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プロローグ
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私があの人と出会ったのは偶然で、こうなったのは必然でした。
『ミラ。来年――お前が結婚できる年齢になったら、フォーレル家のクロード殿と結婚してもらうことになった』
かつてレフィーナ家は文勲、フォーレル家は武勲を挙げましたが、それは300年以上前の話。私達の家はどちらも没落寸前の伯爵家で、再び力をつけるために政略結婚を命じられたのです。
『貴方は長女であり、私達の唯一の子供。レフィーナ家のために、我慢して頂戴ね』
『両家の再建は、お前にかかってるんだ。すまないな、ミラ』
そうして私は婚約を済ませるため、一面識もない人――年齢が4歳上の21歳という情報しかない人と会う事になり、やがて予想に反して思わぬ幸福が訪れます。
『家の没落は先人達の努力を無としてしまう、絶対に避けなければならない事態。したがって両家の選択を変える事はできないが、貴女を幸せにする事はできるはず。努力ならなんでもするから、遠慮なく何でも言って欲しい』
クロードさんの第一印象は『不愛想で目付きが悪く、冷たそうな人』だったのですが、中身は反対。淡々としているもののとても優しい方で、出会って1か月後には明確に好意を抱くようになっていました。
そして、
『ミラと居る時は、いつも心が安らぐ。どうやら俺は、君という人に恋をしたらしい』
クロードさんも同じように想ってくれていて、強引に引き合わされた私達は純粋に恋に落ちたのでした。
交際を始める前は辛いと思い込んでいた二人で過ごす時は、何よりの幸せ。
お互いの誕生日やクリスマスの日は、笑い合って。
クロードさんのお父様と私の祖父が亡くなった時は、励まし合って。
交際して9か月が過ぎた頃にはお互いが必要不可欠になっていて、私達はどちらも二人で過ごす毎日がずっと続けばいいと願っていました。
ですが……。そんな話をしてから、その僅か2日後の事でした。
私の中で、異変が発生してしまいます。
『ほう。こちらがあの、弓の名手ローランド卿。武勲のみで爵位を与えられた、フォーレル家の原点となる御方ですか』
『この代々受け継がれている肖像画は、あの人の誇りであり宝物でした。毎日起きた時と寝る前に、挨拶をしていましたわ』
ハイフズさん――クロードさんのお父様を偲ぶため、両親と共にフォーレル邸を訪れていた時でした。ハイフズさんの私室に初めて入った私は、壁にある一枚の絵を目にします。
そして。
その直後私は激しい頭痛に襲われ、自分でも荒唐無稽と感じているのですが……。前世の記憶が、蘇ったのです。
私の前世は、エリス・ワルツという16歳の少女。
私達の一族は山間部に住まいを構え、代々伝わる秘宝を護ってきました。
しかしある日。その噂を聞きつけたローランド卿に――更なる地位と名誉を求めていた男に目を付けられ、秘宝の在りかを教えなかった私達は皆殺しにされてしまったのです。
次々に倒れていく仲間……。
大地に流れる、同胞の血……。
燃え盛る村……。
泣き叫ぶ私……。
そんな地獄のような光景と、悲痛な感情が脳内を駆け巡り――。記憶が蘇ったショックで意識を失いつつある私の中に、大きくどす黒い感情が芽生えてしまったのです。
ローランドが、憎い。
フォーレル家が憎い。
そして――。唯一の直系である、クロード・フォーレルが憎い。
『ミラっ!? ミラっっ!!』
慌てて私を抱き留めてくれた、大好きな人。
今でも、ずっと一緒に居たいと思っているのに……。激しく忌み嫌っている自分も、いる。
私は、どうすればいいのでしょうか……?
これから、どうなってしまうのでしょうか……?
…………誰か、助けて…………。
そんなことを考えながら、私は意識を手放したのでした。
『ミラ。来年――お前が結婚できる年齢になったら、フォーレル家のクロード殿と結婚してもらうことになった』
かつてレフィーナ家は文勲、フォーレル家は武勲を挙げましたが、それは300年以上前の話。私達の家はどちらも没落寸前の伯爵家で、再び力をつけるために政略結婚を命じられたのです。
『貴方は長女であり、私達の唯一の子供。レフィーナ家のために、我慢して頂戴ね』
『両家の再建は、お前にかかってるんだ。すまないな、ミラ』
そうして私は婚約を済ませるため、一面識もない人――年齢が4歳上の21歳という情報しかない人と会う事になり、やがて予想に反して思わぬ幸福が訪れます。
『家の没落は先人達の努力を無としてしまう、絶対に避けなければならない事態。したがって両家の選択を変える事はできないが、貴女を幸せにする事はできるはず。努力ならなんでもするから、遠慮なく何でも言って欲しい』
クロードさんの第一印象は『不愛想で目付きが悪く、冷たそうな人』だったのですが、中身は反対。淡々としているもののとても優しい方で、出会って1か月後には明確に好意を抱くようになっていました。
そして、
『ミラと居る時は、いつも心が安らぐ。どうやら俺は、君という人に恋をしたらしい』
クロードさんも同じように想ってくれていて、強引に引き合わされた私達は純粋に恋に落ちたのでした。
交際を始める前は辛いと思い込んでいた二人で過ごす時は、何よりの幸せ。
お互いの誕生日やクリスマスの日は、笑い合って。
クロードさんのお父様と私の祖父が亡くなった時は、励まし合って。
交際して9か月が過ぎた頃にはお互いが必要不可欠になっていて、私達はどちらも二人で過ごす毎日がずっと続けばいいと願っていました。
ですが……。そんな話をしてから、その僅か2日後の事でした。
私の中で、異変が発生してしまいます。
『ほう。こちらがあの、弓の名手ローランド卿。武勲のみで爵位を与えられた、フォーレル家の原点となる御方ですか』
『この代々受け継がれている肖像画は、あの人の誇りであり宝物でした。毎日起きた時と寝る前に、挨拶をしていましたわ』
ハイフズさん――クロードさんのお父様を偲ぶため、両親と共にフォーレル邸を訪れていた時でした。ハイフズさんの私室に初めて入った私は、壁にある一枚の絵を目にします。
そして。
その直後私は激しい頭痛に襲われ、自分でも荒唐無稽と感じているのですが……。前世の記憶が、蘇ったのです。
私の前世は、エリス・ワルツという16歳の少女。
私達の一族は山間部に住まいを構え、代々伝わる秘宝を護ってきました。
しかしある日。その噂を聞きつけたローランド卿に――更なる地位と名誉を求めていた男に目を付けられ、秘宝の在りかを教えなかった私達は皆殺しにされてしまったのです。
次々に倒れていく仲間……。
大地に流れる、同胞の血……。
燃え盛る村……。
泣き叫ぶ私……。
そんな地獄のような光景と、悲痛な感情が脳内を駆け巡り――。記憶が蘇ったショックで意識を失いつつある私の中に、大きくどす黒い感情が芽生えてしまったのです。
ローランドが、憎い。
フォーレル家が憎い。
そして――。唯一の直系である、クロード・フォーレルが憎い。
『ミラっ!? ミラっっ!!』
慌てて私を抱き留めてくれた、大好きな人。
今でも、ずっと一緒に居たいと思っているのに……。激しく忌み嫌っている自分も、いる。
私は、どうすればいいのでしょうか……?
これから、どうなってしまうのでしょうか……?
…………誰か、助けて…………。
そんなことを考えながら、私は意識を手放したのでした。
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