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第7話 突然の集合 ヨランド視点(2)

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((よかった。良い作戦が見つかったみたいね))

 わたくし達をガーデンテーブルに集めて、笑顔を咲かせて場を仕切っているシメオン。6月30日とは正反対な様子を見て、おもわず安堵の息が漏れる。
 絶対にわたくし達が婚約できると言っていたのに、決まったのはシメオンとヴァネッサの婚約。あの日はかなり焦ってしまったけれど、その様子なら大丈夫そうね。

((シメオン、見せてもらうわよ。アナタのやり方をね))

 この状況を使い、どんな風にユーグおじ様の認識を変えるのか? 楽しみにしながら見守っていると、テンポよく場が温まっていって――

「じゃあ『幼馴染の、実は見習っていた部分』の発表はここまでにして、次はその反対をいこう。今日4つめのテーマは、『幼馴染の、実は直して欲しいと思っていた部分』! 俺達の関係性が変わるこの機会に、直して欲しいことを伝えようじゃないか!」

 ――今回の集まりを仕切っているシメオンが、そんなことを言い出した。

((ふぅん、なるほどね。コレを使って、今度はわたくしを下げるのね))

 小さな頃に陰で努力している姿を見て、実は自分も真似していた。
 小さな頃から誰にでも平等に接している姿を見て、実は自分も心がけるようにしていた。

 などなど。さっきのテーマも含めずっと、シメオンはヴァネッサをべた褒めしていた。
 普通ならこれで上手くいくんだけど、今まではなぜか上手くいかなかった。だからここからはわたくしを下げて、今度こそ成功させようとしてるのね。

((いい、シメオン。しっっっっかりと、わたくしを下げなさいよ?))

 どうせアナタは、『嘘とはいえ、ヨランドの前で悪口を言うのは辛い……!』とか『ヨランドも俺に悪口を言われたら、嘘だと分かっていても悲しむ……!』とか思っているんでしょう?
 ないから。全然ないから。
 どうでもいい人に何を言われても、なんとも感じない。

((だから、ちゃんとやりなさいよ?))

 ここで決めないと、計画が崩壊する。わたくしの思い通りにならないんだから、失敗は絶対に許さない。
 そんなことを思いながら、シメオンを見つめていると――

「ヨランドは負けず嫌いが少々過ぎる。せめてもう少し力を抜いてくれないと、俺達以外を混ぜてパーティーゲームやカードゲームをする時に困る」

「ヨランドは気分が顔に出やすい。自分達といる時はともかくとして、外に出ている時はもう少し感情を隠した方がいい」

 ――などなど、ちゃんとしっかりとしたものを出してきた。

((………………。………………))

 大したことのない男に性格面をアレコレ言われるのは、想像以上に面白くない。腹が立ってくるけど、まあいいわ。
 我慢よ、我慢。
 静かに深呼吸をして怒りを外に出し、落ち着いて、気にせず過ごそう――と、思っていたけど……。

((は!? なんですって!?))

 落ち着いていられなくなることが、突然起きてしまうのだった。
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