わたしから婚約者を奪った幼馴染が、顔を真っ赤にして怒鳴り込んで来た

柚木ゆず

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第15話 遅すぎた決断 俯瞰視点(1)

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「………………チッ」

 レベッカが絶望し、ロバンが満月に向かって乾杯をした日から6か月が過ぎた頃。ロバンの部屋からは、忌々しげな舌打ちが聞こえてきました。

「やっぱりダメだったか。あれではもう……。レベッカに価値はないな」


((こんな生活、耐えられない……。これが、夢だったらいいのに……))

((次に起きたら、アエラに会いに行く前に戻っていて欲しい……。お願いですわ……! 夢でありますように……!!))

((ぁぁ……。そんな……。そんなぁぁ…………))


 レベッカはロバンとの婚約も結婚も同棲も望んでおらず、日常に酷く絶望。それによって心はボロボロになり、精神と連動して肉体もボロボロになってしまっていました。

 ずっと纏っていたキラキラとしたオーラはなくなり、肌は荒れ、髪の艶もなくなり、頬はこけ、すっかり当時の面影はなくなってしまいました。

 ロバンは外見を維持しようと豪華な食事を出したりエステに通わせたりしましたが、効果はまるでなし。そのためついに今夜、回復は100%不可能だと判断したのです。

「価値のないガラクタが居続けるのは不愉快、苦痛だ。早急に追い出すか」

 大きくため息を吐いたロバンは手にしていたワイングラスを置き、デスクの引き出しから3枚の紙を取り1階へと移動。しばらく廊下を進んだ先にある扉を叩き、父エミルがいる執務室へと入りました。

「父上、予想通り元には戻らなかった。関係解消を始めてくれ」
「はあ、レベッカ嬢には困ったものだな。分かった、すぐに計画を動かそう」

 ロバンもエミルもレベッカの本心を悟っており、こうなってしまう可能性もずっと頭にありました。それ故に、いつでも始められる準備をしていたのです。

「このタイミングなら、すべてが予定通りに進むな。ではわたしは明日早馬を走らせ、その後直接アランヴァレンタ卿の説得を行うとしよう。だからロバンは」
「ああ。同時進行で、レベッカに話をつける」

 その作戦は、同時に動いた方が何かと都合がいい。そのため二人はそれぞれの行動を確認し合い、それから3日後。新当主アランに公務がない今日、実行することになり――
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