王太子マクソンスの選択ミス

柚木ゆず

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第7話 理由 理由 俯瞰視点

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 それは今から、数時間前のこと――。
《ルシー・ラナエックから聖女の力を奪い、リビア・ジェルハールンに宿せ》。マクソンスが放った呪いこと『不可視の漆黒の影』は目的を達成するべく人知れず移動を行い、ついにルシーの前に到達していました。

 ――触れた者から指定のものを吸い取る――。

 この『影』にはそういった性質があるため、ルシーに触れようとします。ですが、

「危ない!!」

 その寸前でガブリエルがルシーを引き寄せ、それによってペンダントが前方に揺れたことにより、『影』はルシーではなくペンダントに触れてしまいました。
 多くの穢れと聖女の力を混ぜたものを収めていた、ペンダントに触れてしまいました。

《ルシー・ラナエックから聖女の力を奪い、リビア・ジェルハールンに宿せ》

 呪いである『影』に自我はなく、『影』は与えられた役割を淡々と果たします。ですので――

 聖女の力の回収に成功。

 そのように判断してしまい、

((なっ!? 離れていく……!?))

 本当のターゲットであるルシーには一切手を出さないまま、移動を再開。第2の命令を完遂するべくリビアのもとを訪れ、回収したソレをリビアの身体に注ぎ込んで消滅したのでした。

 そして――

 〇〇


((ふふ、ふふふっ。殿下、貴男は最高よ))

 ルシーが宿す力ではなく、穢れと極僅かの聖なる力を与えられたリビア。彼女は打算に満ちた、とてつもなく汚い心の持ち主でした。

((わたしの演技にコロッと引っかかってくれた上に、聖女にまでならせてくれるだなんて。貴方はまるで、金の生る木だわ))

 公爵令嬢リビア。彼女は、欲望の沼。
『金』。『物』。『更なる地位』などなど。ありとあらゆるものを欲し、どんなことをしてでも手に入れようとしていていたのです。

((強力な権力を持つ王妃と、圧倒的な支持信仰を得られる聖女。この二つがあれば国のコントロールも可能で、もっとも~っと人生が輝くわね。……くふふ。ますます楽しいことになりそうだわ))

 周囲の人間は、全て駒。自分は女王アリで、他は働きアリ。

 ――せっせと働かせて、わたしの理想郷を作りましょう――。

 彼女は欲望の沼であるが故に国の乗っ取り同然となることを考え始めており、現在のリビアはますます『黒さ』を増していました。
 だから、だったのでしょう――。

 呪いが運んできた穢れと悪心が良くない共鳴をしてしまい、体内で『負』が爆発的に増加してしまったのです。

「胸が、苦しくて……! 身体が、痛い……!! わたしの身体の中で、何かが動いているっっ! 渦巻いているみたいな感覚があるの!!」

「黒い煙に覆われた!?」

 そのためリビアはやがて『負』で埋め尽くされてしまい、それにより肉体が変質をしてしまい――


 彼女は、人ならざる者へと変化してしまうことになるのでした。

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