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第10話 言い訳 シブリアン視点(1)

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「こ、この写真は、ですね……。な、何かしらの加工をされて――」
「加工はされていない、ジャックが言及したばかりだ」
「――そ、そうでした! ち、違うんですよ……。これは、そのですね……。なんといいますか……。あれなんですよ……。あれでして……。ええとですね……」

 どうにか誤魔化さないと最悪の事態が待っている。俺は窮地を乗り越えるため、必死に思考を巡らせる。
 上手く誤魔化すには……。誤魔化すには……。

「じ、実を言いますと、脅迫をされていたんです……!! これは、脅迫の結果、撮られてしまった一枚なんですよ!」
「ほぉ、脅迫か。シブリアンよ、どんな脅迫を受けたのだ?」
「な、内容!? そ、それはですね………………アドリエンヌに関するものなんです! 従わないとアドリエンヌを傷付けるとっ、ロバートに――ロバート・ラクテールアに言われたんですよ!」

 ロバートがとても仲良くしている、ガールフレンド――将来の婚約者がアドリエンヌに敵意を抱いていて、愛する人のために攻撃しようとしていた。
 断ったらアドリエンヌが傷つけられてしまう。悲劇を防ぐために言われたまま動いただけ。
 と説明をして、まだ続ける。

「オレが用意した女とキスをしろ。その意味が、ようやく分かりましたよ! あれはコッソリ写真を撮ってばら撒き、違う形でアドリエンヌを傷付けるためのものだった! ロバートのヤツはっ、最初から約束を守るつもりはなかったんですよ! 愛するアドリエンヌを守ろうとする心理を巧みに利用されて――」
「兄さん、言い訳は自由になさってもらって構いません。ですが言い訳に、アドリエンヌ姉さんの名前を出すのはやめてください。これ以上傷付けるつもりなのですか?」
「傷つける……? なにを言って――とっ、とにかくだ! ウジェーヌっ、違うんだ! 本当に俺は、アドリエンヌを――」
「まだ、なにも分からないのですね? いいですか? 兄さんがあの日不満げに言っていたように、姉さんは直近に――……その様子ですと、この話をしても無駄なようですね。触れるのは止めておきましょう」

 なんだ……?
 コイツは、なにを言いたかったんだ……?

「ま、まあいい! 話を戻すぞ!! 俺は本当に脅迫されていて――」
「先ほど御者モニアス達を問い詰め、彼らが教えてくれましたよ。クロエという女性のために、花束やオペラなどの複数回購入しているみたいですね?」
「ぁ……。え……」
「他にもリストランテで予約をしていて、彼女と2人きりで会っていたそうですね? これはどういうことなのですか?」

 アイツら……。吐きやがったのか……。
 マズイ……。
 マズイ……!!


 
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