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第3話 運命と人との、幸せな時間 アルチュール視点
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「ようこそアルチュール様。っ! そのお花、もしかして……!」
「ああ、そうだよ! 現在結ばれている婚約の白紙が確定的になった! ヴィルジニーと交際っ、婚約も結婚もできるようになったんだよ!」
ローメラズ邸を出たあとのこと。俺は花を買ってからザストール子爵邸を目指し、最愛の人に真っ赤な薔薇の花束を渡した。
『分かりました。貴方との婚約を解消できるように動きましょう』
ミシュリーヌは最初拒否していたものの、目覚めるとなぜか協力的になった。
その理由はよく分からないが、とにかくだ。堂々と関係を持てるようになるのだ!
「すでに、婚約解消へと動き始めている。少なくとも今週中には正式に俺とミシュリーヌとの関係が絶たれることになるはずだ」
「嬉しい……! 夢のようですわ……!」
「俺も、嬉しいよ。体裁があるから当分は関係性を表には出せないけれど、表から見えないところでは何でもできる。ウチやここで、愛を育んでいこう」
「はい……! 育んでいきましょう……!」
森の妖精のようにほんわかとした、真の運命の人・ヴィルジニー。愛しの人との関係を早く世に広めたい。
だが婚約解消直後にそうしてしまうと、あちこちからうるさい声が聞こえてくるようになるからな。それはしばらく我慢だ。
「その第一歩目として、二人きりでのんびりとお喋りでもしようか。俺達はお互いに、まだまだ知らないことが多い。少しでも多く最愛の人のことを知りたいし、教えてたいからね」
「わたくしも、知りたいですし、お教えしたいですわ。アルチュール様、少々お待ちください。紅茶を淹れて参りますわ」
「ありがとう。待たせてもらうよ」
どうやら彼女は、紅茶に造詣が深いらしい。そこで頼むと――素晴らしい。
彼女が淹れてくれたアールグレイは非常に香りも風味も良く、お世辞抜きで過去最高の一杯だった。
「美味しいよ。今までで一番ね」
「一番……! ほ、ほめ過ぎですわっ」
「照れなくていいよ。事実なんだからね。うん、本当に美味しい」
最高の一杯をもらえたのだからこういう評価になるし、
「次は、俺の特技を教えようか。俺はね、チェスが得意なんだよ」
「ぁっ。そういえば以前、どこかでお名前を見掛けたことがあるような……?」
「過去に1回、優勝してるよ。その後は体調不良などが重なって優勝できずにいるけど、本調子なら優勝できる実力があると自負している。いつか君のためにまた優勝するから、楽しみにしておいてくれ」
「はいっ。楽しみにしております……!」
最高の一杯によってテンションが上がり、ますます会話も弾む。
俺達はその後もどちらも笑顔で話にたっぷりと花を咲かせ、記念すべき『第一歩』は最高の形で幕を閉じることとなったのだった。
こうして俺とヴィルジニーは、二人仲良く幸せな人生を歩み始め――
((…………ん?))
――たの、だが。
それから1か月後。ひょんなことから、状況は一変することとなるのだった。
「ああ、そうだよ! 現在結ばれている婚約の白紙が確定的になった! ヴィルジニーと交際っ、婚約も結婚もできるようになったんだよ!」
ローメラズ邸を出たあとのこと。俺は花を買ってからザストール子爵邸を目指し、最愛の人に真っ赤な薔薇の花束を渡した。
『分かりました。貴方との婚約を解消できるように動きましょう』
ミシュリーヌは最初拒否していたものの、目覚めるとなぜか協力的になった。
その理由はよく分からないが、とにかくだ。堂々と関係を持てるようになるのだ!
「すでに、婚約解消へと動き始めている。少なくとも今週中には正式に俺とミシュリーヌとの関係が絶たれることになるはずだ」
「嬉しい……! 夢のようですわ……!」
「俺も、嬉しいよ。体裁があるから当分は関係性を表には出せないけれど、表から見えないところでは何でもできる。ウチやここで、愛を育んでいこう」
「はい……! 育んでいきましょう……!」
森の妖精のようにほんわかとした、真の運命の人・ヴィルジニー。愛しの人との関係を早く世に広めたい。
だが婚約解消直後にそうしてしまうと、あちこちからうるさい声が聞こえてくるようになるからな。それはしばらく我慢だ。
「その第一歩目として、二人きりでのんびりとお喋りでもしようか。俺達はお互いに、まだまだ知らないことが多い。少しでも多く最愛の人のことを知りたいし、教えてたいからね」
「わたくしも、知りたいですし、お教えしたいですわ。アルチュール様、少々お待ちください。紅茶を淹れて参りますわ」
「ありがとう。待たせてもらうよ」
どうやら彼女は、紅茶に造詣が深いらしい。そこで頼むと――素晴らしい。
彼女が淹れてくれたアールグレイは非常に香りも風味も良く、お世辞抜きで過去最高の一杯だった。
「美味しいよ。今までで一番ね」
「一番……! ほ、ほめ過ぎですわっ」
「照れなくていいよ。事実なんだからね。うん、本当に美味しい」
最高の一杯をもらえたのだからこういう評価になるし、
「次は、俺の特技を教えようか。俺はね、チェスが得意なんだよ」
「ぁっ。そういえば以前、どこかでお名前を見掛けたことがあるような……?」
「過去に1回、優勝してるよ。その後は体調不良などが重なって優勝できずにいるけど、本調子なら優勝できる実力があると自負している。いつか君のためにまた優勝するから、楽しみにしておいてくれ」
「はいっ。楽しみにしております……!」
最高の一杯によってテンションが上がり、ますます会話も弾む。
俺達はその後もどちらも笑顔で話にたっぷりと花を咲かせ、記念すべき『第一歩』は最高の形で幕を閉じることとなったのだった。
こうして俺とヴィルジニーは、二人仲良く幸せな人生を歩み始め――
((…………ん?))
――たの、だが。
それから1か月後。ひょんなことから、状況は一変することとなるのだった。
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