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第2話 内容と、不愉快な出来事 サンドリーヌ視点(1)
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「………………できた。これでいきましょう」
あれから授業と食事以外の時は、ずっとデスクに向かって思案していた。そのかいあっておよそ1日後の午前2時過ぎに、対叔父一家用の作戦が出来上がった。
前提 サンドリーヌはジョルジェット様のポテンシャルを恐れ、ずっと危険視し、精神的な揺さぶりをかけて並ばれないようにしていた。
その1。ジョルジェット様が階段から突き落とされる事件が発生し、やがてその犯人はサンドリーヌだと発覚する。
その2。その後の取り調べと調査により、去年から発生していた不審な出来事――ジョルジェット様の教科書やノートが破られたり私物が壊されるなども、サンドリーヌが行っていたと発覚する。
その3。更にはジョルジェット様がいつも身に着けていた大切なネックレスを盗んでいたとも発覚し、更には換金していたことも判明する。
あちらへの攻撃は、以上の3つ。
1で特大のダメージを与え、2と3で『わたしが実際に敵意を抱いていた』と周囲に認識させつつ叔父達に更なる追撃を行う。
もちろん突き落とすのはお芝居なのだけれど、診断なんてどうとでもできてしまえる。大怪我を負った――骨折や後遺症があるなど言えば多額の慰謝料を支払うことになるし、その後もずっと『コノルワーズ家』は白い目で見られるようになるのです。
「…………コノルワーズ家を守ってきたお父様とお母様……。コノルワーズを築いてきたご先祖様達には、合わせる顔がないわね」
これは沢山の人を裏切る行動だと、重々理解している。
でも。それでも。
証拠としてステファン君が同封してくれたアンリの日記を読んだら、やらずにはいられなかった。
――叔父達はお父様達が亡くなった際、大喜びをしていた――。
――お葬式があったその翌日に、叔父達は事故を祝うパーティーを開いていた――。
ずっとお父様とお母様の死を利用していた、お父様達の不幸を影で大喜びしていた人間達に、どうしても一矢報いたい。
「…………ごめんなさい。お父様、お母様。ご先祖様」
勝手な言い分。出来ることならもっともっとダメージを与えたいけど、このくらいで抑えたので許してください。
わたしは声と心の中の両方で謝罪を行い、計画の詳細を記した便箋を封筒に入れる。
「アニェス。頼んだわ」
わたしとジョルジェット様達が接触している姿を見られてしまったら、計画がつつがなく進まなくなってしまう可能性がある。それを回避するために連絡は手紙を使って行うようになっていて、差出人『サンドレア・ロール』かつマルク様宛とした上で、外部の公共機関を使って男性寮に届けてもらうようになっているのです。
「承知いたしました。午前中のうちに近くの街に向かい、投函いたします」
「ええ、お願い。貴方にもいつも迷惑をかけるわね」
色々と任せてしまっているお詫びを行い、わたしは1日振りにベッドに入る。そうして眠っている間に陽が昇って朝となり、朝の食事を終えて授業に向かう――つもりだったのだけれど。
……食堂で朝食を済ませて、自室に戻ってきた直後のことだった――。
不意に、不愉快極まりない出来事が発生するのでした。
あれから授業と食事以外の時は、ずっとデスクに向かって思案していた。そのかいあっておよそ1日後の午前2時過ぎに、対叔父一家用の作戦が出来上がった。
前提 サンドリーヌはジョルジェット様のポテンシャルを恐れ、ずっと危険視し、精神的な揺さぶりをかけて並ばれないようにしていた。
その1。ジョルジェット様が階段から突き落とされる事件が発生し、やがてその犯人はサンドリーヌだと発覚する。
その2。その後の取り調べと調査により、去年から発生していた不審な出来事――ジョルジェット様の教科書やノートが破られたり私物が壊されるなども、サンドリーヌが行っていたと発覚する。
その3。更にはジョルジェット様がいつも身に着けていた大切なネックレスを盗んでいたとも発覚し、更には換金していたことも判明する。
あちらへの攻撃は、以上の3つ。
1で特大のダメージを与え、2と3で『わたしが実際に敵意を抱いていた』と周囲に認識させつつ叔父達に更なる追撃を行う。
もちろん突き落とすのはお芝居なのだけれど、診断なんてどうとでもできてしまえる。大怪我を負った――骨折や後遺症があるなど言えば多額の慰謝料を支払うことになるし、その後もずっと『コノルワーズ家』は白い目で見られるようになるのです。
「…………コノルワーズ家を守ってきたお父様とお母様……。コノルワーズを築いてきたご先祖様達には、合わせる顔がないわね」
これは沢山の人を裏切る行動だと、重々理解している。
でも。それでも。
証拠としてステファン君が同封してくれたアンリの日記を読んだら、やらずにはいられなかった。
――叔父達はお父様達が亡くなった際、大喜びをしていた――。
――お葬式があったその翌日に、叔父達は事故を祝うパーティーを開いていた――。
ずっとお父様とお母様の死を利用していた、お父様達の不幸を影で大喜びしていた人間達に、どうしても一矢報いたい。
「…………ごめんなさい。お父様、お母様。ご先祖様」
勝手な言い分。出来ることならもっともっとダメージを与えたいけど、このくらいで抑えたので許してください。
わたしは声と心の中の両方で謝罪を行い、計画の詳細を記した便箋を封筒に入れる。
「アニェス。頼んだわ」
わたしとジョルジェット様達が接触している姿を見られてしまったら、計画がつつがなく進まなくなってしまう可能性がある。それを回避するために連絡は手紙を使って行うようになっていて、差出人『サンドレア・ロール』かつマルク様宛とした上で、外部の公共機関を使って男性寮に届けてもらうようになっているのです。
「承知いたしました。午前中のうちに近くの街に向かい、投函いたします」
「ええ、お願い。貴方にもいつも迷惑をかけるわね」
色々と任せてしまっているお詫びを行い、わたしは1日振りにベッドに入る。そうして眠っている間に陽が昇って朝となり、朝の食事を終えて授業に向かう――つもりだったのだけれど。
……食堂で朝食を済ませて、自室に戻ってきた直後のことだった――。
不意に、不愉快極まりない出来事が発生するのでした。
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