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エピローグ これまでと、これから ベンジャミン視点
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「……ベンジャミン様。あの時お伝え出来なかったお話を、させていただきますね」
肉親や親族、恩人、知人。多くの人が見守る中、バージンロードを歩んできたルーシー。清らかな真白のウェディングドレスに身を包んだ美しい人は、祭壇の前で柔らかな微笑みを浮かべた。
当日のルールによって、お屋敷の前では口に出来なかったこと。どうしても式が終わるまでに伝えたいと言ってくれていた話が、静かに始まった。
「朝、私達の上のあったお空。……あの日とは、正反対のお空で。私の心の中も、あの日とは正反対でした」
俺達は初めて出会った日、全ての始まりとなった日。あの日は酷い雨で、空は暗くどんよりとしていた。
ルーシーはあの時の周囲の状況、自身の心の状態を思い返し、そっと胸元に両手を添えた。
「あの時の私は人生を終わらせたいと思っていて。それが、一番いい方法だと思い込んでいました」
「……うん。そうだったね」
「ですがそれは、仰られていたように大間違いでした。だって私には、こんなにも素敵な未来があったのですから」
目の前にいる、俺。一緒にデザインを決めた、ウェディングドレス。それらを2度も、交互に見つめてくれた。そして、
「あの時、橋を飛び越えなくて本当よかった。……ベンジャミン様、あの時止めてくださってありがとうございます。体だけではなく、心まで救ってくださりありがとうございます。私を気に入ってくださり、ありがとうございます。愛してくださり、ありがとうございます。ありがとうございます……っ。ありがとうございます……っ!」
柔らかく細まっていた瞳を潤ませながら、おもわず頬が大きく緩んでしまうことを伝えてくれた。
「ありがとうばかり繰り返してしまって、ヘンテコですよね。でも私には、『ありがとう』が沢山ありましたので。ありがとうを、させていただきました」
「ううん、変なんかじゃないよ。すごく嬉しい」
最愛の人からそんな風に言われて、幸せではないはずがない。だから俺はゆっくりと、はっきりと首を左右に振って、動かし終わるや式を再開させた。
俺にも色々と、伝えたいことがある。けれど今はそれよりも、強い感情があるから。ルーシーも同じように、それを望んでくれていると分かったから。
俺達は讃美歌や聖書朗読を揃って聞き、誓約を行い、同じく二人でデザインした指輪を交換して――。ついに、その時がやって来た。
「……ベンジャミン様。じっくりと過ごしたいけど、早く過ぎても欲しい。そんな式でした」
「そうだね、俺も同じだよ。……それじゃあ、一歩を踏み出そうか」
俺達の関係を一旦終わらせ、新たな始まりを生むもの。誓いのキス。
俺達は最後の儀式を行うべく、体と心の距離が更に縮まっていって――
「ルーシー。これまでもこれからも、ずっと愛してる」
「ベンジャミン様。これまでもこれからも、ずっと愛しています」
二つの唇はゆっくりと、けれどしっかりと、重なったのだった。
俺の最愛の人、ルーシー。これからは婚約者ではなく夫として、貴方を護ります。
ずっと、その笑顔が、この幸せが、続くようにするから。
いつまでも、一緒に歩いていきましょう。
肉親や親族、恩人、知人。多くの人が見守る中、バージンロードを歩んできたルーシー。清らかな真白のウェディングドレスに身を包んだ美しい人は、祭壇の前で柔らかな微笑みを浮かべた。
当日のルールによって、お屋敷の前では口に出来なかったこと。どうしても式が終わるまでに伝えたいと言ってくれていた話が、静かに始まった。
「朝、私達の上のあったお空。……あの日とは、正反対のお空で。私の心の中も、あの日とは正反対でした」
俺達は初めて出会った日、全ての始まりとなった日。あの日は酷い雨で、空は暗くどんよりとしていた。
ルーシーはあの時の周囲の状況、自身の心の状態を思い返し、そっと胸元に両手を添えた。
「あの時の私は人生を終わらせたいと思っていて。それが、一番いい方法だと思い込んでいました」
「……うん。そうだったね」
「ですがそれは、仰られていたように大間違いでした。だって私には、こんなにも素敵な未来があったのですから」
目の前にいる、俺。一緒にデザインを決めた、ウェディングドレス。それらを2度も、交互に見つめてくれた。そして、
「あの時、橋を飛び越えなくて本当よかった。……ベンジャミン様、あの時止めてくださってありがとうございます。体だけではなく、心まで救ってくださりありがとうございます。私を気に入ってくださり、ありがとうございます。愛してくださり、ありがとうございます。ありがとうございます……っ。ありがとうございます……っ!」
柔らかく細まっていた瞳を潤ませながら、おもわず頬が大きく緩んでしまうことを伝えてくれた。
「ありがとうばかり繰り返してしまって、ヘンテコですよね。でも私には、『ありがとう』が沢山ありましたので。ありがとうを、させていただきました」
「ううん、変なんかじゃないよ。すごく嬉しい」
最愛の人からそんな風に言われて、幸せではないはずがない。だから俺はゆっくりと、はっきりと首を左右に振って、動かし終わるや式を再開させた。
俺にも色々と、伝えたいことがある。けれど今はそれよりも、強い感情があるから。ルーシーも同じように、それを望んでくれていると分かったから。
俺達は讃美歌や聖書朗読を揃って聞き、誓約を行い、同じく二人でデザインした指輪を交換して――。ついに、その時がやって来た。
「……ベンジャミン様。じっくりと過ごしたいけど、早く過ぎても欲しい。そんな式でした」
「そうだね、俺も同じだよ。……それじゃあ、一歩を踏み出そうか」
俺達の関係を一旦終わらせ、新たな始まりを生むもの。誓いのキス。
俺達は最後の儀式を行うべく、体と心の距離が更に縮まっていって――
「ルーシー。これまでもこれからも、ずっと愛してる」
「ベンジャミン様。これまでもこれからも、ずっと愛しています」
二つの唇はゆっくりと、けれどしっかりと、重なったのだった。
俺の最愛の人、ルーシー。これからは婚約者ではなく夫として、貴方を護ります。
ずっと、その笑顔が、この幸せが、続くようにするから。
いつまでも、一緒に歩いていきましょう。
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