10 / 68
第5話 翌日~旅行をしましょう~ エレーヌ視点(3)
しおりを挟む
「…………あの、お父様お母様。『ルナリーファル』という国名、もしくは地名を、ご存じではありませんか?」
どうしても、確認をしておきたくなったこと。それは、かつて私がノエルとして生涯を過ごした国のこと。
お二人の口から出た『ルナリーフ』がとても近かったので、
もしかすると、その地と関係性があるのでは? もしかしたら、ルナリーファルの未来の姿なのでは?
そんなものがよぎり、もしもそうなら訪れてみたいと思い、尋ねました。
「ルナリーフの旧名、などなど。何かしらの繋がりを感じられるデータは、そちらの資料にありませんか?」
「ルナリーファル…………。ルナリーフの情報はそれなりに集めたが、一度も耳にはしなかった名だな。他の資料を集める際にも、聞かなかったな」
「わたしはルナリーフ自体が初耳だから何も分からないし、同じく集めている時に聞いてもいないわ。だからまったく役に立てないのだけれど、気になることがあるわ」
お父様と共に首をかしげていたお母様は、ぐるりと周囲を見回しました。
「そのルナリーファルは、ここと――この国『サンリ―ファル』ともよく似ているでしょう? この国が関係ある可能性も、あるのではないかしら……?」
「………………いや、そんなものはどこにもなかったはずだ。父上の影響で祖国の歴史には詳しいが、聞いた覚えがまったくないからな」
「あら、じゃあハズレなのね。……ねえ、エレーヌ。そのルナリーファルという名は、どこで知ったの?」
「…………何かの本で見かけたと、記憶していたのですが……。どうやら、記憶違いのようです。お父様お母様、ありがとうございました」
文化などがこの国や周辺国と酷似していたので、この国もしくは周辺国のどこかにありそうだと思っていましたが……。そのどちらにも情報がなかったみたいですので、ルナリーファルは別の世界に存在している可能性が高いようです。
異なる世界。そんなものがあるとは思えないのですが、実際にノエルの記憶がありますので。それもまた、事実なのですね。
「止めてしまって、申し訳ございませんでした。次は……そちらの資料ですね」
「おっ、『ラレック』もなかなか評判がよかったぞ。丘から見上げる夜空は、絶景だそうだ」
「夜景といえば、こっち――『クリエラース』もおススメみたいよ。この辺りはひときわ空気が澄んでいて、透き通った星空が楽しめるんですって」
「夜空は好きですし、どちらも郷土料理が有名なのですね。その土地ならではをたっぷりと楽しめそうですので、よさそうですね」
ラレックとクリエラースの資料を、膝の上において――候補に入れて、残りの候補地に目を通していきます。
それらはお父様とお母様が私を意識して選んでくださっているものですので、どれも本当に魅力的で。引き続き興味津々になりながら、積まれた資料を眺めていって――
((っ!?))
とある資料に触れた、その瞬間のことです。まるで激しい静電気のようなものが発生し、その衝撃が指先から胸の奥へと走ったのでした。
…………今のは、いったい…………?
どうしても、確認をしておきたくなったこと。それは、かつて私がノエルとして生涯を過ごした国のこと。
お二人の口から出た『ルナリーフ』がとても近かったので、
もしかすると、その地と関係性があるのでは? もしかしたら、ルナリーファルの未来の姿なのでは?
そんなものがよぎり、もしもそうなら訪れてみたいと思い、尋ねました。
「ルナリーフの旧名、などなど。何かしらの繋がりを感じられるデータは、そちらの資料にありませんか?」
「ルナリーファル…………。ルナリーフの情報はそれなりに集めたが、一度も耳にはしなかった名だな。他の資料を集める際にも、聞かなかったな」
「わたしはルナリーフ自体が初耳だから何も分からないし、同じく集めている時に聞いてもいないわ。だからまったく役に立てないのだけれど、気になることがあるわ」
お父様と共に首をかしげていたお母様は、ぐるりと周囲を見回しました。
「そのルナリーファルは、ここと――この国『サンリ―ファル』ともよく似ているでしょう? この国が関係ある可能性も、あるのではないかしら……?」
「………………いや、そんなものはどこにもなかったはずだ。父上の影響で祖国の歴史には詳しいが、聞いた覚えがまったくないからな」
「あら、じゃあハズレなのね。……ねえ、エレーヌ。そのルナリーファルという名は、どこで知ったの?」
「…………何かの本で見かけたと、記憶していたのですが……。どうやら、記憶違いのようです。お父様お母様、ありがとうございました」
文化などがこの国や周辺国と酷似していたので、この国もしくは周辺国のどこかにありそうだと思っていましたが……。そのどちらにも情報がなかったみたいですので、ルナリーファルは別の世界に存在している可能性が高いようです。
異なる世界。そんなものがあるとは思えないのですが、実際にノエルの記憶がありますので。それもまた、事実なのですね。
「止めてしまって、申し訳ございませんでした。次は……そちらの資料ですね」
「おっ、『ラレック』もなかなか評判がよかったぞ。丘から見上げる夜空は、絶景だそうだ」
「夜景といえば、こっち――『クリエラース』もおススメみたいよ。この辺りはひときわ空気が澄んでいて、透き通った星空が楽しめるんですって」
「夜空は好きですし、どちらも郷土料理が有名なのですね。その土地ならではをたっぷりと楽しめそうですので、よさそうですね」
ラレックとクリエラースの資料を、膝の上において――候補に入れて、残りの候補地に目を通していきます。
それらはお父様とお母様が私を意識して選んでくださっているものですので、どれも本当に魅力的で。引き続き興味津々になりながら、積まれた資料を眺めていって――
((っ!?))
とある資料に触れた、その瞬間のことです。まるで激しい静電気のようなものが発生し、その衝撃が指先から胸の奥へと走ったのでした。
…………今のは、いったい…………?
484
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。
buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ?
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】
佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。
異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。
幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。
その事実を1番隣でいつも見ていた。
一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。
25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。
これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。
何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは…
完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。
成人したのであなたから卒業させていただきます。
ぽんぽこ狸
恋愛
フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。
すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。
メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。
しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。
それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。
そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。
変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
【完結】女嫌いの公爵様に嫁いだら前妻の幼子と家族になりました
香坂 凛音
恋愛
ここはステイプルドン王国。
エッジ男爵家は領民に寄り添う堅実で温かな一族であり、家族仲も良好でした。長女ジャネットは、貴族学園を優秀な成績で卒業し、妹や弟の面倒も見る、評判のよい令嬢です。
一方、アンドレアス・キーリー公爵は、深紅の髪と瞳を持つ美貌の騎士団長。
火属性の魔法を自在に操り、かつて四万の敵をひとりで蹴散らした伝説の英雄です。
しかし、女性に心を閉ざしており、一度は結婚したものの離婚した過去を持ちます。
そんな彼が、翌年に控える隣国マルケイヒー帝国の皇帝夫妻の公式訪問に備え、「形式だけでいいから再婚せよ」と王に命じられました。
選ばれたのは、令嬢ジャネット。ジャネットは初夜に冷たい言葉を突きつけられます。
「君を妻として愛するつもりはない」
「跡継ぎなら、すでにいる。……だから子供も必要ない」
これは、そんなお飾りの妻として迎えられたジャネットが、前妻の子を真心から愛し、公爵とも次第に心を通わせていく、波乱と愛の物語です。
前妻による陰湿な嫌がらせ、職人養成学校の設立、魔導圧縮バッグの開発など、ジャネットの有能さが光る場面も見どころ。
さらに、伝説の子竜の登場や、聖女を利用した愚王の陰謀など、ファンタジー要素も盛りだくさん。前向きな有能令嬢の恋の物語です。最後には心あたたまるハッピーエンドが待っています。
※こちらの作品は、カクヨム・小説家になろうでは「青空一夏」名義で投稿しております。
アルファポリスでは作風を分けるため、別アカウントを使用しています。
本作は「ほのぼの中心+きつすぎないざまぁ」で構成されています。
スカッとする場面だけでなく、読み終わったあとに幸福感が残る物語です。
ちょっぴり痛快、でも優しい読後感を大切にしています。
※カクヨム恋愛ランキング11位(6/24時点)
全54話、完結保証つき。
毎日4話更新:朝7:00/昼12:00/夕17:00/夜20:00→3回更新に変えました。
どうぞ、最後までお付き合いくださいませ。
逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?
魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。
彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。
国外追放の系に処された。
そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。
新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。
しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。
夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。
ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。
そして学校を卒業したら大陸中を巡る!
そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、
鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……?
「君を愛している」
一体なにがどうなってるの!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる