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第3話 追及 レティシア視点(2)
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「…………セルジュ。何を企んでいるんだ?」
「オディロン様っ、僕は企んでなどいませんよ! オディロン様っ、レティシア様っ、父上母上リステルズ卿もベルティーユ様もっ。お聞きください!」
セルジュ様は私達一人一人に視線を送り、全員を注目させました。
どうやら、かなりの自信があるようですが……。何を考えていらっしゃるのでしょうか……?
「『僕が貴方に飽きた』あるいは『貴方以外に好きな人が出来た』。レティシア様は僕が変に焦ってしまったせいで、そのように思われているのですよね?」
「……ええ。そう感じております」
「幸いにもそちらを、しっかりと否定できる材料を、思い付きましたので。事細かに解説をさせていただきます」
まずは私を見て、そのあとお兄様、おじ様おば様、お父様お母様を見回します。そして再び私へと視線を戻すと、右の指を2本立てました。
「はじめに前者ですが、よく思い出してください。父上や母上、レティシア様とオディロン様、リステルズ卿やベルティーユ様は、記憶を失った僕になんと仰りましたか? 『レティシア様を愛し続けていたんだよ』と仰りましたよね?」
「「「「「…………」」」」」
そちらは、その通りですので。揃って首を縦に動かしました。
「仮に僕が、記憶を失ったフリをしているのなら――飽きてしまっていたのであれば、どこかで違和感が生じていたはず。皆様、告白後、プロポーズ後、転落事件が起きる直前などなど。僕に違和感がありましたか?」
「「「「「…………」」」」」
先ほどお兄様と会話をしていたように、そういったものは一切ありませんでした。そのため今度は揃って、左右へと首を動かしました。
「この喪失がお芝居というのであれば、解消するタイミングを図っていたということになります。ですがそういった様子がないのであれば、『飽きてはない』ということになりますよね?」
セルジュ様は余裕たっぷりに口元を緩め、中指が――立てていた2本の指の片方が、静かに折られました。
「そして後者ですが、こちらも同じようなものです。『他に好きな人ができていた』のであれば、その相手と接触をしているはずです。なぜなら大掛かりな演技をしてまで一緒になりたい、そう思っているはずなのですから」
「「「「「…………」」」」」
それは、そうですね。言い分としては、間違っていません。
「でしたら直近の僕の行動を辿れば、女性の影などが出てくるはずです。父上母上、お二人はこの中で誰よりも僕の行動を知っている、把握していますよね?」
「息子なのだからな。その通りだ」「同じ場所に住んでいるのだもの。その通りよ」
「ですので皆様のお気が済むまで、入念にお調べください。そうすれば、全てが瞭然となりますよ」
「…………そう、だな。この問題は、はっきりとさせねばならない問題だ。レティシア嬢、オディロン君、これから念入りに調査を行うとする。……リステルズ卿、ご同行をお願い致します」
おじ様は不正を行わない人ですが、セルジュ様の身内です。そこで身内ではないお父様に協力を仰ぎ、2人で――両家での捜査が始まりました。
そして、その日から1週間後。その結果が明らかとなる日が訪れ――
「オディロン様っ、僕は企んでなどいませんよ! オディロン様っ、レティシア様っ、父上母上リステルズ卿もベルティーユ様もっ。お聞きください!」
セルジュ様は私達一人一人に視線を送り、全員を注目させました。
どうやら、かなりの自信があるようですが……。何を考えていらっしゃるのでしょうか……?
「『僕が貴方に飽きた』あるいは『貴方以外に好きな人が出来た』。レティシア様は僕が変に焦ってしまったせいで、そのように思われているのですよね?」
「……ええ。そう感じております」
「幸いにもそちらを、しっかりと否定できる材料を、思い付きましたので。事細かに解説をさせていただきます」
まずは私を見て、そのあとお兄様、おじ様おば様、お父様お母様を見回します。そして再び私へと視線を戻すと、右の指を2本立てました。
「はじめに前者ですが、よく思い出してください。父上や母上、レティシア様とオディロン様、リステルズ卿やベルティーユ様は、記憶を失った僕になんと仰りましたか? 『レティシア様を愛し続けていたんだよ』と仰りましたよね?」
「「「「「…………」」」」」
そちらは、その通りですので。揃って首を縦に動かしました。
「仮に僕が、記憶を失ったフリをしているのなら――飽きてしまっていたのであれば、どこかで違和感が生じていたはず。皆様、告白後、プロポーズ後、転落事件が起きる直前などなど。僕に違和感がありましたか?」
「「「「「…………」」」」」
先ほどお兄様と会話をしていたように、そういったものは一切ありませんでした。そのため今度は揃って、左右へと首を動かしました。
「この喪失がお芝居というのであれば、解消するタイミングを図っていたということになります。ですがそういった様子がないのであれば、『飽きてはない』ということになりますよね?」
セルジュ様は余裕たっぷりに口元を緩め、中指が――立てていた2本の指の片方が、静かに折られました。
「そして後者ですが、こちらも同じようなものです。『他に好きな人ができていた』のであれば、その相手と接触をしているはずです。なぜなら大掛かりな演技をしてまで一緒になりたい、そう思っているはずなのですから」
「「「「「…………」」」」」
それは、そうですね。言い分としては、間違っていません。
「でしたら直近の僕の行動を辿れば、女性の影などが出てくるはずです。父上母上、お二人はこの中で誰よりも僕の行動を知っている、把握していますよね?」
「息子なのだからな。その通りだ」「同じ場所に住んでいるのだもの。その通りよ」
「ですので皆様のお気が済むまで、入念にお調べください。そうすれば、全てが瞭然となりますよ」
「…………そう、だな。この問題は、はっきりとさせねばならない問題だ。レティシア嬢、オディロン君、これから念入りに調査を行うとする。……リステルズ卿、ご同行をお願い致します」
おじ様は不正を行わない人ですが、セルジュ様の身内です。そこで身内ではないお父様に協力を仰ぎ、2人で――両家での捜査が始まりました。
そして、その日から1週間後。その結果が明らかとなる日が訪れ――
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