王太子マクソンスの選択ミス

柚木ゆず

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第6話 疑問 マクソンス視点(2)

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「っ、どうした!? 何があった!? 何がお前をそうさせているんだ!」
「胸が、苦しくて……! 身体が、痛い……!! わたしの身体の中で、何かが動いているっっ! 渦巻いているみたいな感覚があるの!!」

 ヤツはいつもより低く、ハキハキとした声で――『素』の状態で、自分自身の身体を見回した。
 どんな時でも擬態しているリビアが、芝居をできないだなんて……。余程のことになっているらしい。

「殿下! これが、聖女の力が完全に宿る証なの!? そうなのよね!?」
「…………違う。それは、完全に宿る証では、ない……」

 母上も叔母上も曾祖母も、みんな元聖女だから知っている。継承の際には、一切の苦痛は生じないのだと……。

「そんなっ! じゃあなんなのよ!? どうなってるの!?」
「おやおや、リビアが大声を出すなんて初めてだな。珍しい、なにがあった――リビア!? どうしたんだっ!!」
「胸が苦しくって身体が痛いの!! 身体の中で何かが渦巻いてるみたいなの!!」
「なんだって!? でっ、でで殿下っ! どっ、どうなっているのですか!?」

 大声を聞きつけたリビアの父がやって来て、リビアと一緒に叫び始めた。
 チッ、うるさい。近くで騒いだら落ち着いて考えられないだろうが!

「殿下!! 殿下っ! わたしの身体はどうなってるの!?」
「殿下! 娘はどうなっているのですか!? 命に別状はないのでしょうな!?」
「原因を考えているから少し黙っていろ!! 苦しみを消したいのなら静かにしていろ! 全員一言も口にするな!!」

 俺は二人を――背後にいる従者達にも一喝して黙らせ、高速で思案を始める。
 まずはこれまでの行動を全て振り返り、原因となりそうなものを探してゆく。そして少しで怪しいものが見つかればピックアップし、一つずつ細かくチェックをしてゆく。

((…………こいつは…………違う、現状とは無関係だ。こっちは…………これも違う。ならこっちは………………そいつも、違うか……))

 このように俺は次々と処理をしてゆき、そんな作業が8回繰り返された時だった。俺は、思考を止めることとなる。
 しかしながらそれは、9回目で答えを見つけたからではない。俺がそうせざるをえなかったのは――

「黒い煙に覆われた!?」

 リビアの皮膚から突如黒煙が噴き出し、彼女の身体を猛スピードで覆ってしまったからだ。

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