16 / 26
第5話 一つ目の代償によって~フルールside~ フルール視点
しおりを挟む
「……前世の自分に、感謝をしなければなりませんね」
カフェテリアで大騒動があった日から、79日後。ようやくクリストフ様に関する件が全て解決となり、私は自室でホッと胸を撫で下ろしていました。
あの時以前の出来事を思い出さなければ、待ってたのは同じ結末。罠にはまり、人生が台無しになってしまっていました。
ですので私は過去の私に今一度感謝を示し、そうしたあとは、右の手のひらを――私にしか見えない、そこにある小さなハート形をした紋章を見つめました。
「代償が発動してから、今日で79日目。そろそろ、効果がなくなる頃ですね」
あの『代償その1』は、無限ではなく有限。三か月が経過すると『契約の証』が消え、以降は自由に操れなくなってしまいます。
「ですのでクリストフ様は、もうすぐ自由に動けるようになりますが……。その後、どんな選択をなさるのでしょうか?」
そう呟きながら右手から左の手のひらへと視線を移し、そこにあるもう一つのハート形を――二つめの代償に関する紋章を、見つめます。
「第2の代償は、一つ目が解けた後、とある行動を取った場合にのみ発動します。……私としてはそうなって欲しくはないのですが、どうなのでしょうかね……?」
クリストフ様は私を裏切った、今はもう大嫌いとなっている方です。けれど私には秘密裏に契約を交わし、心から信用していなかった、という事実がありますので。そのお詫びとして自害などの指示は出さず、今回の収監で水に流すことにしていたのです。
「……クリストフ様。もしも貴方様が反省をなさらず、あることを実行してしまったら――。その時は、恐ろしいことが起きてしまいます」
それは、一つ目の非ではありません。あれとは比較にならない程のものが、その身にやってくることになります。
「そうなってしまうと、どうしようもなくなってしまいますので。そうならないことを、祈っております」
カフェテリアで大騒動があった日から、79日後。ようやくクリストフ様に関する件が全て解決となり、私は自室でホッと胸を撫で下ろしていました。
あの時以前の出来事を思い出さなければ、待ってたのは同じ結末。罠にはまり、人生が台無しになってしまっていました。
ですので私は過去の私に今一度感謝を示し、そうしたあとは、右の手のひらを――私にしか見えない、そこにある小さなハート形をした紋章を見つめました。
「代償が発動してから、今日で79日目。そろそろ、効果がなくなる頃ですね」
あの『代償その1』は、無限ではなく有限。三か月が経過すると『契約の証』が消え、以降は自由に操れなくなってしまいます。
「ですのでクリストフ様は、もうすぐ自由に動けるようになりますが……。その後、どんな選択をなさるのでしょうか?」
そう呟きながら右手から左の手のひらへと視線を移し、そこにあるもう一つのハート形を――二つめの代償に関する紋章を、見つめます。
「第2の代償は、一つ目が解けた後、とある行動を取った場合にのみ発動します。……私としてはそうなって欲しくはないのですが、どうなのでしょうかね……?」
クリストフ様は私を裏切った、今はもう大嫌いとなっている方です。けれど私には秘密裏に契約を交わし、心から信用していなかった、という事実がありますので。そのお詫びとして自害などの指示は出さず、今回の収監で水に流すことにしていたのです。
「……クリストフ様。もしも貴方様が反省をなさらず、あることを実行してしまったら――。その時は、恐ろしいことが起きてしまいます」
それは、一つ目の非ではありません。あれとは比較にならない程のものが、その身にやってくることになります。
「そうなってしまうと、どうしようもなくなってしまいますので。そうならないことを、祈っております」
114
あなたにおすすめの小説
婚約お断り令嬢ですわ ~奇行で縁談を潰していたら本命騎士に再会しました~
鍛高譚
恋愛
婚約話? 結構ですわ。
私には――子供の頃に命を救ってくれた“黒髪の騎士”がいるのですから。
公爵令嬢アンネローゼ・フォン・グレイシアは、才色兼備の完璧令嬢……だった。
だが、ある日から突如“奇行”に走り始める。正座で舞踏会に参加? スープにストロー? 謎のポエム朗読?
そう、それはすべて――望まぬ婚約をぶち壊すため!
王族、貴族、策略家、演技派……次々と舞い込む政略結婚の話。
アンネローゼはあの手この手で縁談をぶった斬り、恋も名誉も自由も手に入れる!
すべての婚約破棄は、たった一人の人に出会うため――
「破談のアンネローゼ様」が貫く、“本当の婚約”とは?
痛快!恋愛ざまぁ×ラブコメディ×ハッピーエンド!
破談上等のお嬢様が、本物の愛を掴むまでの逆転劇が今、始まりますわ!
「偽物の聖女は要らない」と追放された私、隣国で本物の奇跡を起こしたら元の国が滅びかけていた件
歩人
ファンタジー
聖女リーゼロッテは、王太子カールに「お前の加護は偽物だ」と断じられ、
婚約を破棄された。代わりに聖女の座に就いたのは、愛らしく微笑む男爵令嬢エルゼ。
追放されたリーゼロッテが隣国に辿り着いたとき、その地は疫病に苦しんでいた。
彼女が祈ると、枯れた泉が蘇り、病は癒え、荒野に花が咲いた。
——本物の聖女の力が、ようやく枷を外されて目覚めたのだ。
一方、リーゼロッテを失った王国では結界が綻び始め、魔物が溢れ出す。
カールは今さら「戻ってくれ」と使者を送るが、リーゼロッテの隣には、
彼女の力を最初から信じていた隣国の若き王がいた。
「あの国に戻る理由が、もう一つもないのです」
わたしに冗談なんて通じません。だから二度と婚約者面なんてしないでくださいね
うさこ
恋愛
特殊な騎士の家で育った私には婚約者がいた。
今思えば、彼は私に好きになれと強要していた。
そんな私は婚約破棄を言い渡されーー
※ざまぁです
侯爵家の婚約者に手を出す意味、わかってます?
碧井 汐桜香
恋愛
侯爵令嬢ジョセリアは地味な外見をしている少女だ。いつも婚約者のアランとその取り巻きの少女たちに罵倒されている。
しかし、今日はアランの取り巻きは一人しかおらず、いつも無視を決め込んでいたジョセリアが口を開いた。
公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に
ゆっこ
恋愛
王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。
私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。
「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」
唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。
婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。
「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」
ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。
婚約破棄されたけど、どうして王子が泣きながら戻ってくるんですか?
ほーみ
恋愛
「――よって、リリアーヌ・アルフェン嬢との婚約は、ここに破棄とする!」
華やかな夜会の真っ最中。
王子の口から堂々と告げられたその言葉に、場は静まり返った。
「……あ、そうなんですね」
私はにこやかにワイングラスを口元に運ぶ。周囲の貴族たちがどよめく中、口をぽかんと開けたままの王子に、私は笑顔でさらに一言添えた。
「で? 次のご予定は?」
「……は?」
四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?
白雲八鈴
恋愛
アルディーラ公爵夫人であるミレーネは、他の人からみれば羨ましいと思える立場にいた。
王妹の母譲りの美人の顔立ち、公爵夫人として注目を集める立場、そして領地の運営は革命と言えるほど領地に潤いを与えていた。
だが、そんなミレーネの心の中にあるのは『早く離婚したい』だった。
順風満帆と言えるミレーネは何が不満なのか。その原因は何か。何故離婚できないのか。
そこから始まる物語である。
「お前とは結婚できない」って言ったのはそっちでしょ?なのに今さら嫉妬しないで
ほーみ
恋愛
王都ベルセリオ、冬の終わり。
辺境領主の娘であるリリアーナ・クロフォードは、煌びやかな社交界の片隅で、ひとり静かにグラスを傾けていた。
この社交界に参加するのは久しぶり。3年前に婚約破棄された時、彼女は王都から姿を消したのだ。今日こうして戻ってきたのは、王女の誕生祝賀パーティに招かれたからに過ぎない。
「リリアーナ……本当に、君なのか」
――来た。
その声を聞いた瞬間、胸の奥が冷たく凍るようだった。
振り向けば、金髪碧眼の男――エリオット・レインハルト。かつての婚約者であり、王家の血を引く名家レインハルト公爵家の嫡男。
「……お久しぶりですね、エリオット様」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる