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エピローグその2 1年後~約束~ 俯瞰視点(3)
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「……死……。私達は、二年後の夏に死んでしまうのですか……?」
「いんや、『私達』ではないんじゃよ。…………その時が来たらこの世を去ってしまうのは、片方。お兄さん、なのじゃよ……」
自分自身も口にしたくはないけれど、二人のためにも口にしないといけない。そんな思いで老婆は――占い師メリーは、顔を歪めてリュドヴィックを見やりました。
「アタシはお客がいない時、要するに暇な時は、この水晶を使って通行人を適当に占っておるんじゃがな……。そうしたらお兄さんの未来に、どす黒い影が見えたのじゃ……。病によって死を迎える者の未来が、はっきりと見えてしまったのじゃよ……」
「……病……」「……病死……」
(……病、ですか……)(…やまい……)
(病による……)(……死……)
リュドヴィックの病死。病死による別れ。それは嫌な縁があるものでした。
ですのでリュドヴィックとエレーヌのみならず、おもわずメイルたち4人も声を漏らしてしまいました。
「…………占い師殿。不躾な質問をお許しください」
「構わんよ。なんじゃい、お兄さん」
「貴方様の占いの――いえ。そちらに関するものの的中率は、どのくらいあるのでしょうか?」
「的中率、か。…………………………」
一部を反芻したメリーはしばし沈黙し、そうして――
「100パーセントじゃ……」
――再び、苦い苦い声を絞り出しました。
「水晶で見た者の様子はな、姿を見んでも感覚的に悟れるゆえに分かるんじゃよ……。アタシが黒い影を見た人間は、全員が死んでおる。信じた者も信じなかった者も、未来を知った者も知らなかった者も、もれなくな……」
「「……………………」」
「嘘だと、思うじゃろう? じゃがアタシは若い頃から、『病死』は特に鮮明に見えてしまうのじゃよ……」
その影を見た回数はこれまで278回で、278人全員がこの世を旅立っていました。そのため、
『冗談でも脅しでもない。まぎれもない事実だ』
ソレが誰であっても一瞬で理解できてしまえる程に、その声音には落胆の色が含まれていました。
「いんや、『私達』ではないんじゃよ。…………その時が来たらこの世を去ってしまうのは、片方。お兄さん、なのじゃよ……」
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「アタシはお客がいない時、要するに暇な時は、この水晶を使って通行人を適当に占っておるんじゃがな……。そうしたらお兄さんの未来に、どす黒い影が見えたのじゃ……。病によって死を迎える者の未来が、はっきりと見えてしまったのじゃよ……」
「……病……」「……病死……」
(……病、ですか……)(…やまい……)
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リュドヴィックの病死。病死による別れ。それは嫌な縁があるものでした。
ですのでリュドヴィックとエレーヌのみならず、おもわずメイルたち4人も声を漏らしてしまいました。
「…………占い師殿。不躾な質問をお許しください」
「構わんよ。なんじゃい、お兄さん」
「貴方様の占いの――いえ。そちらに関するものの的中率は、どのくらいあるのでしょうか?」
「的中率、か。…………………………」
一部を反芻したメリーはしばし沈黙し、そうして――
「100パーセントじゃ……」
――再び、苦い苦い声を絞り出しました。
「水晶で見た者の様子はな、姿を見んでも感覚的に悟れるゆえに分かるんじゃよ……。アタシが黒い影を見た人間は、全員が死んでおる。信じた者も信じなかった者も、未来を知った者も知らなかった者も、もれなくな……」
「「……………………」」
「嘘だと、思うじゃろう? じゃがアタシは若い頃から、『病死』は特に鮮明に見えてしまうのじゃよ……」
その影を見た回数はこれまで278回で、278人全員がこの世を旅立っていました。そのため、
『冗談でも脅しでもない。まぎれもない事実だ』
ソレが誰であっても一瞬で理解できてしまえる程に、その声音には落胆の色が含まれていました。
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