を選んでみませんか?」
自分の胸元に触れて。安倍さんを見て。心問答さん達を見て。また、神坂さんを見る。
そうすると目の前にある口は、
「………………そう、だな。俺の思考は、凝り固まっていたようだ」
そんな風に動いて――。
「安倍家の人間、説得は不要だぞ。この封刃を壊す必要はなくなったのだからな」
神坂さんが握っている柄が真白に輝き、光が収まると食楽さん達が地面に倒れていたのでした。
「あんた……。なにを……?」
「あなたのお名前を教えてもらえますか?」
侵入者や男と呼ぶのは、アレだもんね。先に確認しておく。
「な、名前……? 神坂(かみさか)だ」
「そう、ですか。……神坂さん。わたしは、この目と耳で見て聞いたもの以外では判断しないタイプなんですよ」
過去の言動、周囲の評判、自分との関係性などなど。一切考慮しない。
たとえば親友が『いじめられた』と言っていても、納得できるものがない限りフラットに対応する。
「だから神坂さんの気持ちを理解できる部分があるし、理解できない部分もあるんですよ」
「………………」
「ですからこれから、貴方に見せたいものがあります。……お借りしますね」
胸の前で、パンと手を叩く。そうすると――
「こいつはっ! あのあやかしの!?」
――わたしと神坂さんの間に、5体の日本人形が現れた。
「貴方に不完全に斬られた影響で、操形さんは――貴方が最後に攻撃したあやかしは消滅しかけていて、救うためにこの身体に憑依させたんです。その影響、なんでしょうね。操形さんの記憶だけではなく、力も共有できるようになっているんですよ」
「…………そ、それが、なんなんだ……?」
「目の前に並んでいるのは、あの時の人形ですよね? 実はこれは基本形で、こんなバージョンの日本人形も出せるんですよ」
大きな針を持った人形。包丁を持った人形。大きなハサミを持った人形。弓矢を持った人間。小さな火縄銃を持った人間。
今度は、物騒な姿で登場した。
「操形さんは、捨てられた人形の怨念が集まって誕生したあやかし。当時存在した、かつての持ち主を――人間を傷付けられる道具を持った状態で出せるんですよ」
「……だ、だとしたら……」
「そうですね。操形さんにその気があれば、あんな風にやられはしなかった。上手く行けば一方的にハチの巣にできて、最悪でも相打ちには持ち込めていますね」
弓矢や火縄銃つきの人形を出して発射させたり、ハサミや包丁を構えて一気に突進させたり。これで一方的に倒せる。
神坂さんは襲撃の際、不意を突かれている。あの時にこの子達を出していたら、その隙にいくつもの傷を負わせられていた。
「あの時操形さんは、『…………ああもう。あの子に会う前の私なら、ねえ』と呟いていました。ご先祖様の安倍さんと出会い、『二度と人を傷付けない』と約束したから攻撃しなかったんですよ」
正当防衛であっても、人を傷付けてしまう。操形さんは反故になると感じ、守りにのみ使用した。
「自分が殺されてしまうかもしれない時でさえも、攻撃をしなかったんです。過去とは違う。少なくとも――『あやかしは悪いことをする』という認識は、決めつけだとは思いませんか?」
「………………」
「だからわたし達の言い分を、全面的に信じて欲しい。とは言いません」
だってわたし自身、ああいった性分なんだから。
「でも。それでも。信じてもいい部分も、あるんじゃないでしょうか?」
「………………」
「今すぐに、結論を出さなくてもいいと思うんですよ。まだ選ばない、を選んでみませんか?」
自分の胸元に触れて。安倍さんを見て。心問答さん達を見て。また、神坂さんを見る。
そうすると目の前にある口は、
「………………そう、だな。俺の思考は、凝り固まっていたようだ」
そんな風に動いて――。
「安倍家の人間、説得は不要だぞ。この封刃を壊す必要はなくなったのだからな」
神坂さんが握っている柄が真白に輝き、光が収まると食楽さん達が地面に倒れていたのでした。
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