自分のせいで婚約破棄。あたしはそう思い込まされていました。

柚木ゆず

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幕間 過去の記憶

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「ミーナ。ミーナ」

 あたしには、いつも見る夢があります。
 それは多分、生まれて間もない頃の夢。眠っているあたしに、お母様が喋りかけてくれる夢。

「ミーナ。ミーナ」

 柔らかくて、温かい声。
 あたしは優しさをたっぷり注がれて、気持ちよく眠っています。


『ミーナ! ミーナっ!!』


 現実ではいつもあたしを怒鳴ってばかりなのに、夢の中ではいつも優しくしてくれるお母様。
 現実ではいつもあたしを叩くのに、夢の中ではいつも優しくしてくれるお母様。

 だからあたしはいつも、思っていました。


 夢のようなお母様に戻ってください。


 と。
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