どうそ私を陥れてください。とお願いした結果

柚木ゆず

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第8話 悪しき者達のその後~マルク達の場合~ 俯瞰視点

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「こらお前達。そこで何をしているんだ」
「子爵令嬢3人が男爵令嬢を取り込んでいて、男爵令嬢は泣きそうになっている。楽しいことが起きている、のではなさそうですわね?」

 あれから半年後。かつて『サンドリーヌ陥れ計画』を企てていたマルクとジョルジェットは、イジメを行っていた3人の前に現れ叱責していました。

 ――勘違いにより勝手に作り出して勝手に怯えた、サンドリーヌの恐怖――。

 それによって彼らはその後長い間怯え続けることになり、毎晩サンドリーヌによって裁かれる悪夢に襲われました。
 そんな経験がマルクとジョルジェットを改心させ、ふたりはすっかり『真面目な人間』となっていたのです。

「いいかお前達。悪事は必ず露見し、その報いを受ける羽目になるんだぞ」
「こんなことを続けていたら、必ずや破滅するわよ」
「「「……………………」」」
「破滅したいのならば、続けるといい。……お前達は、どうする?」
「「「…………も、もう致しません……」」」」

 格上に注意されたからだけではなく、マルクとジョルジェットの言葉と表情には重みがあった。確実にそうなってしまうという、確信を感じる重みがありました。
 そのため3人は男爵令嬢に謝罪を行い、俯きながらその場を去っていったのでした。

「……かつての俺達がそうだったように、貴族の大半は格下には偉そうにする。俺達で護っていかないといけないな」
「そうですわね。護ってゆきましょう――あっ」
「ん? どうした――あ! ごきげんよう、サンドリーヌ様!」
「ごきげんよう。また、よいことをされていたようですね」
「いえいえ、当然の行動ですよ。ね、ジョルジェット」
「ええ。当たり前のことを当たり前にしただけですわ」
「そうですか。影ながら応援していますね」
「「はいっ! ありがとうございます!!」」

 もしあの夜中庭に行かなければ、サンドリーヌは退学する羽目になっていたかもしれません。ですが彼らが企んだおかげで、窮地を脱することができた。
 意図していないとはいえ功労者となっていたこともあってサンドリーヌは不問に付しており、今では良い友人となっていました。

「「では、パトロールを続けますので失礼致します!」」




 マルクとジョルジェット。
 悪事を試みるも勘違いによりサンドリーヌを助け改心したふたりは、その後もそのままであり続けた。だから、なのかもしれませんね。
 以降もふたりは、船の上にいる人達とは、正反対の人生を歩むこととなるのでした――。








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