わたしから婚約者を奪った幼馴染が、顔を真っ赤にして怒鳴り込んで来た

柚木ゆず

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第12話 模索 俯瞰視点(1)

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「………………くそ……! くそ……っ!! 駄目だ……っ!! 無理だ……っ!! どうにもならん……!!」

 応接室にて関係は絶てないとの通告を受けた時から、3日後。ザスワーズ伯爵邸には、当主ファビアンのうめき声が響いていました。
 あのあと移動しながらレベッカと共に必死に考えて、お屋敷に戻ってからはザスワーズ家のブレインを集めてほぼ徹夜で会議を開いた。しかしながらいくら頭を捻っても、事態を好転させてくれるアイディアは浮かばなかったのです。

「書類…………契約……。やっぱり……。あれがある限り、なかったことにはできませんわ……」

 契約は、絶対。特に貴族間での契約は輪をかけて強い拘束力を持つため、手の出しようがありませんでした。

「ぐぅぅう……。失敗した……!! あの時『もしも』を想定できていれば…………!! こんなことにはならなかったのだ……!! あの時に戻って…………!! 何もかも破り捨ててやりたい……!!」
「…………やぶり、すてる……。おっ、お父様! あの時に戻ることはできないけれどっ、破り捨てることはできませんの!? できる可能性はありませんのっ!? どうやってもっ、無理ですのっ!?」

 性質上他所には契約が漏れておらず、あの書類させ消せばなかったことにできる。そう思い付きレベッカは、ファビアンの顔を急いで覗き込みました。

「ねえお父様! できませんのっ? たとえば『書類を見せて欲しい』などと言って出させて、ビリビリに破くことはできませんのっ?」
「無理だ。あの場で即行動できれば可能だったかもしれないが……。今の我々は、契約の解消を切望していると理解されてしまっている……。警戒して出しはせんよ……」

 けれど返ってきたのは、苦悶の表情。レベッカの案はあっという間に否定されてしまい、それによって――

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