殿下は私に向けて、悲しそうに婚約破棄を宣告されました

柚木ゆず

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9話(1)

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「こういう事、なんだ……。君が抱いている僕への気持ちは、偽物。あの日挨拶をした事で、始まってしまったものなんだよ」

 全てを語ってくれたノルベルト様は、大きなため息を一つ。自身に対してあまりにも大きな軽蔑の息を吐きかけ、伏し目がちになりました。

「好感を抱くだけなら、まだ影響は少なかった……。しかし僕は君に、告白をしてしまった……。付き合え、婚約しろと、命令をしてしまっていた……。君の人生を一年以上、奪ってしまっていたんだよ……」
「……そうだったの、ですね。だから貴方は責任を感じて、自分にヘイトが向くようにした」
「あのタイミングで動ないと結婚が成立してしまうし、もうそれしかできるお詫びはないと思っていたからね……。関係を絶つように命令して、君が周囲の人々に支えてもらえるようにして、王太子の地位を捨てようとしたんだ」

 思い返せば婚約破棄の場では『君』としか呼ばず、殊更印象の悪い言葉を選んで使い、関係を絶たせる言葉を告げていました。あれには、そういう意図があったのですね。






 ※ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
 明日2つめの(今回最後の)再検査がありますので、そちらで数値に問題がなければすぐ投稿ペースをもとに戻させていただきます(もちろん多少悪い程度であればペースは戻りますので、ご安心くださいませ)。










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