自業自得な悪役令嬢

柚木ゆず

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第2話 作戦は完璧? ジョゼット視点(2)

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『おい。今の聞いたか?』
『ああ……っ。やっぱりそうだったんだ』
『エニワス様は、無実だったんですわ』
『おかしいと思っていましたの。そういう事、だったんですのね』
「ちっ、違いますわっ! わたくしはそんな指示を出してはいませんわっ!」

 実際に出しているけれど、認めてしまったら終わりですものっ。大急ぎで否定をして、大急ぎで次の手を考える。
 この状況を乗り切るには……っ。会場の雰囲気を変えるには……………………――っ。流石わたくし! これで行きましょうっ!

「皆様っ、分かりましたわっ! こちらは買収っ! カロリーヌ様が仕込んだ、悪質な罠なんですわっ!」
「……今のが、カロリーヌの罠? その発言も、婚約者としては無視できないな。詳しく教えてくれ」
「承知いたしましたっ! これは、加害者が被害者となるためのものなんですのっ!」

 カロリーヌ様は賢い御方。だから、わたくしが我慢の限界に達した際の対策を用意していた。
 こうしてわたくしの味方が登場し、大衆が疑問を抱いたら即撤回させる。こうしておけば、わたくしの印象は一気に悪くなってしまう。
 カロリーヌ様はこれを狙い、目撃者を買収していた。
 咄嗟に浮かんだアイディアをリオネル様や周囲の人々に伝え、ここで素早く演技を実行っ。再び涙を溜め、駒の6人をキッと睨みつけた。

「貴方がたはきっと、本物の目撃者ですわ。だけど、何らかの形によって、嘘をついていますわ……っ。皆様、正直に仰ってくださいまし……っ」

 表ではそう涙ながらに訴えて、

((よくもやってくれたわね……!! 何のつもりか知らないけれど、あとで地獄を味わわせてやるわ……!!))

 内側では全員に何度も何度も平手打ちをして、再び口を開く。
 これで少なくとも、五分(ごぶ)には戻せたはず……っ。このまま一気に、雰囲気を押し戻しますわ……!

「皆様、わたくしは嘘を吐いておりません……っ。そちらは、この命を賭けてお約束いたします……っ」
『『『『『…………』』』』』
「ですのでっ、どうかっ。わたくしを、信じて――」
「そうか、命を賭けるのか。ならば君は、この場で絶命することになるな」

 え……? リオネル様、何を仰って……?

「……これ以上のチャンス・・・・は与えられない。低レベルな茶番に付き合う時間は終わりだ」
「り、リオネル、さま……? こちらは、お芝居などではなく――」
「いや、それは全て芝居。その6人は脅迫によって君の味方を強要されていたと、把握済みだ。なぜなら彼らが1週間前に助けを求め、一切合切を教えてくれているのだからな」

 っ、なんですって!?
 脅したその日に、リオネル様のもとに行っていた!?

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