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2話(4)

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「そう、ですけど。どちら様っスか?」
「僕は、二年の真式正義(ましきせいぎ)。君達にお願いがあって来ました」

 今回の訪問者は、茶色がかった髪を肩まで伸ばした先輩。水色を連想させる清潔感を漂わせる――四空のものとは異なり、親しみやすさを含んだ清潔感を持つその人は、穏やかな美形と評せる顔を微笑ませた。

「ぁ、んと、先輩さんなの。とりあえずお茶をどうぞだよ、です」
「これはご丁寧にどうも。折角ですから頂きますね」

 彼は対面に座り、備え付けの湯呑みに注いだ緑茶を飲む。そうして品よくお茶を飲み終えるともう一度育美に礼を告げ、俺らを交互に見つめてきた。

「ああ、そろそろ本題に入りましょうか。お願いってなんなんスかね?」
「……今朝、昨日お二人に起きた出来事を聞きました。そこでお願いなのですが、僕を貴方達の班に加えて頂きたいのですよ」

 それは、意想外なお願い。どんなに賢い者でも、想像すらできない提案だった。

「んむむっ!? 優君とジブンの班に、入るっ!?」
「全てをご存知なら、睨まれるのも存じてますっスよね? どうしてまた、しかも先輩はなんで下手なんです?」

 彼は今、『お願いがある』、『加えて欲しい』と口にした。これはどういうことだ?

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