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9話 因果の応報(1)
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「クロードさん……っ」
「『あ、あんた……。どう、して……』」
「貴男は会談があるはずよ!! なぜここに居るの!?」
「違和感を覚える出来事が幾つかあり、途中で引き返し戻ってきた。それだけの事だ」
時間に余裕があるにもかかわらず出発が予定より遅れていたら急かされ、そうする三人の瞳には妙な焦りと濁りがあるように思えた。そのため急いで会談の場に向かって延期を申し入れ、速度が出るよう馬に跨り独りで戻っていた。
そしてその際に買い物を命じられた使用人さんを見掛け、出発直後の薬師来訪などの事情を聞いて『予感』は『確信』へと変わる。そのため何があっても対応できるようにして、乗り込んだ。
クロードさんはお父様に弓を向けつつ、一部始終を明かしてくれました。
「欲望が強いと知ってはいたが、ここまで堕ちるとは予想外だ。……唯一の家族を信じたい気持ちがあり、何かと甘くなっていたのだろうな」
「「「…………っ」」」
「だがそんな感情は、もう排除した。ここからは一切、容赦はしない」
いつでも矢を放てる状態にして、身振りでお父様に対して『火を消して剣を手放せ』と命じます。
「繰り返すぞ。お前達には一切、容赦はしない」
「「「…………っっ」」」
「従わなければ、迷わず撃つ。指示以外の行動を取っても、迷わず撃つ。ベルバ・レフィーナ、お前はどうする?」
「「「…………」」」
三人はアイコンタクトを取り合い、にやり。全員の口角が、邪悪に吊り上がりました。
「……このまま失敗に終われば、ワタシ達は牢屋行き」
「……憎々しいけれど、貴男のせいでそれは回避できない。ならっ!!」
「一人でも多く道ずれを作るまで!! 俺と一緒にお前達も死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
お父様達が選んだのは、捨て身。射殺される前に殺してやろうとして、目を見開き剣を振り上げました……っ。
「二人は、アイツの妨害をしてくれ!! その間に俺がっ! 俺がコイツらを――」
「殺す事は、できない。なにせ我が家(いえ)は、弓術を重んじる家系。妨害よりも斬るよりも先に、お前を射れるのだからな」
言葉が遮られた頃には矢が放たれていて、ソレはお父様の右手に命中。手の平を貫かれたことによって、たまらず剣を――もう片方の手にある松明も手放し、お父様はうめき声をあげて転げ回ります。
「がぁぁあ……っ。ぁがぁぁあああああああ……っっ」
「お前ではなくワルツ殿の為に、命は奪わない。当分の間、地獄の苦しみを味わうといい」
クロードさんは私達を解放してくれながら告げ、そうしている間にお父様は二人に引きずられる様にして部屋を飛び出していきました。
お母様達がそうしたのは、クロードさんから逃げるためではありません。さっきの出来事によって落ちた松明が引火し、消火をできない状態になってしまったからなのです。
「『あ、あんた……。どう、して……』」
「貴男は会談があるはずよ!! なぜここに居るの!?」
「違和感を覚える出来事が幾つかあり、途中で引き返し戻ってきた。それだけの事だ」
時間に余裕があるにもかかわらず出発が予定より遅れていたら急かされ、そうする三人の瞳には妙な焦りと濁りがあるように思えた。そのため急いで会談の場に向かって延期を申し入れ、速度が出るよう馬に跨り独りで戻っていた。
そしてその際に買い物を命じられた使用人さんを見掛け、出発直後の薬師来訪などの事情を聞いて『予感』は『確信』へと変わる。そのため何があっても対応できるようにして、乗り込んだ。
クロードさんはお父様に弓を向けつつ、一部始終を明かしてくれました。
「欲望が強いと知ってはいたが、ここまで堕ちるとは予想外だ。……唯一の家族を信じたい気持ちがあり、何かと甘くなっていたのだろうな」
「「「…………っ」」」
「だがそんな感情は、もう排除した。ここからは一切、容赦はしない」
いつでも矢を放てる状態にして、身振りでお父様に対して『火を消して剣を手放せ』と命じます。
「繰り返すぞ。お前達には一切、容赦はしない」
「「「…………っっ」」」
「従わなければ、迷わず撃つ。指示以外の行動を取っても、迷わず撃つ。ベルバ・レフィーナ、お前はどうする?」
「「「…………」」」
三人はアイコンタクトを取り合い、にやり。全員の口角が、邪悪に吊り上がりました。
「……このまま失敗に終われば、ワタシ達は牢屋行き」
「……憎々しいけれど、貴男のせいでそれは回避できない。ならっ!!」
「一人でも多く道ずれを作るまで!! 俺と一緒にお前達も死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
お父様達が選んだのは、捨て身。射殺される前に殺してやろうとして、目を見開き剣を振り上げました……っ。
「二人は、アイツの妨害をしてくれ!! その間に俺がっ! 俺がコイツらを――」
「殺す事は、できない。なにせ我が家(いえ)は、弓術を重んじる家系。妨害よりも斬るよりも先に、お前を射れるのだからな」
言葉が遮られた頃には矢が放たれていて、ソレはお父様の右手に命中。手の平を貫かれたことによって、たまらず剣を――もう片方の手にある松明も手放し、お父様はうめき声をあげて転げ回ります。
「がぁぁあ……っ。ぁがぁぁあああああああ……っっ」
「お前ではなくワルツ殿の為に、命は奪わない。当分の間、地獄の苦しみを味わうといい」
クロードさんは私達を解放してくれながら告げ、そうしている間にお父様は二人に引きずられる様にして部屋を飛び出していきました。
お母様達がそうしたのは、クロードさんから逃げるためではありません。さっきの出来事によって落ちた松明が引火し、消火をできない状態になってしまったからなのです。
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