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10話 エリスの最後の願い(3)
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「『それにね。これがバラバラになっても、あたし達が守っていたものはちゃんとある。あの時間は、無駄じゃない。だから――…………』」
突然エリスの声が途切れ、私の中にあった存在が急激に薄らいでいきます。
現世に留まる理由がなくなってから、もう2時間……。限界が、来てしまったようです……。
「っっ。ワルツ殿っ!」「エリスっ!」
「『…………大丈夫。他に言いたいこともあるし、途中で消えるつもりはないわ。殆ど時間がなさそうだから、進めるわね』」
うっすらとですが再びエリスの感覚が蘇り、私はクロードさん、そして胸元を――私を見つめます。
「『クロード、ミラ。あたしのためにも、そうして頂戴。これがあたしの、最後の願いだから』」
「「分かりました。貴女が望む通りに、致します」」
エリスの望みなのですから、尊重することが一番の方法。私達は迷いを捨てて答え、そうしたら私は満足そうに頷いてくれました。
「『これであたしも、安心してみんなのトコに行けるわ。それじゃあ、次は最後の言葉を言うわね』」
エリスの存在はほぼなくなっていて、声も霞んできています。
本当に、これが最後の時間。目から自然と涙が零れていた私とクロードさんは、聞き逃さないよう聴覚に全神経を集中させました。
「『クロード、殴ったり邪険にしてごめんなさい。ミラ、色々と巻き込んでごめんなさい。……時間がないから謝罪はここまでにさせてもらって、本命を言わせてもらうわ』」
「「はい。どうぞ……っ」」
「『短い時間だったけど、アナタ達と出会えた事が今ではすごく嬉しくって……っ。クロードとミラは、一族以外で初めて好きになった人。あたしに気付かせて、助けてくれて、ありがとうございましたっ。あたしは上に行っても絶対に忘れないから、二人もあたしを忘れないでいてくれると嬉しいな』」
「「勿論です! 貴女のこと、貴女と過ごした時間は忘れません……っ」」
「『あはは、ありがとう……っっ。これで安心して、消えられるよ。バイバイ、クロード、ミラ。二人のおかげで、やっとこの世界が好きになれましたっ』」
私は左手で自分――私に、右手でクロードさんに手を振り、破顔一笑。私が最後に感じた『心』には清々しさだけが存在していて、エリス・ワルツは本当に幸せそうに、仲間のもとへと旅立ったのでした。
突然エリスの声が途切れ、私の中にあった存在が急激に薄らいでいきます。
現世に留まる理由がなくなってから、もう2時間……。限界が、来てしまったようです……。
「っっ。ワルツ殿っ!」「エリスっ!」
「『…………大丈夫。他に言いたいこともあるし、途中で消えるつもりはないわ。殆ど時間がなさそうだから、進めるわね』」
うっすらとですが再びエリスの感覚が蘇り、私はクロードさん、そして胸元を――私を見つめます。
「『クロード、ミラ。あたしのためにも、そうして頂戴。これがあたしの、最後の願いだから』」
「「分かりました。貴女が望む通りに、致します」」
エリスの望みなのですから、尊重することが一番の方法。私達は迷いを捨てて答え、そうしたら私は満足そうに頷いてくれました。
「『これであたしも、安心してみんなのトコに行けるわ。それじゃあ、次は最後の言葉を言うわね』」
エリスの存在はほぼなくなっていて、声も霞んできています。
本当に、これが最後の時間。目から自然と涙が零れていた私とクロードさんは、聞き逃さないよう聴覚に全神経を集中させました。
「『クロード、殴ったり邪険にしてごめんなさい。ミラ、色々と巻き込んでごめんなさい。……時間がないから謝罪はここまでにさせてもらって、本命を言わせてもらうわ』」
「「はい。どうぞ……っ」」
「『短い時間だったけど、アナタ達と出会えた事が今ではすごく嬉しくって……っ。クロードとミラは、一族以外で初めて好きになった人。あたしに気付かせて、助けてくれて、ありがとうございましたっ。あたしは上に行っても絶対に忘れないから、二人もあたしを忘れないでいてくれると嬉しいな』」
「「勿論です! 貴女のこと、貴女と過ごした時間は忘れません……っ」」
「『あはは、ありがとう……っっ。これで安心して、消えられるよ。バイバイ、クロード、ミラ。二人のおかげで、やっとこの世界が好きになれましたっ』」
私は左手で自分――私に、右手でクロードさんに手を振り、破顔一笑。私が最後に感じた『心』には清々しさだけが存在していて、エリス・ワルツは本当に幸せそうに、仲間のもとへと旅立ったのでした。
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