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第20話 終焉~2人目と3人目~ ベアトリス視点(1)

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「「ベアトリス……!? どうしてここに……!?」」

 今ではすっかり大嫌いな場所になった、生家・ルーンネル邸。そこのエントランスではかつて両親だった2人が拘束されていて、4つの瞳は目尻が裂けんばかりに見開かれた。

「隣にいる、ユベール。私の婚約者が救い出してくれて、ここまで連れてきてくれたのですよ。それはそうと、エクトル様・・・・・シャルロット様・・・・・・・。そのお姿は、なんなのですか?」

 治安局の刻印がある手錠を嵌められ、両膝をついている2人。かつての両親を、ゆっくりと見下ろした。

「私を売って得たお金で、豪華で幸せな毎日を送っていると聞いていました。そんな噂とは、真逆ですよね? 一体、何があったのですか?」

 この2人の行動でユベールが悩み苦しみ、2年半も必死になってくれる羽目になったんだもの。とにかくそれが許せなくって、再会したら目の前で言おうと思っていた。

「何、だと……!? 何もかもお前のせいだ……!!」
「貴女が逃げ出したりするから……!! フィス邸を調べざるを得なくなって……っ。失敗して、こうなってしまったのよ……!!」

 2人は仇であるかのように私を睨みつけ、『お前が悪い』と繰り返す。
 自分達の行いは無視してて、文句だけを言う。2年半経っても、まったく変わらない。最悪なままだ。

「そうですか、それは大変でしたね。ですが、貴方がたにはぴったりな場所です。これからは牢屋で――」
「ふん。我々は牢に居るのは、僅かの間だ。すぐに治安局長が『誤解』だと判断し、釈放されるのだからな!」
「わたくし達が繋がっているのは、絶対的な力を持つ侯爵家なのよ? アンドレ様にかかれば、もみ消しなんて簡単。治安を司る他国の機関であっても、楽々操れてしまうのよ?」

 私の声を遮り、2人は嗤い出す。アンドレが健在だと、思い込んで。

「へぇ、すごい友情ですね。あの人は、すでに罪人に堕ちていますが――。全ての地位を失っていても、助けてくれるのですね」
「「…………。え…………?」」
「救出、それだけがユベールの作戦ではありません。悪い芽を摘むことが一番の目的で、昨夜実際に摘んでくれたのですよ」
「「うっ、うそだ!(うそよ!) 伯爵家ごときにそんな真似が――」
「できるから、ベアトリスが堂々とこの場に居るのだろう? エクトル、シャルロット。これが証拠だ」

 ユベールが懐から、ナルテウス家の紋章入りの懐中時計を――アンドレの私物を取り出し、2人に見せつけた。
 あの人が持っていたものを、私たち達が持っている。それは事実である証左となるには充分なもので、一瞬にして2人は絶望に染まった。

 そして――。
 やっぱり、と、いうべきなんでしょうね。

「そ、そうか……っ。やっと、力を失った・・・・・のか……っ」
「よかった、本当によかったわ……! 実はね……っ。わたくし達は、嫌々従っていたのよ……!!」

 2人は無様に、命乞いを始めたのでした。

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