一度もクリアできなかった乙女ゲームの世界に転生しました

柚木ゆず

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第9話 2人目の『敵』たち アデライド視点(2)

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「ごきげんよう。アメロルス様。フォムイエ様」

 右手側――2つの声が聞こえた方向を向き、カーテシーで応える。

 アメロルス子爵令嬢ネリー、17歳。
 フォムイエ子爵令息アンリ、18歳。

 この婚約関係にある2人が、バッドエンドを生み出す・・・・・・・・・・・新たな『敵』だ。

「あでら――失礼。ルーヴァローテ様とこうしてお会いするのは、久しぶりですね。一か月半ぶり、でしょうか?」
「そうですね。フォムイエ様と最後にお会いしたのは、先月の夜会でしたので」
「あの時からそんなにも経つんですよね。時の流れは――ん? どうしたんだ、ネリー?」

 ニコニコしながら話していると強めの咳払いが聞こえてきて、その発生源である隣に向けて首をかしげた?

「やけに大きい咳だね。喉の調子でも悪いのか?」
「……そんなんじゃありませんわ」
「?? そうなのか? じゃあ、どうして……? 風邪、とか……? いや、そんな様子はなかったしな……?」
「なんでもありませんわ。……ご挨拶も済みましたし、行きましょう。パーティー開始まであと10分。それまでにご挨拶しておきたい方は他にもいらっしゃいますしね」
「あ、ああ、そうだね。ではルーヴァローテ様、失礼します」

 アンリはネリーに引っ張られるようにして去っていって、わたしは再び独りになった。

((……さてと。10回未満を達成したことだし、わたしも挨拶回りをしておきましょうか))

 今のわたしは、里村七海ではなくてアデライド・ルーヴァローテ。わたしの行動は『ルーヴァローテ家の評判』に関わってくるので、余計な反感を買わないように急いで格上貴族たちにご挨拶を行う。

「ご挨拶が遅れてしまったこと、お許しください」
「え、ええ。気にしていませんよ。……ところで」
「は、はい?」
「わたくしの知り合いに、腕のいい医者がいますの。紹介いたしましょうか?」

「いえいえ、遅くなっても構いませんよ。……ところで」
「は、はい?」
「お父様の旧友が、とても腕のいい医者なの。紹介状を書きましょうか?」

 などなど。挨拶をするたび精神の異常を疑われてしまい、やんわりと断っている間に午後6時――パーティーが始まる時間となった。
 とはいっても『立食形式で食事をしながらお喋りをする』ことが中心なため特にやることは変わらず、開始前のように色々な人に心配されたりドン引きされたりして適当に会話を行い、あっという間に一時間半が経過した。

((……もうすぐ、7時半になるわね。行かないと))

 ゲームではこのタイミングで選択肢が現れて、『会場を抜けて中庭で風に当たりにいく』が正しい選択肢。ソレを実行するため関係者に許可を取った上で会場から出て、夜のとばりの下にある豪華絢爛な庭に移動した。

((…………たぶん、この位置ね。ここで3分くらい待っていると……))

 イベントが、始まる。

「ルーヴァローテ様、ちょっとよろしいかしら?」

 背後から突然、女性の声が聞こえてきて――


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