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1話 ノルベルトSide

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 運命の相手は、本当にいるんだな――。それが、一番最初に感じたことだった。
 あれは忘れもしない、入学式の日。新入生として入学式に参加していた僕は、隣にいた女子生徒と偶々目が合った。

 ――切っ掛けは、たったこれだけ――。

 その瞬間なぜか『この人と生涯を共にしたい』と感じはじめ、

『ノルベルト・ヤトラル殿下、お初にお目にかかります。わたくしは、シャルロッテ・ユネミスと申します』
『…………あっ、失礼致しました。シャルロッテ・ユネミスさん、これからよろしくお願い致します』

 挨拶を交わすと、その気持ちが更に加速してゆく。まるで間欠泉の如く、彼女への興味が湧くようになったのだ。

 ――改めて振り返ると今でも信じられない出来事で、しかも信じられない出来事がもう一つ。なんと、あちらも僕に興味を持ってくれていたのだ。

『シャルロッテ・ユネミスさん。あちらでお話をしませんか?』
『はい、喜んで。わたしも、殿下とゆっくりお話しをさせていただきたかったのです』

『ユネミスさん。お昼ご飯を一緒に食べませんか?』
『喜んでっ。ヤトラル様は人気者ですから、お誘いできずにいたのですが……。実はずっと、ご一緒したかったのですよ』

『……シャルロッテさん。僕は君が好きです。貴方の恋人にさせてはいただけないでしょうか?』
『……私も、貴方が好きでした。こちらこそ、恋人にさせていただけると嬉しいです』

『シャルロッテ。最初から、貴方が隣にいない人生は考えられなかった。来年になったら、僕と結婚してください』
『…………はいっ、ノルベルト様……っ。私もずっと、貴方と一緒にいる時が何よりも幸せでした……っ』

 お互い想っているから僕達の恋はとんとん拍子に進み、一年前に婚約をした。
 残りは、あと三日。王太子が結婚をするために必要な十七の作業も済んだし、王族のルールのひとつである『本当に相性がよいかの最終確認』――僕達にとっては本来必要ないものが終わり、ようやく家族になれる時がきたのだ。

『目が合った事が切っ掛けだなんて、初めて聞いた時は驚いたものだ。ノルベルト、三日後が楽しみだな』
『そっか~、あの日からそんなに経ったんだ。何度振り返ってみてもウソみたいな話で、あの時はパパも俺もビックリしちゃったよね~』
『アロイス、僕も同じだよ。しかも自分だけではなく、シャルロッテまで同じ気持ちだったなんて。一年経った今でも、嘘みたいだと思っているよ』

 そう。この時の僕は……。父や弟と言葉を交わしている時は、それが真実だと思っていた。

 実際は、違うのに……。

 何もかも、僕のせいで起きていたことだったのに……。
 昨日の僕は、呑気に笑っていたんだ……。
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