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第6話 2度目の決行 リュシエンヌ視点(3)
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「わたくしの、指紋……!? どうして指紋が浮かんでくるんですの……!? なんなんですのその粉は……!?」
この世界にはまだ、指紋検出をできる道具がない。初めて目にする光景だから驚くのも当然よね。
「とある金属を削った粉や、草や木の実、とある作物の粉末を混ぜ合わせると、物体に付着していた指紋を浮かび上がらせることができるのよ」
刑事ドラマやサスペンスでよくある指紋鑑定、あれは『アルミパウダー』というものが使用されている。その中身はアルミの粉末と『シリカ』『タルク』『カリオン』などといったものの混合物で、それらはこの世界には存在していないのだけれど、あちこちで集めたもので代用できるのだ。
「かつてあたしが暮らしていた世界――とある場所ではとてもポピュラーなもので、これで犯人を絞り込んだり特定したりしていたのよ」
「……………………」
「で。破られてしまっているノートに、マチルドの指紋がついている。つまりこれは、『マチルドがノートを破った』という証拠になるのよ」
ノートに付着している指紋の向きや、ノートの破れ方。それらを合わせたら、この指紋の持ち主が破ったと一目で分かるのよね。
「男爵令嬢の娘の所有物を伯爵令嬢が破った――明らかなイジメの証拠。これを見せつつ『他にも○○をされました』とあたしが訴えたら、それらもすべて信用されてしまうでしょうね」
「……………………」
「この指紋を学院で言いふらしたら、面白いことになる。けれどそれ以上に、アンタの家を敵対している貴族に渡せばもっと面白いことになるでしょうね」
貴族――特に伯爵家以上の貴族は、信じられないくらいに狡猾で強欲な魔物。『絶対的な証拠』があると分かれば、嬉々として協力を申し出てくる。
その結果、ヤツらは――いくつもの巧妙な嘘を加えてこの『爆弾』の威力を何倍にもして爆発させ、『ハチユイド伯爵家』に致命傷を与えることだってできてしまえる。
「そうなれば即学院を去らないといけなくなるでしょうし、お屋敷に戻っても今のような生活を過ごせない。お屋敷に居られなくなってしまう可能性どころか、路頭に迷い野垂れ死ぬ可能性も充分にあるわ」
「……………………」
「そんなことになったら、辛いでしょう? そんな風になるのは、嫌でしょう?」
「……………………。い、いや……。いやです……」
顔面蒼白になり、石像のように固まっていたマチルドが――あたし以上に中~上位貴族の性質を知っているマチルドが、ぽつりと呟いた。
どうで今まで悲惨な目に遭った貴族の話は聞いているでしょうし、伯爵令嬢として今日まで何一つ不自由のない生活をしてきたんだもの。絶対に嫌よね。
「だから、チャンスをあげる。これから口にする3つの命令に従うのなら、特別に敵対貴族への譲渡などはしないであげるわ」
あっという間に絶望一色になってしまった顔に、3本指を立てて見せて――
この世界にはまだ、指紋検出をできる道具がない。初めて目にする光景だから驚くのも当然よね。
「とある金属を削った粉や、草や木の実、とある作物の粉末を混ぜ合わせると、物体に付着していた指紋を浮かび上がらせることができるのよ」
刑事ドラマやサスペンスでよくある指紋鑑定、あれは『アルミパウダー』というものが使用されている。その中身はアルミの粉末と『シリカ』『タルク』『カリオン』などといったものの混合物で、それらはこの世界には存在していないのだけれど、あちこちで集めたもので代用できるのだ。
「かつてあたしが暮らしていた世界――とある場所ではとてもポピュラーなもので、これで犯人を絞り込んだり特定したりしていたのよ」
「……………………」
「で。破られてしまっているノートに、マチルドの指紋がついている。つまりこれは、『マチルドがノートを破った』という証拠になるのよ」
ノートに付着している指紋の向きや、ノートの破れ方。それらを合わせたら、この指紋の持ち主が破ったと一目で分かるのよね。
「男爵令嬢の娘の所有物を伯爵令嬢が破った――明らかなイジメの証拠。これを見せつつ『他にも○○をされました』とあたしが訴えたら、それらもすべて信用されてしまうでしょうね」
「……………………」
「この指紋を学院で言いふらしたら、面白いことになる。けれどそれ以上に、アンタの家を敵対している貴族に渡せばもっと面白いことになるでしょうね」
貴族――特に伯爵家以上の貴族は、信じられないくらいに狡猾で強欲な魔物。『絶対的な証拠』があると分かれば、嬉々として協力を申し出てくる。
その結果、ヤツらは――いくつもの巧妙な嘘を加えてこの『爆弾』の威力を何倍にもして爆発させ、『ハチユイド伯爵家』に致命傷を与えることだってできてしまえる。
「そうなれば即学院を去らないといけなくなるでしょうし、お屋敷に戻っても今のような生活を過ごせない。お屋敷に居られなくなってしまう可能性どころか、路頭に迷い野垂れ死ぬ可能性も充分にあるわ」
「……………………」
「そんなことになったら、辛いでしょう? そんな風になるのは、嫌でしょう?」
「……………………。い、いや……。いやです……」
顔面蒼白になり、石像のように固まっていたマチルドが――あたし以上に中~上位貴族の性質を知っているマチルドが、ぽつりと呟いた。
どうで今まで悲惨な目に遭った貴族の話は聞いているでしょうし、伯爵令嬢として今日まで何一つ不自由のない生活をしてきたんだもの。絶対に嫌よね。
「だから、チャンスをあげる。これから口にする3つの命令に従うのなら、特別に敵対貴族への譲渡などはしないであげるわ」
あっという間に絶望一色になってしまった顔に、3本指を立てて見せて――
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