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第11話 だから 俯瞰視点
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「『この契約はいかなる理由があっても、両家の同意がない限り解消することはできない』。僕は同意をしていないから解消されることはなく、予定通りの日程で交際と婚約の発表、挙式を行わせてもらう」
「……………………」「……………………」
「『契約が結ばれている限り両者は同じ場所で過ごし、行動を共にしなければならない』。こちらは厳密に言うと効力が生まれるのは婚約を発表した日からで、つまり8か月後から君にはこのお屋敷で暮らしてもらうことになるんだよ」
紙面にある文字を、人差し指でそっとなぞったロバン。これから確実に起きる未来を説明した彼は、穏やかに目を細めました。
「名実ともに更に深い関係となって、傍で濃密な時を過ごす。そうすればあの頃の心を取り戻せると、僕は確信しているんだよ。……最初は辛いかもしれないけれど、すぐに幸せを感じるようになれるから。僕を信じてくれ、レベッカ」
「……………………そっ、そんなことをしても意味はありませんわ!! ないっ! 絶対にっっ!!」「……………………あっ、あまりにも荒唐無稽な希望的観測だ!! あり得ないっっ!! そんな未来はどうやってもやって来ないのだよロバンくん!!」
あまりにも大きな予想外によって固まっていたレベッカとファビアンは、絶叫。おもわず立ち上がり、揃って喉が裂けんばかりの大声を出しました。
「さっきも言っただろう!? 不可能なのだよ!! こうなってしまったらこの子の心はもう二度と元には戻らないのだよ!!」
「深い関係になっても傍で濃密な時間を過ごしても変化はありませんの!! お互いにとって辛いっ、意味がまるでないことになってしまいますの!! ロバン様っ! ロバン様っ!! お願いですからお考え直しをっ!! 同意してくださいまし!!」
「ロバンくんっ、この通りだ!! その選択はなにひとつ希望を生まないのだよ!! 頼む!! 考え直してサインをしてくれ!! きょっ、卿!! このままだと両家の将来は濃い暗雲に覆われてしまいますぞ!! 卿からも制止をっ、お願いいたします!!」
そして二人は床に両膝をつき、必死に訴えます。
ロバンだけではく、当主エミルにもお願いをして。全身を使って懸命に懇願をして――
「私も息子の言を信じていて、その選択は彼らにとっても、両家にとっても良い未来を生むと思っているのでね。同意をするつもりはないよ」
「……こんなやり方は僕自身も嫌だけど、仕方ないんだ。このまま進ませてもらうよ」
――父エミルは息子の意思を尊重しており、ロバンにはああいった考えがあります。ですので、何を言っても意味はなし。
その後もレベッカとファビアンは懸命に撤回を訴えましたが、受け入れられることはなく――。ロバンとエミルにはこのあと用事があるため、二人はお屋敷に戻ることになってしまったのでした。
「……そんな……。嫌ですわ……。こんなの嫌ですわ!! お父様!!」
「分かっているとも! ……考えよう。この状況下でお前が結婚しなくても済む方法を、考えよう……!」
そのためレベッカとファビアンは、馬車内で『打開』の模索を始め――
「……………………」「……………………」
「『契約が結ばれている限り両者は同じ場所で過ごし、行動を共にしなければならない』。こちらは厳密に言うと効力が生まれるのは婚約を発表した日からで、つまり8か月後から君にはこのお屋敷で暮らしてもらうことになるんだよ」
紙面にある文字を、人差し指でそっとなぞったロバン。これから確実に起きる未来を説明した彼は、穏やかに目を細めました。
「名実ともに更に深い関係となって、傍で濃密な時を過ごす。そうすればあの頃の心を取り戻せると、僕は確信しているんだよ。……最初は辛いかもしれないけれど、すぐに幸せを感じるようになれるから。僕を信じてくれ、レベッカ」
「……………………そっ、そんなことをしても意味はありませんわ!! ないっ! 絶対にっっ!!」「……………………あっ、あまりにも荒唐無稽な希望的観測だ!! あり得ないっっ!! そんな未来はどうやってもやって来ないのだよロバンくん!!」
あまりにも大きな予想外によって固まっていたレベッカとファビアンは、絶叫。おもわず立ち上がり、揃って喉が裂けんばかりの大声を出しました。
「さっきも言っただろう!? 不可能なのだよ!! こうなってしまったらこの子の心はもう二度と元には戻らないのだよ!!」
「深い関係になっても傍で濃密な時間を過ごしても変化はありませんの!! お互いにとって辛いっ、意味がまるでないことになってしまいますの!! ロバン様っ! ロバン様っ!! お願いですからお考え直しをっ!! 同意してくださいまし!!」
「ロバンくんっ、この通りだ!! その選択はなにひとつ希望を生まないのだよ!! 頼む!! 考え直してサインをしてくれ!! きょっ、卿!! このままだと両家の将来は濃い暗雲に覆われてしまいますぞ!! 卿からも制止をっ、お願いいたします!!」
そして二人は床に両膝をつき、必死に訴えます。
ロバンだけではく、当主エミルにもお願いをして。全身を使って懸命に懇願をして――
「私も息子の言を信じていて、その選択は彼らにとっても、両家にとっても良い未来を生むと思っているのでね。同意をするつもりはないよ」
「……こんなやり方は僕自身も嫌だけど、仕方ないんだ。このまま進ませてもらうよ」
――父エミルは息子の意思を尊重しており、ロバンにはああいった考えがあります。ですので、何を言っても意味はなし。
その後もレベッカとファビアンは懸命に撤回を訴えましたが、受け入れられることはなく――。ロバンとエミルにはこのあと用事があるため、二人はお屋敷に戻ることになってしまったのでした。
「……そんな……。嫌ですわ……。こんなの嫌ですわ!! お父様!!」
「分かっているとも! ……考えよう。この状況下でお前が結婚しなくても済む方法を、考えよう……!」
そのためレベッカとファビアンは、馬車内で『打開』の模索を始め――
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