元婚約者様へ。私は決して復縁はいたしませんよ

柚木ゆず

文字の大きさ
41 / 51

第18話 リッダジア家の震撼 俯瞰視点(1)

「………………………」

 広々とした豪奢な建物、力と歴史あるリッダジア家所有のリッダジア侯爵邸。そこのエントランスでは、この屋敷の主であるアダムが崩れ落ちていました。
 呑気にコーヒーを飲んで息子の帰りと吉報を待っていた、彼。そんな人間がこうなっている理由、それは――

 ルーラルト捕縛。

 ――そんなニュースが、王家の使者によって届けられたからです。

「あのザクターという調律師が、レオナード殿下……!? バカな……。そんなバカな……!! あり得ない……!!」

 彼は筆頭侯爵家の当主なため、兄弟3人が協力して治めてゆくと知っていました。
 これから国を担う者の一人が、プロの調律師になっていた。それは荒唐無稽な話なのですが、目の前には王族の使者がいます。そのため認めざるを、得ませんでした。

「い、いや……! だが……!! それでも、やはりおかしい……!! 公務を遂行しながら調律師――それも一流の調律師になるなんて不可能だ……!!」

 最低でも2000時間の勉強が必要で、加えて様々な経験値が要る。ザクターを調査した際そんな話を耳にしており、アダムは何度も何度も首を左右に振りました。

「どうなっている!? そんなこと人間にはできない――そうか! 分かったぞ!! これは夢だ!! 悪夢を見ているだけなんだ!!」

 そう確信した彼は勢いよく自らの頬を抓り、「ぎやあ!?」。ここは悪夢などではなく現実世界なため、痛みを感じ悲鳴を上げました。

「そ、そんな……。これが、現実だなんて……。で、では……。では……っ! これからわたしは…………」
「さようでございます。アダム・リッダジア殿。貴方様を待っているのは、強制的な贖罪・・でございます」

 魂が籠っていないように感じる、初老の男性。使者ルークは淡々とそう告げ、それを合図に大柄な男性2人による――治安局員による連行が始まりました。

「や、やめろ!! やめてくれっ!! 離せっ! だっ、誰かっ! 助けろっ! 助けてくれぇぇぇぇ!!」

 アダムは四肢を動かし抵抗しますが、仲間であるトム、ミゲイル、ザックスも拘束されてしまっています。そのためまずは治安局へと運ばれ、

「父上!!」
「ルーラルトっ!!」

 ――2人は、5時間ぶりの再会を果たします。そしてその後は――



感想 22

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、 それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。 しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、 結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。 3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか? 聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか? そもそも、なぜ死に戻ることになったのか? そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか… 色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、 そんなエレナの逆転勝利物語。

【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。 しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。 自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。 夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか? 迷いながらもユートリーは動き出す。 サスペンス要素ありの作品です。 設定は緩いです。 6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。

とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】 社交界を賑わせた婚約披露の茶会。 令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。 「真実の愛を見つけたんだ」 それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。 愛よりも冷たく、そして美しく。 笑顔で地獄へお送りいたします――

これで、私も自由になれます

たくわん
恋愛
社交界で「地味で会話がつまらない」と評判のエリザベート・フォン・リヒテンシュタイン。婚約者である公爵家の長男アレクサンダーから、舞踏会の場で突然婚約破棄を告げられる。理由は「華やかで魅力的な」子爵令嬢ソフィアとの恋。エリザベートは静かに受け入れ、社交界の噂話の的になる。

辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~

紫月 由良
恋愛
 辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。  魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。   ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。