私の食卓には、愚痴を聞いてくれる神様がいる。

柚木ゆず

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愚痴編(2)

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「……実はですね、とある上司に困ってるんですよ。あの人は私が働きすぎると『新人がでしゃばるな』って小言を言い始めて、だったらと思って控えめにすると『新人なら必死になって働け』って小言を言い始めるんですよ。……ホント意味不明ですよね?」

 今回私が愚痴らせてもらう相手は、『後輩に追い抜かれたくない上司』。さっきチラッと出た、性悪上司軍団の一人だ。

「そりゃあ年下がガンガン動いたり評価されたりしたら、面白くないと思います。実際私も大学と高校時代にやってた部活で、上手な後輩に嫉妬した時もありますから」
「嫉妬ってのは、どうしても人間に宿る感情だからな。そうなっちまうのは無理もない」
「だけど私はライバルに負けないように努力をして、後輩を成長の原動力にしてきました。……どうして私より一回り近く上で人生経験豊富な人が、そうできないんでしょうね……? どうして『向上』ではなく、相手を下げようとするんでしょうね……?」
「努力という行為には、多くの時間と労力が必要不可欠。それに引き替え後者は、大した時間も労力も要らない。楽を覚えちまった人間は、当然楽な方に走るわな」
「はい! ですよねっ! あの人はいかに自分が楽をして昇進するかばっかり考えていて、ホントバカ! ボケナスですよっ! あんな人が近くにいるのは迷惑ですっ!」

 そのせいで後輩の動きが制限されて、困ってる人が大勢いる。少しは自分以外のことも考えてみろってのよ!

「その上司は同期の人にも、陰で色々と言われてるんですよ。時にはやんわりと窘められてるのに、微塵も気付いていなくって……っ。とことんアホな人なんですよ!」
「そうそう。そんなヤツってのは大抵、そんなトコがあるんだよな。神の世界でもそういうヤツがいるんだぜ」
「えっ、そうなんですかっ? 七坂様はその神様に、どう対応してるんですか?」
「完全無視、だな。そういう馬鹿に正論は通じないから、とにかく無視する。存在していいないと思って視界思考から取り除き、自分のやりたいように動く。俺はそうしてきたぜ」
「……そっか。そう、なんですね。…………いいです、それ」

 確かにああいう人に、正論は無意味。考えるだけ損だ。

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