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第9話 愛を贈らせてみた結果 俯瞰視点(2)
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「ろ、ロバンくん! 残念だがその可能性はもうないのだよっ。私はこの子の親だから分かるのだよっ。この3か月間のこの子の様子はっ、人形やアクセサリーに対するソレと同じだったのだよ!」
「そ、そうですのっ。ロバン様はっ、そんな冷たい人間ではないと仰ってくださりましたが……。違いますの! わたくしは物と人を同列に扱ってしまうような、冷たい……最低な人間だったと改めて実感しましたのっ」
これ以上我慢はできない――。絶対に今日、この場で決別して帰る――。
そんな思いで二人は必死に頭を働かせ、揃って首を大きく左右に振り始めました。
「当時のレベッカは、結局何をやっても失った興味たちは戻ってこなかったっ。一度そうなってしまったこの子は、もうどうにもならないのだよっ!」
「こんなことになってしまい、本当に申し訳ございません……。わたくしはもう、どうやってもあの頃の感情を取り戻せませんの……。ですから、ロバン様……。この関係は、解消致しましょう……。それぞれの道を、歩んでまいりましょう……」
絶対に不可能。いくら頑張っても無駄。分かり切っている。確実だ。それ以外の未来はあり得ない。例外が発生することも、奇跡が起きることもない。
とにかく二人は否定の言葉を繰り返し、ファビアンは用意していた書類をテーブルの上に置きました。
「お互いにとって、離縁がベストな選択なのだよ……。ロバンくん、すまない。申し訳ございません。サインをお願い致します」
「ぐす……。ひぅ……っ。ぐす……。ごめん、なさい。ごめんなさい。ごめんなさい……。ごめんなさい、ロバン様……。もう、むり、なので……。サインを……。おねがい、します……」
かれこれ30分以上も無駄だと念押しをして、目の前で過去最大量の大粒の涙を流して見せた。最愛の人がここまで謝り苦しんでいるのだから、さすがに次は受け入れられる。
――咄嗟だったが最高の立ち回りが出来た――。
レベッカとファビアンは今度こその成功を確信しますが、ロバンはレベッカを手放す気など全くありません。そのためすぐに再び否定と拒否が返ってくるのですが、今度は更にもう一つ――。レベッカとファビアンをいっそう動揺させる言葉も、おまけでやって来ることになるのでした。
「レベッカ。僕はね、やっぱり君がそんな冷たい人間だとは思わない。もっと時間をかければ、必ずや蘇ってくれると信じているんだよ。……だから、申し訳ない。少々、強引な手段を取らせてもらうよ」
「そ、そうですのっ。ロバン様はっ、そんな冷たい人間ではないと仰ってくださりましたが……。違いますの! わたくしは物と人を同列に扱ってしまうような、冷たい……最低な人間だったと改めて実感しましたのっ」
これ以上我慢はできない――。絶対に今日、この場で決別して帰る――。
そんな思いで二人は必死に頭を働かせ、揃って首を大きく左右に振り始めました。
「当時のレベッカは、結局何をやっても失った興味たちは戻ってこなかったっ。一度そうなってしまったこの子は、もうどうにもならないのだよっ!」
「こんなことになってしまい、本当に申し訳ございません……。わたくしはもう、どうやってもあの頃の感情を取り戻せませんの……。ですから、ロバン様……。この関係は、解消致しましょう……。それぞれの道を、歩んでまいりましょう……」
絶対に不可能。いくら頑張っても無駄。分かり切っている。確実だ。それ以外の未来はあり得ない。例外が発生することも、奇跡が起きることもない。
とにかく二人は否定の言葉を繰り返し、ファビアンは用意していた書類をテーブルの上に置きました。
「お互いにとって、離縁がベストな選択なのだよ……。ロバンくん、すまない。申し訳ございません。サインをお願い致します」
「ぐす……。ひぅ……っ。ぐす……。ごめん、なさい。ごめんなさい。ごめんなさい……。ごめんなさい、ロバン様……。もう、むり、なので……。サインを……。おねがい、します……」
かれこれ30分以上も無駄だと念押しをして、目の前で過去最大量の大粒の涙を流して見せた。最愛の人がここまで謝り苦しんでいるのだから、さすがに次は受け入れられる。
――咄嗟だったが最高の立ち回りが出来た――。
レベッカとファビアンは今度こその成功を確信しますが、ロバンはレベッカを手放す気など全くありません。そのためすぐに再び否定と拒否が返ってくるのですが、今度は更にもう一つ――。レベッカとファビアンをいっそう動揺させる言葉も、おまけでやって来ることになるのでした。
「レベッカ。僕はね、やっぱり君がそんな冷たい人間だとは思わない。もっと時間をかければ、必ずや蘇ってくれると信じているんだよ。……だから、申し訳ない。少々、強引な手段を取らせてもらうよ」
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