婚約破棄されたけど、今さら泣かれても遅いですわ?

「リリアナ・アーデル。君との婚約は――今日をもって破棄する」

 舞踏会の真ん中で、王太子エドガー殿下がそう宣言した瞬間、ざわりと会場中の空気が揺れた。
 煌びやかなシャンデリアの下、無数の視線がわたくしに集まる。嘲笑、同情、好奇心。
 どれも、わたくしがこれまで何度も浴びてきた視線だ。

 けれど、今日は違う。
 今日、ようやく――この茶番から解放される。

「理由をお聞かせいただけますか、殿下?」
 わたくしは冷静に問い返す。胸の奥では、鼓動が少しだけ早まっていた。
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