自業自得な悪役令嬢

第３話 ６人が従わなかった２つの理由 俯瞰視点

「……なあ。みんなは、どうするつもりなんだ……？」

　今から一週間前の、放課後。ジョゼットから脅迫を受けたロラン達６人は、人気（ひとけ）のない校舎裏で密かに集まっていました。同じ境遇の者同士で、今後の行動について確認・・をし合うために――。

「嘘をついて目撃者になって、味方をしろ。あの方に協力する？　それとも、しない？」
「もちろん、しませんわ」
「しないな」
「致しません」
「協力をするつもりはありませんわ」
「従順できるはずがありませんよ」
「……やっぱり、みんなもそうだよな。だってその作戦の被害者は、あのサンオーブ様だもんなぁ。超一流の俳優女優がお芝居をしたって、誰も信じないよな」

　ジョゼットは全く気が付いていませんでしたが上手く隠しているつもりでしたが――。カロリーヌに対する敵対心は、いつも剥き出し。頂点に君臨するカロリーヌを快く思っていない、それどころか理不尽に憎んでいることは、周知の事実だったのです。

「協力したら失敗は確定で、そうしたらあの方はわたくし達に八つ当たりをしてくるはず。そんなの耐えられませんわ」
「おまけにジョゼット様は、いつもわたくし達下級貴族を見下していた。こんな人の援護なんてしてたくありませんわ」
「それにエニワス様には、いくつもご恩がありますもの。あの方が苦しむことはできませんわ」

　こちらも、気付かれていないと思っていましたが――。ジョゼットは、自分より地位が低い人を見下す人間。全員が口にこそしてはいませんが、内心では軽蔑していたのです。
　対してカロリーヌはジョゼットと正反対で、心優しき女性。自より他を本心で優先する人のため、全生徒が何かしらの恩を感じていたのです。

「なら予想通り、当日は全員で裏切る、に決まりだな。ただそうすると、捨て身で復讐されそうだから……」
「フェンダルス様。カロリーヌ様の婚約者であるあの方に、助けを求めましょう」
「そうですわね。それが一番ですわ」

　リオネルは侯爵家に籍を置く人間で、カロリーヌを深く愛してもいます。そのため代表してロランがフェンダルス邸へと向かい、事情を説明。
　ジョゼットの敵意は周知の事実だったためリオネルは即座に頷きを返し、常に動ける準備をしており、

「ロラン、あとはこちらに任せてくれ。君達の身、そして家の平穏は俺が保証する」

　全ての安全を、約束。そうしてリオネルはいくつかの行動を済ませ、今日という日を迎えていたのでした――。

　今日までの一週間を使って、脅迫や企みに関する証拠を収集。そうして完璧な準備が整った上で、彼らは今日という人を迎えていたのでした――。