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第5話 謎の声 アルチュール視点
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「わたくし、ブリュノ様と『18歳記念』をお祝いできると思っていませんでした」
「俺もだよ。一年前は、まさかミレーユとこんな関係になるとは思ってもみなかった。あの日の出逢いに感謝だね」
「はい。あの日の出逢い――運命の出逢いに、感謝だね」
「ふふふ。乾杯」
「ふふっ。乾杯」
……………………。
気が付くと俺は『ブリュノ』と呼ばれていて、見知らぬ場所でミレーユという女とグラスを合わせていた。
((これは……。なんだ……?))
分からない。
なにかも、分からない。
なのに――
俺ミアテーズ子爵令息ブリュノは一年前まで、幼馴染だったザルフェル子爵令嬢ジュリエットと婚約をしていた。
だがその婚約は、交わされて一週間後に白紙となる。その理由は、ブリュノが運命の人に出逢ってしまったから。
その人は、今目の前にいるファトート子爵令嬢ミレーユ。
俺とミレーユは出逢った瞬間互いに運命を感じ、瞬く間に想い合うようになって、一緒に過ごしていた。
――そういうことを、なぜか知っていた。
((俺が、ブリュノ……? どうして、そんなことを知っている……? なんなんだ、これは……?))
おかしなことが連続して困惑するが、そんなのはお構いなしにブリュノとミレーユのやり取りは進んでいく。
なのでますます混乱する羽目になった、のだが――。それから、およそ30分くらい経った頃だろうか。ミレーユという女の発言を切っ掛けにして、すべてを理解することになるのだった。
「ふぁ……? お父様……? ただいま、もどりましたわ……。わたくし、もどりましたの……」
「ふふっ。ミレーユ、俺はお義父さんじゃないよ。愛しのブリュノだよ」
「……お父様ぁ。聞いてくださぃ……」
「う~ん、参ったな。とりあえず水を飲ませて、酔いを醒まさせないと――」
「ブリュノわぁ、ますますわたくしにぃ、惚れるようになりましたぁ。けいかくは、じゅんちょう、ですよぉ……」
運命との相手だと思っていた、ミレーユ……。アイツは話を合わせていただけ……。
ウチの財が目当てで、俺の直感を利用していたのだった……!
「くふふぅ……。いろいろぉ、わたくしのものに、なるぅ……。はぁいはぁい……。協力、のおれいは、ちゃんとしますからぁ……。これからもぉ……バックアップ……おねがい、します、わぁ…………。すぅ、すぅ、すぅ…………」
「………………そういうこと、だったのか……。よくも騙しやがったな……!!」
ひょんなことから真相を知った俺は激しくミレーユを叱責して追及するも、証拠が残っていないため罪には問えず……。婚約を白紙にできたものの、慰謝料などは奪い取れず――…………
そこからブリュノは、転落してゆくことになるのだった……。
「俺もだよ。一年前は、まさかミレーユとこんな関係になるとは思ってもみなかった。あの日の出逢いに感謝だね」
「はい。あの日の出逢い――運命の出逢いに、感謝だね」
「ふふふ。乾杯」
「ふふっ。乾杯」
……………………。
気が付くと俺は『ブリュノ』と呼ばれていて、見知らぬ場所でミレーユという女とグラスを合わせていた。
((これは……。なんだ……?))
分からない。
なにかも、分からない。
なのに――
俺ミアテーズ子爵令息ブリュノは一年前まで、幼馴染だったザルフェル子爵令嬢ジュリエットと婚約をしていた。
だがその婚約は、交わされて一週間後に白紙となる。その理由は、ブリュノが運命の人に出逢ってしまったから。
その人は、今目の前にいるファトート子爵令嬢ミレーユ。
俺とミレーユは出逢った瞬間互いに運命を感じ、瞬く間に想い合うようになって、一緒に過ごしていた。
――そういうことを、なぜか知っていた。
((俺が、ブリュノ……? どうして、そんなことを知っている……? なんなんだ、これは……?))
おかしなことが連続して困惑するが、そんなのはお構いなしにブリュノとミレーユのやり取りは進んでいく。
なのでますます混乱する羽目になった、のだが――。それから、およそ30分くらい経った頃だろうか。ミレーユという女の発言を切っ掛けにして、すべてを理解することになるのだった。
「ふぁ……? お父様……? ただいま、もどりましたわ……。わたくし、もどりましたの……」
「ふふっ。ミレーユ、俺はお義父さんじゃないよ。愛しのブリュノだよ」
「……お父様ぁ。聞いてくださぃ……」
「う~ん、参ったな。とりあえず水を飲ませて、酔いを醒まさせないと――」
「ブリュノわぁ、ますますわたくしにぃ、惚れるようになりましたぁ。けいかくは、じゅんちょう、ですよぉ……」
運命との相手だと思っていた、ミレーユ……。アイツは話を合わせていただけ……。
ウチの財が目当てで、俺の直感を利用していたのだった……!
「くふふぅ……。いろいろぉ、わたくしのものに、なるぅ……。はぁいはぁい……。協力、のおれいは、ちゃんとしますからぁ……。これからもぉ……バックアップ……おねがい、します、わぁ…………。すぅ、すぅ、すぅ…………」
「………………そういうこと、だったのか……。よくも騙しやがったな……!!」
ひょんなことから真相を知った俺は激しくミレーユを叱責して追及するも、証拠が残っていないため罪には問えず……。婚約を白紙にできたものの、慰謝料などは奪い取れず――…………
そこからブリュノは、転落してゆくことになるのだった……。
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