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エピローグ
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「エリス、こんには。一か月ぶりですね」
「ワルツ殿は、お元気でしょうか? 俺達は御覧の通り、元気にやっていますよ」
フォーレル邸の炎上、前当主夫人とレフィーナ家当主夫婦の拘束、そしてフォーレル家の爵位返上。そんな出来事があった日から、1年と4か月後。
ミラ・レフィーナとクロード・レフィーナは、墓前に立っていました。
あのあとクロードはフォーレル家の断絶を決め、ミラと結婚をする際レフィーナ家に籍を移したのです。そのため今後この世に、フォーレルの名が現れることはありません。
「今日はエリスに、2つご報告があるんですよ。1つ目は、前回お話ししていた孤児院が完成したんです」
二人は金塊を売って得たお金を使い、街に綺麗で大きな建物を作っていました。
その理由は、争いで心が傷付いた子供の笑顔を取り戻すため。そこには孤児となった子供が既に大勢やってきていて、ミラ達やスタッフが――フォーレル家の元使用人達が、心を込めて接しています。
「ちなみにエリスは、院の名誉院長なんですよ? 貴女という立派な人が居た事を皆に知ってもらいたくって、孤児院の名前も『エリス・ワルツ孤児院』にしちゃいました」
「その影響で実を言いますと、ワルツ殿は子供達の憧憬の的となっています。子供達が自らこの場を訪れたがっていますので、後日大勢でお邪魔しますね」
ミラはイタズラっぽい笑みを、クロードは微苦笑を浮かべ、二人のその視線が移動。揃って、大きくなったミラのお腹へと移りました。
「エリスへの、2つ目のご報告です。……私達はもうすぐ、お父さんとお母さんになるんですよ」
「この件は内緒にしていて、申し訳ありません。最近ミラはずっと、ヒラヒラとした大きな服を着ていましたよね? あれはその一環だったのですよ」
「先にお伝えしてしまうと、エリスに『妊娠中は来なくていいから!』と叱られてしまいそうでしたから。暫くここに来れなくなるギリギリまで、隠しちゃってました」
一か月に一度の訪問は、二人にとっても大事な行動。気を遣わせてしまうのは嫌だったため、相談をしてそうしていたのです。
「エリス。私が次に訪れる時は、お母さんになったあとです。暫くお会いできないのは残念ですが、今度来る時は元気な赤ちゃんをお見せしますね」
「ワルツ殿。貴女は俺達にとって、大事で大切な友人です。ワルツ殿には子供を見せる『最初の友』になって頂きますので、その際はよろしくお願い致します」
「貴女がそうであるように、私達もずっと貴女を忘れませんよ。エリス。今までもこれからも、よろしくお願いしますね」
二人は揃って頭を下げ、そうしていると――。不思議な事が、起きました。
急にふわっと優しい風が吹き、
『ありがとうで、おめでとう。あたしも楽しみにしてるわっ』
それに乗って、聞き覚えのある声が聞こえてきたのです。
「クロードさんっ。今……っ」
「ああ。俺にも聞こえたよ」
二人は顔を見合わせて頷き合い、
「「はい」」
どちらも瞳を潤ませ、満開の笑顔を咲かせて返事をしたのでした。
そして、その後――。レフィーナ家に、新たな家族が誕生しました。
無事に生を受けたのは女の子で、名前はエリス。
この地域には親友の名前を貰うという風習があり、二人は迷わず命名したようです。
「ワルツ殿は、お元気でしょうか? 俺達は御覧の通り、元気にやっていますよ」
フォーレル邸の炎上、前当主夫人とレフィーナ家当主夫婦の拘束、そしてフォーレル家の爵位返上。そんな出来事があった日から、1年と4か月後。
ミラ・レフィーナとクロード・レフィーナは、墓前に立っていました。
あのあとクロードはフォーレル家の断絶を決め、ミラと結婚をする際レフィーナ家に籍を移したのです。そのため今後この世に、フォーレルの名が現れることはありません。
「今日はエリスに、2つご報告があるんですよ。1つ目は、前回お話ししていた孤児院が完成したんです」
二人は金塊を売って得たお金を使い、街に綺麗で大きな建物を作っていました。
その理由は、争いで心が傷付いた子供の笑顔を取り戻すため。そこには孤児となった子供が既に大勢やってきていて、ミラ達やスタッフが――フォーレル家の元使用人達が、心を込めて接しています。
「ちなみにエリスは、院の名誉院長なんですよ? 貴女という立派な人が居た事を皆に知ってもらいたくって、孤児院の名前も『エリス・ワルツ孤児院』にしちゃいました」
「その影響で実を言いますと、ワルツ殿は子供達の憧憬の的となっています。子供達が自らこの場を訪れたがっていますので、後日大勢でお邪魔しますね」
ミラはイタズラっぽい笑みを、クロードは微苦笑を浮かべ、二人のその視線が移動。揃って、大きくなったミラのお腹へと移りました。
「エリスへの、2つ目のご報告です。……私達はもうすぐ、お父さんとお母さんになるんですよ」
「この件は内緒にしていて、申し訳ありません。最近ミラはずっと、ヒラヒラとした大きな服を着ていましたよね? あれはその一環だったのですよ」
「先にお伝えしてしまうと、エリスに『妊娠中は来なくていいから!』と叱られてしまいそうでしたから。暫くここに来れなくなるギリギリまで、隠しちゃってました」
一か月に一度の訪問は、二人にとっても大事な行動。気を遣わせてしまうのは嫌だったため、相談をしてそうしていたのです。
「エリス。私が次に訪れる時は、お母さんになったあとです。暫くお会いできないのは残念ですが、今度来る時は元気な赤ちゃんをお見せしますね」
「ワルツ殿。貴女は俺達にとって、大事で大切な友人です。ワルツ殿には子供を見せる『最初の友』になって頂きますので、その際はよろしくお願い致します」
「貴女がそうであるように、私達もずっと貴女を忘れませんよ。エリス。今までもこれからも、よろしくお願いしますね」
二人は揃って頭を下げ、そうしていると――。不思議な事が、起きました。
急にふわっと優しい風が吹き、
『ありがとうで、おめでとう。あたしも楽しみにしてるわっ』
それに乗って、聞き覚えのある声が聞こえてきたのです。
「クロードさんっ。今……っ」
「ああ。俺にも聞こえたよ」
二人は顔を見合わせて頷き合い、
「「はい」」
どちらも瞳を潤ませ、満開の笑顔を咲かせて返事をしたのでした。
そして、その後――。レフィーナ家に、新たな家族が誕生しました。
無事に生を受けたのは女の子で、名前はエリス。
この地域には親友の名前を貰うという風習があり、二人は迷わず命名したようです。
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これを読み終えたとき ふわっと優しい風が吹いてきましたよ。
退会済ユーザのコメントです
平沢美月様。わざわざ感想をくださり、ありがとうございます。
そうですね。元凶ある彼の記憶は、世間からも、エリスの中からさえも消えています。
当時とは違い、逆です。残ったのはエリスで、消えたのは元凶。
因果の応報ですね。
無論仰られているように、エリスにとってそれはもう、些末事です。