お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~

柚木ゆず

文字の大きさ
29 / 29

エピローグその2 その後のティナとクロード~あの時、出来なかったこと~ 俯瞰視点(2)

「……わたしクロードは、最愛の人ティナを生涯愛すると誓います」
「……わたしティナは、最愛の人クロードを生涯愛すると誓います」

 純白のタキシードとドレスを纏った二人が向かった場所、それはラファオール伯爵領内にある教会。クロードとティナはかつて式を挙げた場所を訪れ、改めて二人だけの結婚式を行っていたのです。

『昨日素敵な・・・式が終わり、今日から貴方は完全にラファオール伯爵家の一員となるのよね。おめでとう。お優しくって、美しくて、しかも大きな商会の次期会頭。あんなにも素晴らしい方と夫婦になれるだなんて、わたし羨ましいわぁ』

 この国の伝統、『翌日新郎が新婦を迎えに行く』。それがあるため――迎えに行くまでに危害を加えられる可能性があったため、式でも演技をしておく必要がありました。
 時折、暗い顔をしなくてはなりませんでした。
 そのため二人は偽りのない本物の式を挙げ直したいと考えており、今日――ちょうど1年後のこの日に、実行することにしていたのです。

「…………クロード様。私の姉や両親は、あのような方々で……。ありがたいお言葉をいただいた時は、いくつもの不安要素がありました」
「そうだね。あの時は、たくさんあったね」
「ですがそれらは全て、クロード様が取り除いてくださりました」

 安全に婚約と結婚を行う、アイディアを出してくれたこと。その後も先手を打ち続けて、領民たちの日常をも守ってくれたこと。
 ティナは一つ一つを振り返り、その一つ一つに対し感謝の言葉を告げました。

「今こうして私が安心して幸せを感じられているのは、貴方様が居てくださったからです。……クロード様、ありがとうございます」
「どういたしまして。……ティナ。こちらこそ、ありがとう」

 柔らかく目尻を下げていたクロードは、自身の頬に左手を、自身の胸元に右手を添えました。

「今こんな表情をできているのは、心の中がこんなにも幸福で満たされているのは、目の前に君が居てくれて、笑ってくれているから。たくさんの幸せを、ありがとう」

 彼もまた同じように最愛の人に感謝を告げ、それが終わると――

「………………」
「………………」

 ――二人は穏やかに微笑み合い、そんな二つの顔は静かに、ゆっくりと近づいてゆきます。そうして顔と顔の距離は縮まってゆき、やがて0となって――

「大好きだよ、ティナ」
「大好きです、クロード様」

 二人は確かな真実を告げながら、キス。あの時とは異なり『本物の口づけ』を交わし、愛情を全面に表しながらそっと、強く、抱き締め合ったのでした――。




 こうしてティナとクロードは真の結婚式を終え、『二人で行いたかったこと』は全てが実現しました。ですがソレは終わりではなく、新たな『始まり』を告げる合図となります。

 二人で行いたいこと。

 最愛の人が傍にいるため、二人にはどんどんと『これから一緒に行いたいこと』が湧いてきます。ですのでこれからもティナとクロードは沢山の思い出を作ってゆき、沢山の幸せに包まれてゆくことになるのでした――。

感想 27

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(27件)

弓はあと
2022.06.05 弓はあと

完結おめでとうございます!
マルグリットちゃん、逞しかった……
だけどクロード様の方が役者が一枚上でしたね(笑)
毎日の投稿、本当にありがとうございました☆彡

解除
くろいゆき
2022.06.03 くろいゆき
ネタバレ含む
2022.06.07 柚木ゆず

くろいゆき様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。

おっしゃる通りでして。もっといい方向に生かせていれば、結末は大きく変わっていたと思います。
ですが妹からの忠告には、一切耳を貸さず。そのうえ、あのようなことをして。さんざん、傷つけてきましたので。
自分自身の計画により、すべてが崩壊する。
こういったことに、なってしまいました。

解除
くろいゆき
2022.06.01 くろいゆき
ネタバレ含む
2022.06.07 柚木ゆず

くろいゆき様。お返事が遅くなってしまい、申し訳ございません。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。

姉。彼女は、ああいった性格ですので。何度も何度も、しつこく立ち上がってきました。
ですが……。
やはり、こういった状況ですので。今度の一撃は、相当効いたようですね。
そのため……?

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています

春野オカリナ
恋愛
 エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。  社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。

妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる

ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。 でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。 しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。 「すまん、別れてくれ」 「私の方が好きなんですって? お姉さま」 「お前はもういらない」 様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。 それは終わりであり始まりだった。 路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。 「なんだ? この可愛い……女性は?」 私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。 将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。 レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。

『姉に全部奪われた私、今度は自分の幸せを選びます ~姉の栄光を支える嘘を、私は一枚ずつ剥がす~』

六角
恋愛
復讐はしない。——ただ「嘘」を回収する。 礼儀と帳簿で宮廷の偽りを詰ませる“監査官令嬢”の華麗なる逆転劇。 王家献上宝飾の紛失事件で濡れ衣を着せられ、家族にも婚約者にも捨てられて追放された子爵家次女リリア。  数年後、彼女は王妃直属の「臨時監査官」として、再び宮廷の土を踏む。  そこで待っていたのは、「慈愛の聖女」として崇められる姉セシリアと、彼女に心酔する愚かな貴族たち。しかし、姉の栄光の裏には、横領、洗脳、そして国を揺るがす「偽造魔石」の陰謀が隠されていた。  「復讐? いいえ、これは正当な監査です」  リリアは感情に流されず、帳簿と証拠、そして真実を映す「プリズム」を武器に、姉が築き上げた嘘の城を一枚ずつ剥がしていく。  孤立無援の彼女を支えるのは、氷のように冷徹な宰相補佐レオンハルトと、豪快な近衛騎士団長カミュ。  やがてリリアは、国中を巻き込んだ姉の洗脳計画を打ち砕き、自分自身の幸せと、不器用な宰相補佐からの溺愛を手に入れる——。

これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?

satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。 結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…

お姉様は嘘つきです! ~信じてくれない毒親に期待するのをやめて、私は新しい場所で生きていく! と思ったら、黒の王太子様がお呼びです?

朱音ゆうひ@4月1日新刊発売!
恋愛
男爵家の令嬢アリシアは、姉ルーミアに「悪魔憑き」のレッテルをはられて家を追い出されようとしていた。 何を言っても信じてくれない毒親には、もう期待しない。私は家族のいない新しい場所で生きていく!   と思ったら、黒の王太子様からの招待状が届いたのだけど? 別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0606ip/)

妹と婚約者は私が邪魔なようなので、家から出て行きます

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私アリカが作った魔法道具の評判はよかったけど、妹メディナが作ったことにされてしまう。  婚約者ダゴンはメディナの方が好きと言い、私を酷使しようと目論んでいた。  伯爵令嬢でいたければ従えと命令されて、私は全てがどうでもよくなってしまう。  家から出て行くことにして――魔法道具は私がいなければ直せないことを、ダゴン達は知ることとなる。

永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~

畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。