霊能師高校迷霊科～迷える霊を救う、たった一つの方法～

２話（１９）

「んとね、それは『霊玉（れいぎょく）』ってゆー、霊術が詰まった玉なんだよ、です。『資格を持つ人』がこの玉をお胸に押し付けると、身体に入ってその力を使えるようになるの」
「資格……？　それは、誰にあるんじゃ？」
「迷霊が『自分を助けてくれた』と認識した人、ですね。この場合資格を持つのは、花島くん、土水さん、僕になります」

　このシステムにより、得られるのは俺達３人となる。の、だが――。霊術は一人一つしか持てず入れ替えはできないので、この場合誰も受け取れない。
　では、コレはどうなるのか？　このような状態になった時は、ここにもう一つシステムが加わる。

「ただし該当者全員が受け取り不可能だった際は、該当者の意思で別の誰かに譲れる。今回だと先輩、育美、俺が認めた人なら、その力を宿せるんスよ」

　霊玉は迷霊の、『せめてもの恩返しとして、自分を助けてくれた人の役に立ちたい』って想いが生み出す物。そのような性質が起源なため、違う形でその人の役に立てるようになっているのだ。

「………………なあ、花島くん。君らは、これをどうするつもりなんじゃ？」

　まさに、それについて思案していたら。そんな声が鼓膜に届いた。

「そうっスねぇ。該当者なしなら保管となって、認められる者が見つかるまで協会に預けるようになりますね」

　本人が見極め、その人に託す。大抵は同じチームの人や、信頼している先輩や後輩に渡すみたいだ。

「んとんと、遠田さん。それがどうしたのかな、です」
「………………三人とも。もしよければ、儂に譲ってはくれんか？」

　真剣であり、あったかい目をして。彼は霊玉を正視した。

「儂はいずれ、羽蔵と同窓会をする。じゃからその力で困っている人を助け、会った時に『お前の力でこんなことをしたんだぞ』という報告をしたいんじゃよ」
「あー、そういうことっスか。それなら」
「んっ」
「僕も、賛成ですよ」

　顔を巡らせると、満場一致。全員が認めた。

「そのサプライズと心意気、気に入りましたよ。是非どうぞ」
「そこにある力は、貴方が一番上手く使えると思います。大切にしてください」
「どうぞだよ、ですー。お胸にギューッとしてしてっ」
「…………みんな、ありがとう。重ね重ね感謝する」

　遠田は――もう、遠田さんに戻してもいいな。遠田さんは霊玉を胸に押し当て、『友』の力を取り込んだ。